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オリジナル要素もバズったドラマ『ゴールデンカムイ』プロデューサーに聞く実写化の手ごたえ 「天狗だけは」「サスペンダー」の裏話

マグミクス / 2024年12月12日 19時10分

オリジナル要素もバズったドラマ『ゴールデンカムイ』プロデューサーに聞く実写化の手ごたえ 「天狗だけは」「サスペンダー」の裏話

■制作陣も予想外だった「サスペンダー」のトレンド入り

 日露戦争後の明治後期の北海道を舞台に、道内のどこかに隠されたアイヌの莫大な金塊をめぐる戦いを描いた『ゴールデンカムイ』(著:野田サトル)は、2024年1月公開の実写映画の続編となるドラマ『連続ドラマW ゴールデンカムイ―北海道刺青囚人争奪編―』全9話が2024年10月から放送され、大好評で幕を閉じました。そして、12月1日の最終話放送後、「続編映画」の制作も発表されています。

 実写化において、カット、改変をしなければならない部分は少なからず出てきますが、「ゴールデンカムイ」シリーズは実写版のオリジナル要素も高い評価を受けました。また、アニメではカットとなったエピソードの映像化も反響を呼んでいます。実写『ゴールデンカムイ』シリーズを手掛けたWOWOWのプロデューサーである植田春菜さんに、ドラマへの反響、こだわり、裏話について聞きました。

WOWOWの植田春菜プロデューサー(マグミクス編集部撮影)

――ドラマになって時間をかけて描くことができた分、狩猟やグルメにアイヌ文化、その他『ゴールデンカムイ』らしい小ネタや、原作での攻めた表現の再現も増えていました。特にドラマにして「ここを表現できてよかったな」と思う場面はありますか。

植田春菜さん(以下、敬称略) 細かい部分を挙げ出すとキリがないのですが、特に手ごたえを感じたのは2話の「辺見和雄(演:萩原聖人)がシャチに投げ飛ばされる場面」ですね。あのシーンは野田サトル先生にも、とても喜んでいただきました。

植田 また、第8話の「沈黙のコタン」のエピソードも、個人的に原作でもすごく好きなこともあって、ドラマ版で描くことができてよかったですね。コタン(集落)のアイヌたちが偽物だと気付かない杉元が、「アシリパ(演:山田杏奈)」さんに関する話題で一気に戦闘モードになる場面など、コメディーとシリアスの緩急を描いたことで、反響がありました。

――第2話「杉元佐一(演:山崎賢人)の全裸」や、4話の短縮された「茨戸の用心棒」のエピソードなど再現されなかった場面は、どのような理由でカット、改変となったのでしょうか。

植田 昨今の撮影現場では男女ともに肌を露出する場面というのは非常にセンシティブで、俳優さん自身に納得してやっていただけるかを大事にするのが大前提です。ただ、第2話の杉元が辺見を助けるために海に飛び込む場面は、全裸になるのが問題というよりもリアリティの面で、上着だけ脱いで海に入る形になりました。

 辺見が海に落ちてすぐに助けに行かなければいけない状況のため、実写の表現としては、全裸になるよりも最低限の上着だけ脱いで急いで飛び込むほうがリアルだという判断です。ただ、あの場面で杉元が「サスペンダー」を着けていたことがあんなに話題になるとは予想外でした(笑)。

 もちろん時代考証もしっかりして、着けていてもおかしくない衣装としてあの格好になったのですが、トレンド入りするほど話題になり、サスペンダーに「萌える」人がこんなにいるとは驚きでした。

「茨戸の用心棒」に関しては、描きたいエピソードだったのですが、話数に限りもあるなかで、主人公の杉元中心に話を進めていくという観点で、短くすることになりました。野田先生や集英社の方々とも相談して、「尾形百之助(演:眞栄田郷敦)」が「土方歳三(演:舘ひろし)」の一派に合流したり、「奥山夏太郎(演:塩野瑛久)」が登場したりと、ストーリーに必要な要素を残して現在の形になっています。

■「私が行って殺してきます」「天狗だけはダメだって」大きな話題となった実写オリジナルセリフ

実写版の各キャラクターが並んだアクリルスタンド(マグミクス編集部撮影)

