「1985年の東映特撮」が超ヤバいお話 40年前のすげぇ番組ラインナップにきっと驚愕
マグミクス / 2025年1月25日 8時55分
■当たり年1985年の東映特撮ラインナップは…?
過去のできごとを整理して振り返ると意外なことがわかるものです。今から40年前の1985年、この年の「躍進」が、今日の東映TV特撮番組を支えた要因かもしれません。
1985年スタートの東映TV特撮番組、その一番手は、1月10日から放送開始した『兄弟拳バイクロッサー』でした。前年に放送された『星雲仮面マシンマン』の流れを引き継いだ作品です。
子供の泣き声を聞かせるとダイヤモンドを吐き出す力を持つ「魔神ゴーラの像」、それを手に入れた犯罪組織「デスター」の首領「ドクターQ」は、組織を使って子供を泣かせるという行為におよびました。
これを阻止するのが海蛇座第III銀河星団の守護神「ペガサス」に選ばれた兄弟戦士「バイクロッサー」こと、兄の「バイクロッサー・ケン」と、弟の「バイクロッサー・ギン」です。その必殺技がギンの乗ったバイク「ギンクロン」をケンが肩に担いた状態で発射する「ブレーザーカノン」でした。
コメディタッチなドラマ展開ながらも、アクション要素が強い低年齢層に向けた作品です。もっとも裏番組が当時の大人気帯番組「夕やけニャンニャン」だったことから、平均視聴率は4.9%と苦戦していました。
この翌月である2月2日から放送開始した作品が、「スーパー戦隊」シリーズの『電撃戦隊チェンジマン』です。前作『超電子バイオマン』が、「毎回の主役5人の名乗り」や「怪人の巨大化」などといった従来のパターンを脱したのに対して、本作では従来の路線に回帰していました。
もっとも、それまで避けていたミリタリー色の濃い軍事組織「地球守備隊」をスーパー戦隊の母体組織とし、本格的な宇宙からの侵略者「大星団ゴズマ」を敵組織に置くといった、従来の要素の強化版ともいうべき点があります。
怪人の巨大化も、これまでのように怪人単体の能力や、そっくりの巨大ロボといったパターンではなく、原始生物「ギョダーイ」が発射する光線と設定されていました。この「巨大化光線」という設定は本作で初めて導入されたもので、以降のシリーズでも使われることとなります。
これ以降のシリーズでも使われるパターンとして本作が初の試みとなったのが、終盤に敵レギュラーが戦隊側の協力者へとなることです。それまでも心を入れ替えた敵はいましたが、だいたいは裏切り者としてすぐに処刑されるのが通例でした。そのパターンを壊した、敵からの脱走者が味方になるという展開は、終盤のドラマを盛り上げます。
ちなみに全55話という放送回数は、『秘密戦隊ゴレンジャー』(全84話)に次ぐ戦隊史上第2位となる記録です。これは特に人気が高かったというわけではなく、次回作『超新星フラッシュマン』が3月開始となったことから延長されたからでした。
もっとも、この延長によって物語終盤のドラマを丹念に描く余裕ができたのは間違いありません。そういった意味では、スーパー戦隊シリーズの分岐点のひとつになった作品ではないでしょうか。
■単発ドラマも伝説の…!
『ギャバン』に始まる「メタルヒーロー」シリーズ第4作。「巨獣特捜ジャスピオン VOL.4〈完〉」(東映ビデオ)
さらに翌3月15日から放送開始したのが『巨獣特捜ジャスピオン』です。前年までの「宇宙刑事」シリーズの特徴を引き継いだ、金属製の鎧を身に着けたヒーローでした。
このほかにも、「銃と剣を武器とした戦い」「巨大母艦、バイク、戦車といったメカを持つ主人公側の基本フォーマット」を踏襲しつつも、宇宙刑事とは違う作品として誕生します。その最大のポイントは、メインの敵が等身大ではなく、巨大怪獣となる「巨獣」との戦いが中心となったことでしょうか。
このため、主人公「ジャスピオン」の乗り込む超惑星戦闘母艦「ダイレオン」は、主にロボット形態で毎回、巨獣との戦闘をしていました。もちろんジャスピオンが戦う等身大の敵にも注目すべき点があります。なかでも「マッドギャラン」の存在は大きいものでした。
マッドギャランは本作のラスボス「サタンゴース」の息子で、白銀のメタルテックスーツを着たジャスピオンと対を成す、黒い姿の戦士です。専用のマシン「ジャルド・ブーマ」で、ジャスピオンとのマシンによる空中戦もありました。
このマッドギャランは、後のシリーズに登場する「悪のメタルヒーロー」第1号です。演じたのは「スーパー戦隊」シリーズで2度も「ブラック」を演じた春田純一さんでした。放送当時は「もっとも黒が似合う男」と呼ぶ人もいたほどです。
こういった新機軸を加え、「宇宙刑事」シリーズは「メタルヒーロー」シリーズへとバージョンアップしました。つまり「宇宙刑事の枠にはまらなくてもいい金属製の鎧を身に着けるヒーロー」を生み出したということです。
さらに翌月の4月7日に放送開始したのが「東映不思議コメディ」シリーズ第5作目『勝手に!カミタマン』でした。スーパーヒーローにあこがれる「根本伸介」が神様「カミタマン」の力で、「ザ・ネモトマン」というヒーローに変身するというコメディ作品です。
当時としては異例の、玩具会社からオモチャが発売されないという作品でした。ちなみに前作『どきんちょ!ネムリン』は「タカラ(現在のタカラトミー)」、次回作『もりもりぼっくん』以降は「バンダイ」がスポンサーとしてオモチャを販売しています。
このように1985年の東映は、1月から4月まで毎月、特撮の新番組をスタートさせていました。これは1970年代前半の「変身ヒーロー」ブームに匹敵する勢いかもしれません。そして実はこれ以外にも、東映制作の新番組があります。それが、4月11日から放送開始した『スケバン刑事』でした。
この『スケバン刑事』は、主人公「麻宮サキ」を演じた斉藤由貴さんの人気との相乗効果で一大ブームとなります。放送自体は半年ほどで終了しましたが、その人気からシリーズ化し、そして続編が映画化されました。
厳密には特撮番組のカテゴリーには入らないかもしれませんが、当時の視聴者的には「特撮」として観ていたファンも少なくありません。後にアイドルを使った類似番組が制作されるほど人気のあった作品です。
このほかにも、フジテレビ「月曜ドラマランド」の枠で8月5日に実写版『ゲゲゲの鬼太郎』が放送されました。84分枠の作品で、メタルヒーローシリーズを思わせる作りの作品です。それも当然のことで、当時『ジャスピオン』を制作していたスタッフによる作品でした。当然、制作は東映です。
なお、この年の月曜ドラマランド枠では、往年の東映特撮の人気番組である『仮面の忍者 赤影』も、8月26日に放送されています。主人公「赤影」は当時ジャスピオンを演じていた黒崎輝さんが起用されていますが、制作は東映ではなくテレパックとなっていました。
こうして振り返ってみると1985年は変身ヒーローブーム以来となる東映特撮作品の飛躍の年だったのかもしれません。
(加々美利治)
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