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20代「知らなかった…」TVアニメの冒頭にある"あの注意書き"の由来

マグミクス / 2025年2月7日 12時10分

20代「知らなかった…」TVアニメの冒頭にある"あの注意書き"の由来

■アニメ・ゲーム業界に多大な影響を与えた事故

「TVを見るときは部屋を明るくして離れて見てください」――。この注意書きがTVアニメの冒頭に表示されるようになったのは、ある衝撃的な事件がきっかけでした。また、いまでは当たり前のように守られているゲームの著作権も、実は昭和の終わりから平成の始めにかけて起きた大きな事件を経て確立されたものでした。

 もしかすると、10代・20代の若年層は、これらの事件を知らない人も多いかもしれません。しかし、それらの出来事が今日のエンターテインメント業界のルールや仕組みを形作ることになったのです。

●国民的人気アニメが、視聴者の体調不良を引き起こす

 身近で起きた重大な出来事といえば、TVアニメ『ポケットモンスター』が発端になった騒動が印象的です。

 1997年(平成9年)12月16日に放送された第38話「でんのうせんしポリゴン」のなかに、演出としてフラッシュなどの激しい点滅が多用された場面があり、それを見た一部の視聴者が体調不良に陥るといった事故が発生しました。

 体調不良の原因は、過度な光の点滅によって「光過敏性発作」が引き起こされたためで、病院に搬送された人数だけでも700人規模と報じられました。病院にかからなかった軽度の症状も含めると、影響を受けた人数はさらに膨れ上がると思われます。

 TVアニメを見ていただけで多くの視聴者の体調に影響を与えたこの事故は、「ポケモンショック」と呼ばれました。その後、光の点滅といった演出は慎重に取り扱われるようになったほか、「TVを見るときは部屋を明るくして離れて見てね」といった注意喚起がTV番組を通じて流れるようになります。

 注意喚起の表示はいまも継続されており、「ポケモンショック」を知らなくともこのメッセージを見たことがある人は多いはず。それだけの影響を及ぼす事故だったと考えれば、事の重大さが想像つくことと思います。

●ゲームの立ち位置にも影響を与えた訴訟

 ゲーム業界もいろいろな出来事や事件が起こりましたが、その歴史を語る上で避けられない出来事が、「スペース・インベーダー・パートII事件」と「パックマン事件」です。

 国内でコンピューターゲームが一般的に広まったのは、『ブロック崩し』や『スペースインベーダー』などで盛り上がった1970年代後半です。この頃からすでに、オリジナルを無断でコピーした品が出回っており、不当に利益を得る業者が少なくありませんでした。

 1979年(昭和54年)には、タイトーが『スペースインベーダー』や『スペース・インベーダー・パートII』の無断コピーを行う製造販売業者に対して訴訟を起こし、損害賠償や、「本件プログラムは著作物に当たる」といった判決が1982年(昭和57年)に出ます。コンピュータープログラムが著作物であると認めた国内初の判決でもあり、「スペース・インベーダー・パートII事件」として広く知られました。

 そしてナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)も、『パックマン』の無断コピーに対して法的な動きを見せます。この時は、コピーを製造した業者ではなく、コピー品を設置して利益を得た喫茶店を経営する企業に対して、著作権法に基づき「上映権」の侵害にあたると主張しました。

 コンピューターゲームに限らず、新たな分野に関する法整備はどうしても遅れがちになります。そこで今回の『パックマン』の件では「上映権」を切り口に、『パックマン』は「映画の著作物」に該当するとして訴えを起こしたのです。

 この主張が争点となり、『パックマン』は映画の著作物に該当すると認められ、損害賠償を命じる判決が1984年(昭和59年)に下されました。こちらは、ゲーム(『パックマン』)が「映画の著作物」として認められた、国内初の判決になります。

 上述した2件の判決をきっかけに、ゲームの違法な無断コピー品が減少に向かう流れとなりました。こうした判決がなければ、市場が無断コピーで荒らされ続け、今日のような発展には至らなかったかもしれません。ゲーム史を語る上で重要な、なくてはならない事件です。

(臥待)

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