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『ガンダム』アムロならかわせる? 現実のミサイルなどの誘導はかなり「えげつない」

マグミクス / 2025年1月24日 7時10分

『ガンダム』アムロならかわせる? 現実のミサイルなどの誘導はかなり「えげつない」

■ミノフスキー下でもけっこう当たりそうな現代の誘導兵器

 アニメ『機動戦士ガンダム』シリーズにおいて、主人公「アムロ・レイ」たちの鮮やかな操縦技術は、多くの視聴者に驚きと憧れを与えてきました。ビームをすれすれでかわし、敵のミサイルを軽々と回避するその姿は、ニュータイプの象徴といえるでしょう。しかし、これが現実の世界で可能なのでしょうか。

 戦闘機やミサイル、機関砲が登場する現代の空戦に置き換えて考えてみると、まったく異なる結論が導かれます。現代の誘導兵器や機関砲の性能は、「ガンダム」のような機動的な「回避」を事実上、不可能にしているのです。

 アムロが劇中で避ける「ミサイル」に相当する現代の誘導兵器は、精密さと命中率で比類なき進化を遂げています。特に対空ミサイルは、発射後に標的を追尾する能力が極めて高く、命中はほぼ確実です。これらの兵器は、ターゲットの速度や軌道を追尾し続けながら、場合にもよりますが予想着弾点へと飛翔すべく軌道修正を行います。

 例えば、アメリカのAIM-120 AMRAAM(先進中距離空対空ミサイル)空対空ミサイルは、発射後に最新の位置情報を受信し、目標に向かう途中で誘導情報を修正できます。また、最終的に自身に内蔵されたアクティブレーダーを用いて独自に追尾するため、標的が急旋回を行ったとしても、高速で補正することが可能です。

 ミサイルの機動性能は戦闘機の運動性能をはるかに凌駕しており、事実上、「ひらりと避ける」ことは不可能とされています。発射されたミサイルが理想的な条件で飛翔した場合、回避できる確実な手段はありません。また、仮に回避できたとしてもミサイルは「近接信管」を持った「爆風破片弾頭」であることが多く、爆発と同時に大量の破片を生み出し周囲に加害範囲を形成するため、必ずしも命中させる必要はないのです。

 ミサイルほど注目されることは少ないものの、戦闘機に搭載された機関砲の性能も驚異的なレベルに到達しています。古典的な「目視での照準」に頼っていた時代とは異なり、現代ではレーダーと高度な火器管制システム(FCS)による支援が標準仕様です。これにより、目標の速度や位置、方向を瞬時に計算し、パイロットがトリガーを引く際にはすでに弾道が予測され、命中精度が飛躍的に向上しました。しかもミサイルと異なり妨害が全く効かないというメリットもあります。

 では、現代の戦闘機パイロットは、どのようにして敵のミサイルや機関砲の攻撃を回避するのでしょうか。その答えは、「有効射程に入らないこと」に尽きます。戦闘機パイロットにとっては、ミサイルや機関砲の攻撃を「かわす」よりも、「撃たれない位置を保つ」ことの方が重要なスキルとされているのです。

 また、射撃されたあとにしても、飛翔距離を超える方向に進路を取ることが有効である場合があります。例えば、敵のミサイルが発射された時点で距離が十分に遠ければ、ミサイルの燃料と速度エネルギーが消耗し、自身の機体に到達する前に失速する可能性があります。

 かつて機関砲のみが有効な攻撃手段だった時代はともかく、現代においてはアムロのような「ニュータイプ的回避術」は非現実的です。戦闘機パイロットが生き残るためには、敵の有効射程に入らない戦術やレーダーなどを攪乱する電子戦技術の活用が必要不可欠となっているのです。

(関賢太郎)

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