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主人公の顔がシーンごとに変化←令和じゃあり得ない! カルト的人気を誇る作画崩壊アニメ

マグミクス / 2024年12月12日 20時35分

主人公の顔がシーンごとに変化←令和じゃあり得ない! カルト的人気を誇る作画崩壊アニメ

■トキワ荘メンバー大集合の“迷”作画回?

 近年のアニメ界隈において「作画崩壊」というと、ネガティブなこととして受け取られがちです。しかしひと昔前の作品、それこそ昭和の名作アニメのなかには、作画崩壊でさえも、ちょっとした魅力になっているものが数多くあったように感じます。

 例えばここ最近は滅多に見られなくなりましたが、かつてはエピソードによって作画の雰囲気ががらりと変わる作品も珍しくありませんでした。1984年より放送されたアニメ『北斗の拳』もそのうちのひとつです。ときに主人公の「ケンシロウ」が極太眉毛になったり、『ベルサイユのばら』のような作風で描かれたりと、アニメ『北斗の拳』は作画の雰囲気がコロコロ変わることで知られています。

 またケンシロウと「ラオウ」が雌雄を決する第49話「史上最強の戦い ラオウVSケン! 死ぬのはきさまだ!!」は、作画監督に「板野サーカス」で有名な板野一郎氏、原画に結城信輝氏らの名前が並んでいました。『超時空要塞マクロス』の登場人物ばりにイケメンに描かれたケンシロウは、今なおファンたちの間で語り草になっているようです。

 日本初の長編TV用連続アニメとして制作された『鉄腕アトム』にも、伝説となった作画崩壊エピソードが存在します。それが白黒アトム時代のなかで唯一、原作者の手塚治虫先生に頼まれて「スタジオ・ゼロ」が制作したといわれる第34話「ミドロが沼の巻」です。

 スタジオ・ゼロは、トキワ荘出身の漫画家たちが設立したアニメスタジオで、同エピソードには藤子不二雄先生(藤本弘、安孫子素雄)、石ノ森章太郎先生、つのだじろう先生、鈴木伸一先生という豪華メンバーがアニメーターとして名を連ねました。

 しかし当時のスタジオ・ゼロは設立から間もない頃で、いくら名の知れた漫画家たちでもアニメ制作に関してはまったくの素人です。絵柄を統一するためのノウハウもなく、おのおのが頭のなかにある「アトム」を描いてしまったがために、シーンごとにアトムの顔が異なるという珍現象が起きました。

 しかもアトムの画にはレジェンドたちそれぞれの個性が如実に表れており、今となってはお宝映像といっても過言ではありません。そのため「ミドロが沼の巻」は、いわゆる作画崩壊回であるにもかかわらず、ファンの間でカルト的な人気を博しています。

 作画にまつわる話題を語るうえで、『チャージマン研!』も忘れてはなりません。同作は1974年に放送され、2000年代に入ってからなぜか人気が再燃した伝説の低予算アニメです。

 ほかのアニメと比べて低予算ゆえに、まずBGMや効果音の絶対数が少なく、セル画の使いまわしや強引な引き延ばしも当たり前です。もはや事故とも言うべき作画ミスも盛りだくさんで、第31話「危機!爆破1秒前」では、なんとスタッフの手とメモ書きが映像に入り込んでいました。

 他作品では絶対に許されないようなミスですが、『チャージマン研!』に関しては「究極のメタフィクション」「アニメと実写の融合」などと称賛の声が聞こえてきます。

 ほかにもキャラクターの塗り忘れと見られる描写があったり、「研の偽物をやっつけろ!」と表示されるべきタイトルが「研の偽物をやっけろ!」になっていたり、とにかく見れば見るほどツッコミどころが満載です。近年は何かとアニメのクオリティにうるさい世のなかですが、『チャージマン研!』を見ればかわいいもんだと思えてくるかもしれません。

(ハララ書房)

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