R指定も納得な実写化作品 過激すぎて「もはやアクション映画」「応援上映まで」

■もはや「実写化不可能」なんてないのでは？

　コンプライアンスの遵守が叫ばれる昨今、過激な描写のあるマンガや小説などの作品が原作の実写化には、原作ファンから「さすがにこれは映像化無理でしょう」といった意見が出ることも少なくありません。それでも、不特定多数の人が観ることができる地上波ではなく、映画で年齢制限を設けて数々の衝撃シーンを再現した作品もあります。

●『ちょっとかわいいアイアンメイデン』（R15+）

　月刊誌「4コマnanoエース」「ヤングエース」で連載されていた『ちょっとかわいいアイアンメイデン』（原作：深見真／作画：α・アルフライラ）は、学校公認で拷問を研究する女子校の「拷問部」を描いた人気4コママンガです。かわいらしい絵柄ながら、さまざまな拷問に関する雑学が解説されている異例の作品として話題を集めていました。

　本作は、2014年にグラビアアイドルとして人気の木嶋のりこさん主演で実写映画化されました。木嶋さんが演じた主人公「武藤結月」は、名門高校の入試の際に出会ってひと目惚れした上級生「舟木碧生（演：吉住はるな）」に惹かれて「拷問部」への入部を決意します。

　作中では緊縛をはじめとする激しい拷問シーンが多く、なかには虫を使った衝撃的な拷問もあり、人によっては激しい嫌悪感を抱くでしょう。さらに自慰行為を行うシーンや、女性同士の刺激的な場面があり、映像倫理機構（映倫）からR15+の指定を受けています。

　激しい描写に戸惑う人も多い一方、「半強制的に入部した結月が、素質を発揮していく過程の演技が凄かった」「原作より結月と碧生の恋愛要素多めだったけど、純愛だったから好き」と、ストーリーや演技は好評です。

●『娼年』（R18+）

　マンガ化（作画：幸田育子）もされた小説『娼年』（著：石田衣良）は、主人公「森中領（演：松坂桃李）」が女性向けの会員制ボーイズクラブで娼夫「リョウ」として働く物語です。設定上、当然濡れ場が多く描かれており、2018年の実写版映画は映倫によってR18+の年齢制限が定められました。

　当初は入店試験にギリギリ合格するレベルだったリョウですが、「漏らすところを見てほしい」というイ「ツキ（演：馬渕英里何）」や「妻（演：佐々木心音）を目の前で犯してほしい」という依頼をする「泉川（演：西岡徳馬）」といった強烈な客との出会いを経て成長していきます。

　冒頭を含め、何度も濡れ場が登場するために驚く声がある一方、「濡れ場を通して人とのつながりを描く世界観は好き」「ひとりの青年が成長していく姿がよく描かれている。たまたま題材が性行為なだけ。その描写がアクション映画並みに迫力がありもはや芸術的」「ちゃんとラスボス戦があって盛り上がる」「松坂さんの身体張った演技が凄かった」と、好意的な意見が多い作品となりました。

　また、『娼年』はまさかの「応援上映」が行われたことでも、大きな話題を集めています。「リョウくんの腰の動きに合わせて太鼓が叩かれてた」「濡れ場が終わったタイミングで『おつかれー！』って声援が飛んでて笑った」といったカオスな感想が飛び交い、再度企画されるほど盛況だったようです。

●『チワワちゃん』（R15+）

　2019年公開の映画『チワワちゃん』は、岡崎京子先生の同題マンガが原作の作品です。

　物語は東京湾で発見されたバラバラ死体が、「チワワちゃん」の愛称を持つ作中のキーパーソン「千脇良子（演：吉田志織）」だと発覚したところから始まります。残された仲間たちは集まってチワワちゃんとの思い出を語り合うも、誰も彼女の本名や境遇を知らなかったということに気が付くのでした。

　濡れ場が話題になった『ヘルタースケルター』『リバーズ・エッジ』など、ほかの岡崎先生原作の映画比較するとそこまで刺激は強くないものの、乱行シーンや自暴自棄になったチワワちゃんがAVに出演するシーンなど、なかなか人を選ぶ展開も目立ちます。

　とはいえ本作は退廃的な雰囲気もありつつ、爽やかかつ切ない青春映画として人気です。ひょんなことから600万円もの大金を手にしたチワワちゃんと仲間たちが、ホテルを借り切って豪遊するシーンをはじめ、サイケデリックでスピーディーな映像美も堪能でき、「キラキラした青春を感じさせる演出が見事だった」「音楽の使い方とかカットがエモい」と好評が相次ぎました。

（田中泉）