『トップをねらえ!』最終回は前代未聞、そして至高…アニメ史に残る最高のEDとは
マグミクス / 2025年2月4日 21時10分
■最終6話、なぜ色がなかった?
2025年1月17日、TVシリーズの放送に先駆け、一部話数を劇場上映用に再構築した『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)-Beginning-』が公開され、大きな話題となっています。注目ポイントはなんといっても、監督に鶴巻和哉さん、脚本に庵野秀明さんなど、スタジオカラーのメンバーを交えた豪華なスタッフ陣でしょう。
鶴巻さんと庵野さんといえば、SFアニメの金字塔『トップをねらえ!』に携わったふたりでした。このアニメは庵野さんの本格的商業作品における初監督作で、鶴巻さんもまた「トップをねらえ! オカエリナサイBOX」収録の映像特典で初監督を務め、続編『トップをねらえ2!』の監督も担当しています。まさにふたりの原点ともいえる『トップをねらえ!』には、名作というにふさわしい最終回がありました。
『トップをねらえ!』は1988年から1989年にかけて、全6話のOVA作品として制作されました。近未来の地球を舞台に、地球帝国宇宙軍所属の少女「タカヤノリコ」と「アマノカズミ」が、「帝国宇宙軍附属沖縄女子宇宙高校(通称:沖女)」での訓練を経て、巨大ロボット「ガンバスター」のパイロットとなり、地球を狙う「宇宙怪獣」と戦っていく物語です。また同作はSF要素も強く、特に「ウラシマ効果」は壮大な展開を後押しする重要な部分でした。
ウラシマ効果とは、相対性理論の「高速で動く物体は時間の進み方が遅くなる」という考え方を転用したもので、ノリコたちが過ごす宇宙戦艦内と地球の間で時間のズレが生じてしまうことを、かの有名な昔ばなし「浦島太郎」に例えた現象です。そして迎えた最終回では、このウラシマ効果が重要な意味を持つことになります。
超巨大ブラックホール爆弾「バスターマシン3号」を用いて宇宙怪獣の根絶を狙う作戦に、ノリコとカズミはそれぞれバスターマシン1号、2号のパイロットとして参加しました。仲間たちの奮闘もあり、ようやくバスターマシン3号の起動のときを迎えるも、宇宙怪獣の攻撃による損傷が激しく、起爆に必要なエネルギーが足りなくなってしまいます。
そこでふたりはバスターマシン1号、2号が合体した「ガンバスター」で直接エネルギーを追加して起爆させようとしますが、それは同時にいままでの比ではないほどのウラシマ効果を受けることを意味していました。もうみんなと同じときを過ごすことはできない……。それでもふたりは、人類の未来を信じてバスターマシン3号を起爆させるのです。
そして1万2000年後、戦いを終えたガンバスターがたどり着いた地球は、灯りがひとつもなく、暗闇に沈んでいました。結局人類は滅びてしまったのかと落胆するノリコたちですが、つぎの瞬間、彼女たちの目に飛び込んできた光景は……。
実はこの最終回は、ほぼ全編白黒映像で展開されていました。カラーだったのは序盤のタイトルとラストのシーンのみで、「予算が尽きたから白黒になった」と噂されたこともある最終回ですが、明確な狙いがあったようです。
雑誌「アニメV」1989年7月号での庵野さんのインタビューによると、人類のために巨大爆弾を起動させる6話の展開には、庵野さんが当時増長していると感じていた「自然を本当に大切にしようと思ったら人類は滅ぶべきだ」という考えへのアンチテーゼが含まれているとのことで、白黒にしたのは一連の描写を嘘くさくなくするためであると語られています。
色の情報量が余計だと考えたという庵野さんは、「月の四分の一の大きさのブラックホール爆弾なんて、カラーでやったら絶対嘘になりますよ」「黒っぽい塊が画面にあって、そこにテロップが入れば『あ、これがブラックホール爆弾か』となるわけです」とも語っていました。
こういった狙いはもちろん、白黒演出からカラーに戻るラストのシーンは、多くの視聴者に感動をもたらし『トップをねらえ!』を名作たらしめたように感じます。果たしてノリコたちは1万2000年後の地球に何を見たのか、庵野監督の特異な感性が生み出した最高のエンディングは、ぜひご自身の目で確かめてみてください。
(ハララ書房)
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