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存在感がまるでない… 『ドラクエ3』勇者の祖父を覚えてる? 『HD-2D』版でついに活躍へ

マグミクス / 2024年11月25日 21時10分

存在感がまるでない… 『ドラクエ3』勇者の祖父を覚えてる? 『HD-2D』版でついに活躍へ

■忘れられがちな主人公の祖父だが?

「ドラゴンクエスト」シリーズの初期三部作のなかでも『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の主人公は物語全体を通じて極めて重要な役割を果たしています。彼こそ初代ドラクエ、そして『ドラクエ2』の主人公らの祖先にして「伝説の勇者ロト」の称号を持つ男。「そして伝説へ…」というサブタイトルが示す通り『ドラゴンクエスト』という巨大な物語の源流に近い人物なのです。

 そんなのちの「伝説の勇者ロト」には「オルテガ」という父親がいます。オルテガもまた単身で世界を救うべく旅だった最強の勇者であり、父から子へと勇者の血が脈々と受け継がれていることがわかります。

 さて、そう考えると『ドラクエ3』には重要な人物が主人公の家の2階にいます。すなわち主人公のおじいちゃんです。彼こそ「オルテガの父」であり「ロトの祖父」という系譜の頂(いただき)にいる存在です(『ドラクエXI』はさらに遡ることになりますが)。少なくとも初期のロト三部作においてはまさに「源流の源流」といっても過言ではない男です。ところが、そもそも「おじいちゃんなんていたっけ?」という人も少なからずいるでしょう。

 これは無理もない話です。これまでの『ドラクエ3』本編において、物語に関わるのは母と父オルテガであり、祖父に関してはこちらから話しかけないと、存在していないのとほぼ同じなのです。

 実際に話しかけてみれば……

「おまえの親父オルテガは立派な勇者じゃった。このじいの息子じゃ!」

 と、母方の祖父ではなくオルテガの実父であることが分かり、スーパーファミコン版ではさらに続けて

「おまえもこのじいのマゴじゃ!がんばるのじゃぞ。」

 と、一応の家系図を示してくれるのですが、何か具体的な冒険のヒントをくれるわけもなく、以降も「このじい」が部屋から出る気配はありません。

 さらに、息子であるはずのオルテガが「このじい」になんだか冷たいのです。スーファミ版ではオルテガの旅立ちのシーンが冒頭に挿入されますが、その際も「自分が旅立つのは主人公と妻(主人公の母)のため」という旨のセリフを残し、実父に関しては全く触れません。また「しんりゅう」イベントでオルテガを復活させたのち話しかければ「父さんもお前についてまた旅に出たいが そうすると母さんは またひとりだ」と、これまた祖父などいないかのような扱いなのです。

 そして注目すべきは、2024年11月14日発売のHD-2D版『ドラクエ3』で、祖父の扱いに大きな変化がありました。過去作の『ドラクエ3』本編は、母が主人公を起こしにくるシーンから始まりますが、今回のリメイクではその直前のシーンが追加されており、祖父の「……時間じゃな」という、ボイスつきの激渋なセリフから始まる流れになったのです。あれほど不遇だった祖父ですが、まさに「源流の源流」にふさわしい、物語の開幕のひと言を発するまでの出世を果たしたのでした。

さあ、祖父の物語がようやく始まります!

(片野)

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