裏番組が強すぎたアニメ『ストップ!!ひばりくん!』 「男の娘」に少年たちは衝撃
マグミクス / 2020年5月20日 18時20分
![裏番組が強すぎたアニメ『ストップ!!ひばりくん!』 「男の娘」に少年たちは衝撃](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_28173_0-small.jpg)
■男の娘という言葉はまだ存在しなかった
1983年5月20日は、TVアニメ『ストップ!!ひばりくん!』(以下、ひばりくん)の放送が開始された日です。ヒロインを女装した男性が務めるという、1980年代としては飛躍的な発想のギャグ作品で、当時アニメを見た少年たちに大きな衝撃を与えました。江口寿史氏が「週刊少年ジャンプ」に連載していた原作は諸事情から1983年に打ち切りとなり長く未完のままとなっていましたが、27年後の2010年に発売された『ストップ!!ひばりくん!コンプリート・エディション』により完結しています。予備知識なしにアニメを見て、最初はひばりくんが女性だと気づかなかった記憶を持つライターの早川清一朗さんが、当時の困惑を語ります。
* * *
オープニングアニメーションで、ハートマークが背景から飛んでくる場面にかわいい子がいたら、女の子だと考えるのが37年前の普通だったと思います。現代のように「男の娘」という言葉がジャンル化し、さまざまな作品に当たり前のように存在している時代ではなかったのです。
とはいえ『ひばりくん』が関東圏で放送されていた枠の前番組は『ぼくパタリロ!』だったので、バンコランとマライヒのような美青年、美少年間ではぐくまれる愛もあるのだということは、おぼろげながらも分かっていました。
それでも新番組として始まった『ひばりくん』で、美少女のふりをして主人公の耕作を誘惑していたひばりくんが、実は男だったと分かったときは「なんで男が男のことを好きだって言ってるんだろう?」と困惑した覚えがあります。『無敵超人ザンボット3』の残酷描写とは違う意味で、この作品を小学生が普通にアニメを見る金曜夜7時に放送した理由を今でも知りたいと考えています。当時の小学生にはまだ早すぎたような気がするのです。
ちなみにひばりくんのキャラクターボイスを担当したのは間嶋里美さん。他にも『無敵ロボトライダーG7』の竹尾ワッ太や『機動戦士ガンダム』のミハル・ラトキエなどを演じています。後に『機動戦士ガンダム』アムロ・レイ役で知られる同じく声優の古谷徹さんと結婚して引退しましたが、『スーパーロボット大戦』シリーズで過去に演じたキャラクターのみという条件で、現役に復帰されています。
■裏番組が『ドラえもん』と『銀河漂流バイファム』
同性ラブコメという新しいギャグの世界を見せてくれた『ひばりくん』を筆者は存分に楽しんだ……と言いたいところですが、実はそれほど頻繁に見ることができたわけではありませんでした。当時のTVアニメは今のように土日の朝に局ごとに時間をずらして順番に見ることができるようにはなってはおらず、同じ時間帯にアニメ同士がぶつかることは珍しくありませんでした。しかも家庭用ビデオデッキの普及はそれほど進んではおらず、家族間での厳しいチャンネル争いもあり、見たい番組を好きなように見られたわけではなかったのです。
フジテレビ系列で放送されていた『ひばりくん』には、実に強力なライバルが存在していました。テレビ朝日系列の『ドラえもん』です。時代の最先端を行くジェンダー論を取り込んだアニメと『ドラえもん』。果たして子を持つ親はどちらを見せたがるかと言えば、それは『ドラえもん』になってしまいます。筆者も『ひばりくん』を見ようとすると、母親に「『ドラえもん』にしなさい」とチャンネルを変えられたことがあったような気がします。
加えて1983年10月からは、名作『銀河漂流バイファム』(以下、バイファム)がTBSで放送されており、同じ時間帯に『ひばりくん』『ドラえもん』『バイファム』が並ぶという現代からでは信じられない状況となってしまいます。
そういうわけで、筆者は本放送時には『ひばりくん』を十分に楽しむことはできず、後に購入した原作の方で存分に堪能させてもらうことになりましたが、最期は打ち切られ中途半端なところで終わっており、「一体この作品は何だったんだろう?」という気持ちと、週刊でギャグマンガを連載することの恐ろしさを垣間見ることにもなりました。
結局、『ひばりくん』が完結を迎えたのは打ち切りから27年経った2010年のこと。『ストップ!!ひばりくん!コンプリート・エディション』にひと通り目を通し、今でも通じる面白さを感じたのと同時に、完結を迎えたことへの安堵を感じました。 もし、『ひばりくん』の終わりにひっかかりを感じている方がいらしたら、読んでみることをお勧めします。
(早川清一朗)
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