星宮くん登場で思い出す『サザエさん』幻の「学校」キャラたち マスオに求婚した子も？

■テロリストみたいだった中島くんのお兄さん

　2024年12月1日放送のアニメ『サザエさん』放送55周年SPのエピソード「カツオ、ライバル現る！」に、ゲストキャラクターや1話のみ登場のキャラクターを除けば約39年ぶりとなる新キャラクター「星宮くん」が登場して話題になりました。「カツオ」の隣のクラスにやってきた転校生で、運動神経が良く、女子の人気も高いという設定です。

　半世紀以上放送された『サザエさん』には、これまで数多くのキャラクターが登場してきました。初登場時は、今とはまったく姿や性格が異なるキャラクターもいます。カツオと「ワカメ」が通う「かもめ第三小学校」関連だけでも、さまざまなキャラがいました。

　インパクトがあったのは、「ミニヨメさん旋風」（1969年11月23日放送）に登場したワカメの友達「サユリちゃん」です。「マスオ」に「おじちゃんのお嫁さんにならない？」と言われたのを真に受けて磯野家に上がり込み、マスオの妻として振る舞ったあげく、「サザエ」にマスオとの離婚を迫りました。

　また、カツオの友達には親友「中島くん」のようにメガネをかけた男子が多かったようです。「ご先祖バンザイ」（1970年2月1日放送）に登場した「石田公一」くんは、中島くんそっくりの見た目でした。

「純愛ものがたり」（1970年3月8日放送）に登場する「オオクラくん」は、背が高くてメガネをかけた少年です。カツオ、中島くんとトリオを組むことの多い「橋本くん」も、「カギッ子」（1970年2月1日放送）で初登場したときはメガネをかけたキャラクターでした（同じ苗字なだけで別のキャラかもしれません）。

　女子で印象的だったのは、「黒井ひとみさん」です。「きょうから二学期」（1973年9月2日放送）でカツオのクラスに転校してきた女の子で、「花沢さん」をひと回り大きくしたようなルックスをしていました。「だれを一番愛してる」（1974年5月14日放送）では、カツオの夢のなかで巨大化してカツオに迫っています（このときは後に花沢さんを演じた山本圭子さんが演じていました）。

　また、「発育優良番長」（1971年8月22日放送）に登場したカツオの友人「平山明夫くん」は、父親を殴り倒すほどの腕力の持ち主でした。「天才児ミナトくん」（1972年8月13日放送）に登場するカツオの同級生「ミナトトモノリくん」は、折り紙や手品が得意で洗濯にも詳しく、サザエが「家庭科の優等生」とため息をもらすほどの少年ですが、カツオより算数ができませんでした。いずれも1回のみの登場が惜しいキャラクターです。

　そのほか、カツオの担任の先生は、現在は中年の先生で定着していますが、かつて「イナダタケオ先生」という若い先生がいました。「カツオスパイとなる」（1971年9月19日）に登場したイナダ先生は、銭湯通いとパチンコが好きな若くて快活な先生で、シャンソンの「枯葉」を十八番にしています。カツオ、中島くん、早川さん、花沢さんが近所に住むお嬢様の「クミコさん」との縁結びをしました。

　初登場時、まったく見た目や性格が違ったのが中島くんのお兄さんです。「いたずら大スター」（1971年3月21日放送）に登場した中島くんのお兄さんは、長髪にサングラス、学生服に白いトレンチコートという見た目でした。

　彼はカツオと中島くんを連れていたずらを仕掛け、いたずらが露見して大騒ぎになると「ほとぼりが覚めるまで国外に逃亡しよう」と言い出す、テロリストみたいな性格をしています。温和な性格になった今の姿からは考えられません。

　今後も星宮くんに続いて、どのようなキャラクターが登場するのか、楽しみにしたいと思います。

（大山くまお）