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1月26日は『初代ガンダム』最終回の放映日 富野アニメの「女性像」が強烈だった

マグミクス / 2025年1月26日 12時20分

1月26日は『初代ガンダム』最終回の放映日 富野アニメの「女性像」が強烈だった

■2025年は『ファーストガンダム』最終回から45周年

「僕には帰れるところがあるんだ こんなうれしいことはない」

 ファーストガンダムこと、TVアニメ『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)の最終話「脱出」にて、主人公のアムロが口にする言葉です。ガンダム史上、最も有名な名ゼリフのひとつでしょう。

 2025年1月26日(日)は、1979年4月7日に始まった『機動戦士ガンダム』の最終話がオンエアされて45年めとなります。再放送、ビデオ録画、配信などで何十回も繰り返し見直したファンが多いであろう『機動戦士ガンダム』の最終回と、富野由悠季監督の演出の特徴について振り返りたいと思います。

■戦いを終え、仲間のもとへ帰るアムロ

 地球連邦軍とジオン軍との全面戦争も、ついに最終局面を迎えます。ジオン軍最後の拠点である宇宙要塞ア・バオア・クーにて、ガンダムを操縦するアムロと、未完成状態のジオングに乗り込んだ「赤い彗星」シャアが激突します。

 ジオン軍のエースパイロットとして活躍してきたシャアですが、ニュータイプとして覚醒したアムロに圧倒されてしまいます。しかし、主人公機であるガンダムも、ジオングの捨て身の攻撃によって頭部を破壊されるなど、ボロボロになってしまいます。

 結局、アムロが自動操縦に切り替えたガンダムは、頭部だけとなったジオングと差し違える形で大破します。頭のないガンダムがビームライフルを撃つこのシーンは「ラストシューティング」と呼ばれ、ファンに語り継がれることになります。

 最終回のクライマックス、アムロはホワイトベースの仲間たちに心の声で呼びかけて、戦場からの脱出に導きます。何度見直しても、胸に迫るものがあります。ニュータイプの力が、殺し合うための手段ではなく、仲間の命を守るものとして活用された名シーンでした。

 脱出用ランチに乗ったホワイトベースの仲間たちに迎えられ、アムロは冒頭のセリフを口にします。ランチの甲板では、セイラさん、ミライさん、それにフラウ・ボゥが両腕を広げ、アムロの帰還を待ち構えています。はたして、アムロは誰の胸に飛び込んだのかも気になるラストでした。

■「生殺与奪の権」を握る富野アニメの女性たち

最終話の「ラストシューティング」を再現した状態の、「ENTRY GRADE 1/144 RX-78-2 ガンダム」(バンダイ)

『機動戦士ガンダム』は全52話での放送予定が43話に短縮されたため、終盤の展開はかなりあわただしいものがありました。それでも、従来の巨大ロボットアニメとは大きく異なるリアリティーと深みのある人間ドラマに、ファンは衝撃を受けました。

 SFアニメとしての面白さは多くの評論家たちが語っていますが、富野監督による独特な演出も大きなインパクトがあったように思います。ひと言でいうなら女性キャラクターたちがとても生々しく、物語に大きな影響を与えているところです。

 ザビ家の長女キシリアは、第42話で兄・ギレンを射殺し、最終話でもジオン軍の総指揮を執っています。ア・バオア・クーを脱出後も、戦争を続けるつもりでした。また、第41話で亡くなったはずのララァですが、思念だけは宇宙空間に残り、戦場で傷ついたアムロを励まし、生きる道を選ばせます。

 女たちが、戦う男たちの「生殺与奪の権」を握っているといえるでしょう。『機動戦士ガンダム』全体を見ても、女性キャラの言動が男たちを大きく左右してきたことが分かります。

■富野監督にとって忘れられない女性の存在

 富野監督が1981年に刊行した自伝的エッセイ『だから僕は…』(徳間書店)に、興味深い記述があります。日大芸術学部を卒業した富野監督は、アニメ制作会社「虫プロ」に入社し、若手演出家として早々に活躍するようになります。当時の「虫プロ」は経営的に揺れており、また富野監督はTVアニメ『鉄腕アトム』でいちばん多くエピソードを演出したことを同僚にやっかまれ、必ずしも居心地のよい職場ではなかったようです。

 そんな折、大学時代から「チョキ」と呼ばれていた後輩の女性に誘われ、CM制作の仕事をするようになり、「虫プロ」を退職します。彼女との結婚も考えていた富野監督ですが、CMの仕事が肌に合わず、フリーのコンテマンとしてアニメ界に戻ることになります。ひとりの女性に公私ともに振り回された、20代の富野監督でした。

 チョキは女性キャラのモチーフになった……とも、『だから僕は…』で語っています。2001年に出版されたエッセイ『ターンエーの癒し』(角川春樹事務所)でも再び「チョキ」について触れているので、富野監督にとって忘れがたい女性だったようです。

 同世代の宮崎駿監督が描く女性キャラクターが「理想の女性像」であることが多いのに対し、富野作品の女性たちはリアリストである一方、妖艶さ、菩薩的な優しさも持つ、多面的なキャラとなっているのが印象的です。ファンが大人になっても、富野アニメに魅了され続ける大きな要因ではないでしょうか。

(長野辰次)

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