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「ガンダム」シリーズの絶対乗りたくない悲しい機体「モビルスーツなんて夢のまた夢」

マグミクス / 2025年1月17日 7時10分

「ガンダム」シリーズの絶対乗りたくない悲しい機体「モビルスーツなんて夢のまた夢」

■これに乗れば宇宙の藻屑になるのは決定的

「悲しいけど、これ戦争なのよね」とつぶやいたのは「スレッガー・ロウ中尉」ですが、アニメのなかといえども、戦争とは非情なものです。

 TVを観ているときは天才エースパイロットや軍師気取りでいられても、戦火のただなかに叩き込まれたら、命令どおりの機体に乗って宇宙の荒波のなかに放り出されることになります。たったひとつの命は大切にしたいものですが、戦争となればそうも言っていられません。

 せめて生存確率の高い機体に我が身を預けたいと思うのは当然です。しかし、一見しただけで「これに乗れば宇宙の藻屑になるのは決定的」といった悲しい機体があるのもまた事実といえるでしょう。

 アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する地球連邦軍の「パブリク」は、オレンジのカラーリングに巨大な2発のビーム拡散用ミサイルが特徴の宇宙突撃艇です。機銃や小型ミサイルポッドを装備しているものの、主な目的は「ビーム撹乱膜」を形成することであり、戦闘力が高い船艇とはけっして言えませんでした。

 ソロモン攻略戦やア・バオア・クー攻略戦などで運用され、たいした攻撃力を持たないパブリクは離脱する暇も与えられないままビームやミサイルで景気よく撃墜されていきました。ビーム攻撃を無力化する重要な役目を担ったとはいえ、これに乗って宇宙の激戦地帯に赴くのは死にに行くようなものでしょう。命令する側はいつだって気楽なものなのです。

 悲しい機体といえば、OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO -黙示録0079-』に登場したモビルポッド「オッゴ」が思い浮かびます。ジオン軍の戦局ひっ迫にともなって投入された機体で、「決戦兵器」とは名ばかりの、箱にザクマシンガンなどの流用した武器がついただけの代物でした。旧日本軍しかり、戦況が悪化すればするほど軍隊は大げさな呼び名をつけるものです。

 オッゴは連邦軍の「ボール」相手に予想外の戦果を挙げますが、連邦軍兵士に「ジオンのゴミ箱」「ドラム缶の化け物」呼ばわりされるのも仕方のない機体と言わざるを得ません。その上、整備不足の欠陥品で、何もしなくても爆散してしまう始末です。乗せられたのが訓練不足の少年兵たちばかりというのも悲しさを際立たせました。

 アニメ『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』の「イノベイター」勢力による量産型MS「ガガ」も忘れられない機体です。脚部がなく、武装もバルカンのみと戦闘力が非常に低いガガの目的はズバリ「特攻」でした。大量に出撃して「トランザム」と口にしながら特攻を繰り返し、「ソレスタルビーイング」に甚大な被害を与えていきます。

 ガガのパイロットは、感情や自我のない人造人間の「イノベイド兵」でした。そのように、感情や自我をなくしたパイロットを特攻兵器に押し込めて出撃させる戦争は本当に恐ろしく、悲しいものであるとあらためて感じさせる機体でした。

 戦争の大局を担う戦略やド派手な作戦を考えることは、ついつい人をうっとりとさせてしまいがちですが、そこには必ず捨て石のような存在があります。戦争になれば誰だって捨て石になって犬死にする可能性があるかもしれない。「ガンダム」シリーズの悲しい機体たちを見ると、そのようなことが脳裏をよぎるのです。

(大山くまお)

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