シリーズの異色作『黄金勇者ゴルドラン』伝説カオス回×2を語り継ごう 放送30周年
マグミクス / 2025年2月4日 7時10分
■シリーズ終了の危機から脱して生み出された新機軸の数々
本日2月4日は、1995年にTVアニメ『黄金勇者ゴルドラン』が放送開始した日です。今年2025年で30年の時が経ちました。「勇者シリーズ」第6作目として誕生した本作は、ファンの評価が大きく分かれる作品といわれています。
前作『勇者警察ジェイデッカー』がハードなシリアス路線をメインストーリーにしていたことから、本作は本来の対象である男児向けの方向に舵を切った作品でした。もちろんシリアスな展開がなかったわけではありませんが比較的、明るい作風でメインストーリーが動いています。
しかし、それ以上に本作を語るうえで外せない話がありました。それは本作が制作中止となり、勇者シリーズが終わっていたという可能性です。これには複雑な事情がありました。
ことの発端は、シリーズを制作していた株式会社サンライズが1994年4月1日、バンダイの資本参加を受けて同社傘下のグループ企業となったことです。これによりライバル会社であるタカラ(現在のタカラトミー)がスポンサーだった勇者シリーズの企画は一度、止まりました。
再開に関しては諸説ありますが、タカラの粘り強い説得と、それに応えたサンライズによるものといわれています。もちろんサンライズとしても、バンダイ以外の他社とのマーケティングをすべて失うリスクを回避したかったということもあるでしょう。
そういった事情から、企画に使われた時間は例年よりも短かくなります。もっともそれを感じさせない、それまでになかった設定が本作には盛り込まれていました。
その第一が、それまで「勇者」と心を通わせる少年はひとりでしたが、本作では「原島拓矢」「時村和樹」「須賀沼大」の3人組が主人公ポジションにいます。しかもこの3人組は、イタズラ好きのわんぱくな子供たちで、それまでの主人公像とは一線を画していました。
またヒロインと呼べる存在がいないことも斬新な点です。もっとも敵側のゲストキャラとして登場し、途中から味方側となった「シャランラ・シースルー」がヒロイン枠といえないこともありません。
これには、味方側の背景設定がほとんど描かれなかったことが由来します。主人公3人組の家族も明確に描かれていません。
あくまでも3人組の冒険が中心で、世界中にある不思議な宝石「パワーストーン」を見つけ、それを覚醒させて「勇者」を仲間に加え、幻の黄金郷「レジェンドラ」を目指すという展開となっています。単純明快なストーリーと、子供が夢中になる「宝探し」が軸となっており、これまでのシリーズ作品より整理された展開といえるでしょう。
その反動からか、敵キャラクターは深く降り下げた印象がありました。「ワルザック共和帝国」の王子「ワルター・ワルザック」です。3人組を「お子」と呼び、操縦技術など高い能力を持っていますが、世間知らずゆえの甘さからひどい目に会うというのが本作前半のパターンでした。
このワルターは後半から「イーター・イーザック」として3人組の仲間となります。この時に戦うことになるのが、実の弟である「シリアス・ワルザック」であり、最終的には父である「トレジャー・ワルザック皇帝」と戦うことになりました。
こういった展開から、ワルターを本作の陰の主役と考える人もいます。もっとも、この家族の因縁も本作らしい空気感で描かれているため、途中経過はともかく最終的には笑みがこぼれる展開で締めくくられました。
前述した本作の空気感、それをよく表したふたつのエピソードがあります。ファンも話題にすることの多い本作屈指のエピソードでした。
■『ゴルドラン』を代表する2つのカオス回
ゴルドラン、スカイゴルドラン、グレートゴルドランを再現可能なゴールドメッキのキット。「グレートゴルドラン ゴールドメッキVer.」(コトブキヤ) (C)サンライズ
そのひとつが、第33話「誕生子連れ勇者」でした。ここで主役ロボである黄金剣士「ドラン」は、こともあろうか惑星「ロボラルド」の女性型ロボット「マリア」とのあいだに4人の子供をもうけることになります。
この前代未聞の展開は当然のように視聴者を唖然とさせ、子供向け作品にあるまじき展開だと語り継がれることとなりました。もっとも、こうした「スタッフの悪ノリ」が本作の見どころだったといえるでしょう。
ちなみにマリア役は、人気声優である川村万梨阿さんでした。登場時は可憐なイメージがありましたが、子供をもうけて以降はドランを尻に敷くような態度に豹変、それを川村さんは抜群の演技力で表現しています。
もうひとつ、スタッフの悪ノリが爆発したといわれているのが、第37話「さらば黄金勇者-レジェンドラよ、永遠に-」でした。こちらに登場した「ソドラ王」こと「ホラフキーノ・ニマイジータ」を演じたのは、ベテラン声優である玄田哲章さんです。
このエピソードでは目的地であるレジェンドラに到着して冒険も終わるという展開から始まりました。しかし、それはソドラ王が仕掛けた罠で、勇者たちを宝石に戻して自分たちが代わりに冒険をしようとたくらんでいたのです。
前半は比較的、3人組と勇者たちの別れが情緒的に描かれていましたが、ソドラ王の正体がわかってからの後半は怒涛の超展開となりました。ゴルドランのバッタもんであるソドラ合体「ゴルソドラン」が立ちはだかるほか、勇者ロボのバッタもんが次々と登場します。このバッタもんたちは、みんなソドラ王と同じくハニワの顔をしているのが特徴です。
しかも本物に対して「22%パワーアップ(当社比)」しており、真正面からの戦いでは勇者たちが押される始末でした。ソドラ王はオープニングのセルフパロディ映像まで流すというやりたい放題です。
このふたつのエピソードは、本作の代表的なカオス回としても有名といえるでしょう。
これらの事例からも、スタッフの暴走がよくわかると思います。もちろんこのほかにも、3人組の罠にかかってワルターが裸にひん剥かれてTVで映像を流されたり、シャランラの行動がストーカー気味だったり、レジェンドラ王のデザインが「ああ」だったりと、注目ポイントは多くありました。
当時から放送ギリギリの作品と評する声は聞こえます。ただ、本作の監督である高松信司さんが、後にTVアニメ『銀魂』の監督をしたことを踏まえると、納得するという人も多いことでしょう。
もっとも勇者シリーズファンのなかには、本作を、そういった暴走から好きになれない人も少なくないようです。逆に高評価の人もいるわけで、人によって好き嫌いが分かれる作品だといえるかもしれません。筆者的にはシリーズのなかでも好きな部類に入る作品です。
(加々美利治)
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