『Zガンダム』粗暴で凶悪な面構え…との評に偽りのないヤザンがメチャ愛されるワケ
マグミクス / 2024年11月20日 21時30分
■「縮こまっとるぞぉ! しっかりせんか!」
アニメ『機動戦士Zガンダム』に登場した、ティターンズのパイロット「ヤザン・ゲーブル」は、部下の「ダンケル」と「ラムサス」と共に可変MS「ハンブラビ」を駆り、「カミーユ・ビダン」や「クワトロ・バジーナ」たち主人公サイドを大いに苦しめた強敵として知られています。
必要とあらば上官である「ジャマイカン・ダニンガン」を殺すこともいとわないほど凶悪な性格をしており、態度も粗暴です。最終盤では「カツ・コバヤシ」を戦死に追い込み、宇宙戦艦「ラーディッシュ」を撃沈して「ヘンケン・ベッケナー」やそのクルーを皆殺しにするなど、通常なら憎まれ役の代表格といえるほどの働きを見せています。
しかし、なぜかヤザンを嫌っている人はあまりいないように思えます。その大きな理由としては、少し緊張気味の部下の股間をつかんで喝を入れたり、「戦場では、びびった者が死ぬんだ。覚えておけ!」とアドバイスを送ったりするなど、部下への気遣いを欠かさない点にあるでしょう。
先述のジャマイカン殺しも、ジャマイカンの命令で行われた艦砲射撃に部下が巻き込まれて戦死したのが動機のひとつであり、部下の仇を取っただけともいえます。巻き込まれたブリッジクルーは気の毒ですが。「ラムサス」が戦死した際にもその名を叫んで怒りを露わにしており、ヤザンが部下を非常に大事にしていたことがうかがえます。
外見は非常に粗暴に見えるものの、『Zガンダム』作中で暴力を振るったのは、実は「ジェリド・メサ」を平手打ちにしたことがある程度です。直接、暴力を振るった回数でいえば、実はカミーユの方が上なのです。ヤザンの暴力性は戦場で発揮されるものであり、力の振るいどころをわきまえる理性と経験をあわせ持っていることを示しています。ヤザン同様、内面に知性と暴力性を抱え込んでいる「パプテマス・シロッコ」と気が合うのもうなずける話です。
声優を務める大塚芳忠氏の演技も抜群のインパクトを残しており、大勢のパイロットが戦死した『Zガンダム』では、最終的にはカミーユの肥大化したニュータイプ能力の前に敗れるものの生き残って、続編の『機動戦士ガンダムZZ』にも登場するという破格の扱いを受けています。
『ZZ』では途中退場しますが、マンガ『機動戦士ガンダムMSV-Rジョニー・ライデンの帰還』では偽名「ヴァースキ・バジャック」を名乗り再登場しました。部下を鍛える良き上官として、少女(に見える強化人間)の護衛役として、そして当然、恐るべき技量のパイロットとして数々の活躍を見せ、往年のファンを歓喜させています。
ヤザンは「ガンダム」シリーズのゲームにも数多く出演しており、これからもさまざまな活躍を見せてくれるのではないでしょうか。
(早川清一朗)
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