――前出の「杉元のサスペンダー姿」や、第3話の尾形百之助に対する「鶴見中尉(演:玉木宏)」の「さすがは曲がりなりにも軍神の倅だな」や、「月島軍曹(演:工藤阿須加)」の「私が行って殺してきます」のセリフなど、原作にないオリジナル要素も好評ですね。

植田 視聴者のみなさんが本当に細かい部分まで原作と比較してくださっているなと感じています。特に反響があったのはやはり、月島の「私が行って殺してきます」のセリフですね。

 あとは、第4話の「家永カノ(演:桜井ユキ)」に拷問された男娼(演:佐伯大地)が、家永が持っている天狗のお面に反応して「じいちゃんが言ってたんだ 天狗だけは駄目だって」という場面もすごく話題になりました。

 原作でも家永は該当の場面で天狗のお面を持っているのですが、あのセリフは台本にはなくて、現場で第4話監督の落合賢さんが遊び心で足したものです。そういった原作にない要素も楽しんでいただけて、ほっとしました。

 それ以外でも、第5話では原作の「キロランケ(演:池内博之)」が競馬に参加する場面を変えて「丁半博打」にするなど、いくつか大きな改変はしているのですが、ちゃんと意味がある形で変えています。なので、ファンの方々から「実写だとこうなるのか」「納得がいく改変だった」という風に言っていただけて、ありがたかったです。

――いろいろ話題になった要素はありますが、第8話での「誰なのおじさん」の登場は特にいろんな反響があったのではないでしょうか。映画、ドラマの第1話と最終話を担当した久保茂昭監督がおじさん役というのも驚きでした。

植田 第8話を担当した片桐健滋監督が、やっぱり「誰なのおじさん」は登場させたいとこだわっていたなかで、そもそも衣装や特殊メイクのチームの技術がすごいので、もともとそこまで「誰なのおじさん」に似ていない人でもいけるのでは?という話になったんです。

 それで現場で久保監督に対して「誰なのおじさん役どうですか」という話題が盛り上がって、私も「本当に大丈夫ですか」と確認もしたんですが、久保監督も「お客さんが喜んでくださるならやります」と引き受けてくれました。でも、久保監督ももともと特殊造形や特殊メイクが出てくるような作品が大好きな方で、また監督自ら特殊メイクを施されるような役を演じるというのはなかなかないですし、お客さんはもちろん久保監督も楽しんでいただけたんじゃないかと私は思います。

――映画は2時間かけて3巻途中までをしっかり描くというスタンスで、ドラマも全9話を使って3巻途中~11巻序盤までと、とにかくじっくり話を進めているのが印象的でした。

植田 実写『ゴールデンカムイ』を企画した松橋真三プロデューサーから学んだことで、原作を再現するうえで、あまり欲張り過ぎないということが基本姿勢としてありました。見せ場を盛り込み過ぎず、原作の短い範囲をしっかり実写化することで、お客さんに「もっと見たい」と思ってもらえるのかなと。

 松橋さんが手掛けた実写「キングダム」シリーズ(原作:原泰久)も、原作5巻までの話だけで映画1作目(2019年)を作っていて、当時ひとりの観客として「ここまでしかやらないのか」と驚いたのですが、それでも満足感はしっかりあったんです。あれもこれもと詰め込んで映像化するのではなく、むしろ「引き算」が大事だと学ばせていただきました。

――最終話の放送後に、ついに続編映画の情報がありました。まだどんな内容になるか、どこまで再現するのかは話せないかと思いますが、「ここを再現してほしい」というファンの方々の反響はすごいですね。何か一言続編を待っている皆さんに最後にお願いいたします。

植田 詳細はまだお話できないのですが、おかげ様で引き続きWOWOWが製作幹事として、続編映画の製作が決定いたしました。まずはWOWOWでドラマ版の全9話を配信しておりますので、ぜひたっぷり楽しんでいただけたらうれしいです。

※山崎賢人さんの「崎」は「たつさき」
※アシリパの「リ」は小文字

(マグミクス編集部)

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