『ガンダム』ブライトさんの華々しい戦果とは裏腹な悲哀の中間管理職っぷりを振り返る
マグミクス / 2024年12月12日 21時45分
■一年戦争では大活躍なのに連邦軍で人脈が作れていない不運さ
『機動戦士ガンダム』から登場し、その後のシリーズでも活躍した「ブライト・ノア」は、経歴だけを見れば華々しいものがあります。
成り行きで「ホワイトベース」の艦長に任命されたのが19歳のことです。それ以来、ジオン公国を率いるザビ家の「ガルマ」を戦死に追いやり、オデッサ作戦やジャブロー攻防戦でも目覚ましい戦果を挙げました。後にジオン軍を陽動する囮とされたのも「ホワイトベースはニュータイプ部隊」という注目を集めていたからでしょう。
なのに、ブライトには上と下の板挟みとなる中間管理職的な悲哀が付きまといます。そもそも、一年戦争ではほぼ独立部隊として戦い抜いており、連邦軍のなかに人脈を作りようがありません。唯一の理解ある上司だった「レビル将軍」は、コロニーレーザーに消されてしまいました。
その7年後、続編『機動戦士Zガンダム』でのブライトは当初、小型スペースシャトル「テンプテーション」の船長となっていました。もっとも階級は中佐であり、一年戦争の頃の中尉よりも出世しており、一応は評価されていたようです。
肩書とギャップのある閑職は「ニュータイプの存在を恐れた地球連邦の上層部が左遷した」との設定があります。その割にはジオン狩り部隊であるティターンズの連中に殴る蹴るされており、異常に扱いが軽い印象もありました。
が、反地球連邦組織エゥーゴに参加し、強襲用宇宙巡洋艦「アーガマ」の艦長として迎えられた際に、市販品の「ハロ」(「アムロ・レイ」が持っていたハロを元にした量産品)が「ブライト、元気か?」としゃべっています。オモチャに名前をインプットされた有名人が軍組織に居続ければ、いばらの道になって当然ですね。
アムロを2度も殴ったことで知られるブライトながら、新たなエースパイロットの「カミーユ・ビダン」に対しては「父親役はできそうにない」と苦悩しています。そりゃあモビルスーツでティターンズ兵を踏みつぶそうとした問題児だしな……とも思えますが、一年戦争の頃ならパンチで解決していたでしょう。
が、同じ話数で部下に「モノを口に入れたまま喋らんでください」と注意された際に、従うそぶりを見せています。つまり、上司に遠慮なくもの申せる職場づくりをしていたようです。昔の荒っぽさは無理をしていた虚勢であり、こちらの思いやり深く、パワハラとも無縁な性格が素のブライトかもしれません。。
■上層部が補充要員をよこさないためモビルスーツ泥棒までスカウト!
ブライトの視点から歴代シリーズを再構成した『機動戦士ガンダムUC 虹にのれなかった男』 シナリオ:福井晴敏/コミカライズ:葛木ヒヨン (KADOKAWA)
ブライトの中間管理職っぷりは『機動戦士ガンダムZZ』でピークに達します。ネオ・ジオンとティターンズとの三つ巴の戦いで大人のクルーはほとんど死亡、カミーユは精神崩壊、まともにMSを操縦できるのは「ファ・ユイリィ」だけという惨状です。
ティターンズを倒したエゥーゴ上層部はやる気がなくなっており、人員の補充もありません。そこでブライトはパイロットも現地調達、といいますか、「Zガンダム」を盗みに来た少年「ジュドー・アーシタ」をスカウトします。
そこは「勝手にガンダムに乗り込む少年パイロットが超優秀」というヒキ(アムロとカミーユ)が強過ぎる人なのでしょうがないのですが、仲間の「ビーチャ」や「モンド」までおいしい弁当で釣って引き入れているのがヤバすぎます。すでにジュドーはアーガマを守っていた一方、当時のビーチャたちは「盗人」以外の何者でもありませんでした。
その後、本当にビーチャとモンドはアーガマを敵に売り渡そうとしており、「トラブルメーカー」という言葉には収まらない裏切りを働いています。
よく「『ZZ』は明るく楽しいガンダム」といわれましたが、ブライト目線では「大人のプロを送ってこない上層部のサボリに苦しめられる中間管理職」の物語だったのでしょう。
『ZZ』最終話では、すべての戦いが終った後に駆け付けた連邦軍に対しジュドーが激怒し、ブライトは高官を殴らせる代わりに自分を殴らせており、ザ・中間管理職を極めていました。『逆襲のシャア』のブライトは、気心の知れたアムロや大人のクルーたちに囲まれており、心の安らぎを得られていたのかもしれません。
(多根清史)
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