初代『ウルトラマン』キャスト陣も衝撃…人気絶頂だったのに「突如打ち切り」 何があった?
マグミクス / 2025年1月2日 7時10分
■高視聴率なのに打ち切りになった初代『ウルトラマン』
初代『ウルトラマン』は、前作『ウルトラQ』の人気を受け継ぎ、放送されるや否や視聴率30%を弾き出すお化け番組となり、当時の「怪獣ブーム」を大きく牽引しました。しかしながら人気絶頂の最中、3クールで止む無く打ち切られてしまいました。いったいどういうことなのでしょうか。ここでは当時の背景を探ってみたいと思います。
■監修者としての円谷英二のこだわり
円谷プロダクションは、『ゴジラ』をはじめとした東宝の特撮映画で名を馳せた特技監督の円谷英二が設立した独立プロダクションです。その円谷プロにとっての初のTVシリーズ『ウルトラQ』は、豊富なバジェットと充分な撮影期間を設け、全28話(※初回放送では全27話)の制作を終えてから放送する、実に贅沢な制作体制が採られました。
その放送中に企画されたのが『ウルトラマン』です。しかしながら、その制作は多難を極めます。
モノクロながらも映画と同じ35ミリフィルムで撮影された『Q』に対して、本作では当時のTV映画では標準の16ミリ撮影に切り替えられたものの、海外展開を視野に初のカラー撮影に挑戦することになり、さまざまな試行錯誤が強いられました。
作品は放送3か月前の1966年3月にクランクインしましたが、撮影初期から遅延の兆候は見られ、第1話の放送予定日には急遽、「ウルトラマン前夜祭」なる特番を挟んで凌ぐこととなりました。
波乱の中で制作に入った本作ですが、先に述べた通り、フタを開ければ第1話から視聴率30%を弾き出し、前作を凌ぐヒットを打ち立てます。
しかし、特撮は撮影に大変な時間を要するもので、早朝から準備して撮影は日が暮れてからといったこともザラではなかったそうです。さらには監修者としての円谷英二のこだわりはもちろん、妥協しないスタッフの姿勢もあり、そのクオリティの高い映像もまた人気の秘訣でもありましたが、やがて、そうした無理のある制作体制がジワジワと影響を及ぼしていきます。
■キャストに知らされた突然の番組終了
「ウルトラ特撮PERFECT MOOK VOL.1 ウルトラマン」(講談社)
特撮作品は通常、本編と特撮の2班に分けて行われます。本作は最初にクランクインした第2・3・5話のみ1班体制で行われ、その後は従来の2班体制に戻すも、特撮班のスケジュールの遅れは挽回できず、第18話「遊星から来た兄弟」&第19話「悪魔はふたたび」では、円谷英二自ら特殊技術(特技監督)として登板します。
OPでは高野宏一がクレジットされていますが、当時のスタッフの証言や、第18話は円谷英二の使用台本が残されているほか、第19話は円谷が演出中の現場写真が存在するなど、全面的にコミットしたことは、ほぼ事実として認識されています。現在ではファン必見のエピソードとしても知られていますが、裏を返せば、それだけスケジュールがひっ迫していた証でもあります。
また、科特隊のフジ・アキコ隊員を演じた俳優の桜井浩子さんも自著で、途中からスケジュールがタイトになってきたと回顧しています。さらには第17話の映像では頬がこけて映っているとも記しており、撮影の大変な状況が伝わってきます。
そんな状況下、高視聴率ゆえに放送を続けたいTBSと、放送に穴が空くのを懸念した円谷プロの間で話し合いがもたれ、最終的に第39話での打ち切りが決定しました。桜井さんらレギュラー陣は、第38・39話(最終回)の台本を受け取って初めて番組の終わりを知ったそうで、いかに混乱していたかがうかがえます。
後番組には東映の『キャプテンウルトラ』の2クールを挟み、その半年の間に円谷プロは、次回作『ウルトラセブン』を準備して世に放ちました。
しかしながら『ウルトラマン』ほどの成果を収められず、さらに続く『怪奇大作戦』終了後には、会社自体が規模を縮小せざるを得なくなるなど、『帰ってきたウルトラマン』までの数年間、苦難の道を歩むこととなります。歴史に「if」はありませんが、もし、『ウルトラマン』が充分な体制で放送を維持できていたら、果たしてどうなっていたでしょうか。
(参考書籍)
別冊映画秘宝ウルトラマン研究読本 (洋泉社MOOK)
『ウルトラQ』『ウルトラマン』全67作撮影秘話(アルテスパブリッシング)
(田中一)
外部リンク
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