【ネタバレ注意】話題沸騰の『ガンダム ジークアクス』 ファンの期待を超える衝撃展開の真相
マグミクス / 2025年1月18日 11時12分
■ガンダムファンを驚愕させた展開
2025年1月17日、「ガンダム」シリーズの最新作『機動戦士Gundam GquuuuuuX(ジークアクス)』第1話から第3話の先行劇場公開がついに開始。その秘密のベースがはがされました。
『ジークアクス』は、「エヴァンゲリオン」シリーズで知られるスタジオカラーとサンライズのタッグによる「ガンダム」シリーズと発表があって以来、アニメファンの期待を高めてきました。公開された内容は、ガンダムファンなら誰もが驚くべきものとなりました。本稿では、「ネタバレあり」でその内容をレビューします。
※これ以降、映画の内容に関する情報「ネタバレ」と考えられる表現が多く含まれています。閲覧にはご注意下さい。
●ガンダムを奪うのがアムロではなかったら……
冒頭、「ファーストガンダム」こと『機動戦士ガンダム』ファンなら聞きなれたナレーションが聞こえてきます。
「人類が増え過ぎた人口を宇宙に移民させるようになってすでに半世紀が過ぎていた。地球のまわりの巨大な人口都市は人類の第二の故郷となり、人々はそこで子を産み、育て、そして死んでいった」
そして、宇宙世紀(U.C.)0079、地球から最も遠い宇宙都市であるサイド3がジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んだことが語られます。さらに、物語は辺境のコロニーであるサイド7に、ジオン軍のザクが侵入するのです。
「ファーストガンダム」をよく知る人ならご存じのプロットでしょう。そう、これは『機動戦士ガンダム』の第1話「ガンダム大地に立つ!!」のプロットです。
しかし、そこから異変が発生。本来なら連邦軍が極秘裏に開発していた白いモビルスーツにアムロ・レイが乗り込みます。しかし、ここではなんとシャア・アズナブルがその機体を奪取。さらに、戦艦ホワイトベースもジオン軍が手中に収めることになります。
そして、白いモビルスーツは、シャアのカラーである赤に塗られ、シャア専用機として運用されることに。かの有名な「一年戦争」は、ジオン軍の勝利に終わるのです。
この衝撃の展開を、鶴巻和哉監督は「仮想戦記」ものと位置付けています。仮想戦記とは、戦争や歴史の転換点となった戦いの結果が史実と異なっていた場合、どうなっていたのかを空想して描かれるフィクションのいちジャンルです。例えば、「太平洋戦争で日本が勝利する」という具合いに現実の戦争の結果を変えて描くような作品が80年代には流行しました。
『ジークアクス』は、その点でオリジナルの『機動戦士ガンダム』を正史と捉えて、「もしシャアがガンダムを奪取できていたら」という想像上の展開を描いたものだといえるでしょう。
この架空の展開においては、キシリア・ザビは死亡せず、シャアは戦いの最中にニュータイプの力とも絡んでいそうな未知の現象に巻き込まれて消息不明となります。戦争の結果のみならず、さまざまな細かな点で正史とは違いが発生しており、その違いから『ジークアクス』本編の物語が紡がれていくのです。
また、本作は内容のみならず担当声優も一新されています。シャア・アズナブル役には『東京リベンジャーズ』の花垣武道役で知られる新祐樹が、キシリア・ザビは名塚佳織、マ・クベは杉田智和、シャリア・ブルには川田紳司が扮しています。こうしたキャストの違いも「仮想」の展開という印象を強くさせています。
■モビルスーツ同士の非合法バトルに身を投じる女子校生アマテ
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』ビジュアル (C)創通・サンライズ
そんな衝撃の展開の第1話を経て、第2話と第3話ではいよいよ『ジークアクス』本編の物語が紡がれていきます。舞台となるのは、一年戦争終結後から5年後のU.C.0085の、イズマ・コロニー「サイド6」。この地で暮らす女子高校生のアマテ・ユズリハは、モビルスーツを戦闘可能にするデバイスを運ぶ移民の少女ニャアンと遭遇。その運びに付き合うと、赤いガンダムとジオン軍の新型モビルスーツ「GQuuuuuuX」の戦いに巻き込まれていきます。
アマテは素人ながら、天才的なひらめきを発揮して、ジークアクスを乗りこなし、軍警ザクを撃退。その腕を買われて、アマテは違法なモビルスーツ同士のバトル「グランバトル」に誘われ、赤いガンダムを操っていた謎の少年シュウジ・イトウとともにバトルに参加。
そして、その様子をTV越しに見ているのは、ジオン軍中佐のシャリア・ブル。彼は、シャアが乗っていたはずの赤いガンダムが出没の情報を聞きつけて、鹵獲(ろかく)しにやってきたのです。
果たして、光とともに消えたシャアはどうなったのか、なぜシャアの機体をシュウジが乗っているのか、いきなりモビルスーツを乗りこなしたアマテはニュータイプなのか、などなど気になる要素を多々残しますが、続きはTVシリーズのお楽しみといったところでしょう。
●庵野秀明氏の念願叶えたプロット?
第1話では、一年戦争の仮想展開が描かれます。これについて公式パンフレットの鶴巻和哉監督インタビューによると、このエピソードは、本来アバンタイトルだけで描かれる予定だったとのこと。その後、1話分のエピソードとして膨らませ、庵野秀明氏がプロットを作り上げたようです。鶴巻監督曰くプロット段階で脚本並みのディテールがあり、映画1本分になりそうな分量だったとのこと。
この一年戦争をしっかり描くというのは、庵野氏の希望であったようで、公式パンフレット豪華版に付属のマテリアルに掲載されているクロストークによると、「シャアが赤いガンダムに乗って戦う」物語を本来やりたかったと語っており、その念願を叶えた第1話といえそうです。
また、この第1話は、その後に続く第2話以降とはキャラクターデザインも異なり、「ファーストガンダム」準拠のデザインとなっています。一方で、モビルスーツのデザインは細かく変更が施されているなど違いがあり、「仮想戦記」であることが強調されている印象を与えます。
驚きの幕開けから、全く新しいガンダムが始まりそうな予感のする本作。TVアニメの先行上映といえども、非常に濃密で情報量の多い内容のため、読後感はとても良く、迫力のモビルスーツバトルも多数見られ、極上の劇場体験を味わえる快作です。
(杉本穂高)
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