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「ガンダム」の宇宙世紀史上最悪最凶兵器がわりとすぐ現実化しそうな話 その現状は?

マグミクス / 2024年12月28日 7時5分

「ガンダム」の宇宙世紀史上最悪最凶兵器がわりとすぐ現実化しそうな話 その現状は?

■わりと簡単に現実化しそうな宇宙世紀最凶兵器

「機動戦士ガンダム」シリーズは、技術革新の果てに宇宙へと進出した人類の姿を描き、モビルスーツ(MS)などの未来的な兵器が魅力的に登場する一方で、それらの兵器がもたらす戦争の悲劇や理不尽さを鋭く描写してきました。なかでも、特定の兵器が人道的に使用される保証がないという点は、作品の大きなテーマのひとつとなっています。

 その代表例ともいえる存在が、映画『機動戦士ガンダムF91』に登場する無人兵器「バグ」です。バグは、「カロッゾ・ロナ」率いるコスモ貴族主義勢力によって開発され、人間を自動で探知、殺害するために設計された円盤状の無人兵器です。「人だけを殺す機械」とも形容されるその無慈悲さは、多くの観客に強烈な印象を与えました。

 バグの恐怖は、その目的にあります。通常、MSや戦艦などの兵器は軍事目標を攻撃することをおもな目的としますが、バグは明確に「人」を標的とし、大量虐殺を目的としていました。大型バグの回転するチェーンソーによる直接的な攻撃や、小型バグが狭い空間に潜り込んで自爆する姿は、「ガンダム」シリーズ屈指のトラウマシーンとして知られています。

 しかし、このバグという存在は、SF作品に登場する架空の兵器として片付けるには、あまりにも現実味があります。その理由は、現実世界においてもバグと似た機能を持つ兵器がすでに実用化されつつあるからです。

 現実世界でバグに近い技術として注目されるのが、徘徊型(ロイタリング型)と呼ばれる自爆型ドローンです。このドローンは、一定時間空中を飛行し、目標を発見すると自爆攻撃を行う仕組みを持っています。見た目や具体的な殺傷方法は異なるものの、標的を探し出し攻撃するという本質はバグと共通しています。

 現在の徘徊型ドローンには、バグと異なる点がふたつあります。

 ひとつは、攻撃のトリガーが「人間の判断」に依存している点です。多くの徘徊型ドローンは遠隔操作によって命令を受け取り、その指示がなければ攻撃を実行しません。これは、ある意味でミサイルに近い性質を持っています。

 もうひとつは、動作環境への依存です。遠隔操作には電波通信が必要であり、電波が遮断される環境では機能が制限されます。

 しかし、もし完全自律型の徘徊型ドローンが実用化された場合、それは「バグ」の現実化を意味するでしょう。自律型ドローンは人間による操作を必要としないため、電波障害の影響を受けず、宇宙世紀の「ガンダム」シリーズで描かれるミノフスキー粒子のような通信妨害環境でも機能することが予想されます。

 徘徊型ドローンはすでに実戦で使用され、その技術は日々進歩しています。将来的には、より高性能で自律的な行動が可能な兵器が登場する可能性があります。例えば、AIによる画像認識技術はすでに実用段階にあり、人間だけを自動で検出するシステムは様々な分野で用いられています。この技術が徘徊型ドローンに組み込まれた場合、人間を標的とする自律型兵器の登場が現実となるでしょう。

 バグが実現する日はそう遠くないのかもしれません。

(関賢太郎)

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