ロボットの「最強必殺技」はどれ? 70年代ロボアニメこれが最強といえる超必殺技2選
マグミクス / 2025年1月2日 11時5分
■原点であるため最強になれなかったマジンガーZ
昔からロボットアニメ好きが集まると、いろいろな最強話で盛り上がることがあります。人によって最強のロボットは違いますが、今回はあえてそれに関して私見を呈してみましょう。
もっとも作品の幅が広いと、収拾がつかなくなってしまいます。そこでロボットアニメの黎明期である1970年代にしぼり、必殺技の観点から色々と考察してみました。
1970年代といえば、やはり巨大ロボットアニメブームの立役者である『マジンガーZ』(1972年)の主役ロボ「マジンガーZ」から話さないといけません。このマジンガーZが起こした一大ブームが、日本にロボットアニメを定着させたといっても過言ではないでしょう。
それゆえにマジンガーZは後のロボットアニメに登場する主役ロボの原点ともいえる存在です。この直後に制作された作品は多かれ少なかれ、マジンガーZの影響を受けていました。
逆にいえば原点であるがゆえ、完全な作品、完璧な主役ロボとはいえないかもしれません。それゆえに作品中でマジンガーZは何度もパワーアップを重ね、より完璧な存在へと進化していきました。そして、そこがマジンガーZの作品としての魅力にもつながったわけです。
そう考えると、マジンガーZは神格化される存在であっても、最強というにはほど遠いのかもしれません。事実、後年の作品群では「マジンカイザー」や「マジンガーZERO」といったバージョンアップがなされ、最強のロボットに近づく展開もありました。
その点では、直接の後継者となる『グレートマジンガー』(1974年)の「グレートマジンガー」、『UFOロボ グレンダイザー』(1975年)の「グレンダイザー」の方が性能的には優っていると考えられます。ところが、これらのロボットたちには決定的に欠けるものがありました。それが「定番の必殺技」です。
どういうことかというと、例えばマジンガーZには「ロケットパンチ」「光子力ビーム」「ブレストファイヤー」などといった強力な必殺技がいくつもありますが、このなかで最強の威力を持った技はどれになるかといえば、人によって意見は異なることでしょう。それはマジンガーZには絶対的な必殺技がないからです。
敵によってさまざまな必殺技を駆使して戦うマジンガーZには、フィニッシュホールドと呼べるような超必殺技がありません。それがマジンガーZの長所ですが、その後の主役ロボットのように、代名詞となるような必殺技がないのはインパクトが足りないといえるでしょう。
この点は、上掲した後続のロボットたちにも受け継がれています。しかし、トドメとなる絶対的なフィニッシュホールドを持ったロボットが数年後に現れることとなりました。
■必殺技を超える超必殺技を備えた2機のロボとは
最強の一角。「超合金魂 GX-18 ゲッタードラゴン」(BANDAI SPIRITS) (C)ダイナミック企画
意見が分かれるかもしれませんが、『勇者ライディーン』(1975年)の「ライディーン」が、定番の必殺技を持った初めての主役ロボットでしょうか。その必殺技が「ゴッドバード」です。
このゴッドバードによる攻撃が、ライディーン定番のトドメ技でした。もちろん、それ以外の必殺技でのトドメもなかったわけではありませんが、中盤までの敵はほぼゴッドバードでの決着となっています。
このトドメの必殺技の定番化にはひとつの利点がありました。それはバンクシーンとして作品の作画枚数を減らせるという部分です。つまり必殺技をパターン化させることで、制作コストを下げることができました。
もちろんトドメ技が定番化するというのは、ワンパターンと思われる可能性もあります。もっとも当時の子供、すなわち筆者たちは、むしろそのワンパターンをカッコよく思っていました。いわゆる『水戸黄門』の「印籠」と同じパターン化によるカタルシスだったわけです。
さらにいうと、ライディーンにはゴッドバードを超える超必殺技「ゴッドボイス」が後半から登場しました。封印された最強武器、使えば自分自身にも被害を与える諸刃の剣、そういった設定が子供心に響きます。当時、多くの子供たちがゴッドボイスを最強武器と思ったものでした。
しかし、これと同時期にもうひとつの超必殺技が登場します。それは『ゲッターロボG』(1975年)に登場する「ゲッタードラゴン」が後半から使うようになった、「シャインスパーク」でした。
ゲッターロボといえば、3種類の形態に変化することで実力を発揮する主役ロボです。そのため、絶対的な必殺技は持っていません。ゲッタードラゴンも最初は旧ゲッターロボと同じく、「ゲッタービーム」が最大の必殺技でした。
それを超えたのがシャインスパークです。1度の出撃で1回しか放てないというリスクも超必殺技らしさを持たせている設定です。その威力は絶大で、回避する以外に防ぐ方法はありません。後に続くシリーズでも、このシャインスパークを踏襲した必殺技がフィニッシュホールドとなることが多くあります。
その威力がけた違いであることを証明するかのように、劇場版『グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦! 大海獣』(1976年)では、敵の「古代海獣ドラゴノザウルス」相手に、グレンダイザーやグレートマジンガーを差し置いてフィニッシュホールドとしてシャインスパークが使われていました。
欠点としてよく指摘されるのが、シャインスパークの絶対的威力のため、トドメはゲッタードラゴンというパターンが増えたことでしょうか。つまり3つの形態に変幻自在だったゲッターロボが、その最大の個性を失ったわけです。
このシャインスパークと、前述のゴッドボイス、共にそれまで持っていた必殺技を超える超必殺技として設定されたために、どちらが上か甲乙つけがたいものです。当時の子供もどちらの必殺技が上かと想像したことでしょう。筆者もよく考えていました。
もっとも1970年代のスーパーロボットの最強技は、このどちらかというのは間違いないと思います。もちろん最強は人それぞれかもしれません。それぞれの胸の中には最強だと思う必殺技があることでしょう。作品の幅が広いと収拾がつかなくなるので、今回のように時代で区切って考えて見るといいかもしれません。
(加々美利治)
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