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日本のゲームやアニメが原案の洋画【3選】 クリエイターの偏愛ぶりが感じられる!

マグミクス / 2020年5月23日 19時40分

日本のゲームやアニメが原案の洋画【3選】 クリエイターの偏愛ぶりが感じられる!

■『名探偵ピカチュウ』以外にもあるヒット作

 表情豊かなピカチュウが人間の言葉をしゃべることに、驚いたアニメファンもいたのではないでしょうか。2020年5月22日(金)の「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)で、ハリウッド映画『名探偵ピカチュウ』がTV放映されました。実写版『名探偵ピカチュウ』は2019年に劇場公開され、世界興収は4億3600万ドル、日本でも30億円を上回る大ヒットを記録。ピカチュウをはじめとする「ポケットモンスター」たちは、世界中で人気であることを証明しました。

 日本で人気のTVゲームやアニメ作品は、ハリウッドをはじめとする海外のクリエイターたちも注目しています。これまでにも日本発のTVゲームを原案にした『バイオハザード』(2002年)や『サイレントヒル』(2006年)などの実写映画が、成功を収めてきました。その一方、原作の世界観をうまく咀嚼できずに、強引に実写化してしまった『DRAGONBALL EVOLUTION』(2009年)のような残念な作品も生まれています。

 今回は日本のゲームやアニメを原案にしたハリウッド映画のなかから、クリエイターの日本文化への偏愛ぶりが感じられる作品を紹介します。

■1980年代の人気ゲームがモチーフ

『ピクセル』 (C) 2015 Columbia Pictures Industries, Inc., LSC Film Corporation and China Film Co., Ltd. All Rights Reserved.

 最初に取り上げるのは、『ホーム・アローン』(1990年)や『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001年)などのヒット作で知られるクリス・コロンバス監督が撮ったSFコメディ映画『ピクセル』(2015年)です。1980年代に爆発的ブームを呼んだアーケードゲーム『パックマン』や『ドンキーコング』が、物語の大きなモチーフとなっています。

 主人公のサム(アダム・サンドラー)は冴えない中年のオッサンですが、少年時代はすご腕のゲーマーでした。ある日、宇宙人が地球に襲来。サムはゲームの腕を米国政府に見込まれて、宇宙人を迎え撃つことになります。宇宙人との対戦方法は、NYを舞台にした実寸大の『パックマン』や『ドンキーコング』という超ユニークな設定。人類の命運は、サムの腕に託されます。

 宇宙人の攻撃シーンが8ビットで表現されるなど、遊び心満載の内容です。懐かしのゲーム『パックマン』を開発したゲームクリエイターの岩谷徹氏をモデルにしたイワタニ教授(デニス・アキヤマ)も登場し、「パックマンは悪者ではない。世界中の人々を楽しませるために作ったんだ」と泣かせるセリフを口にします。日本発のゲームカルチャーに対する敬意が感じられる作品です。

■ウォシャウスキー姉妹は日本のアニメが大好き

『スピード・レーサー』 (C)2008 Warner Bros.Ent. All Rights Reserved.

 ウォシャウスキー姉妹が監督した大ヒットアクション映画といえば、『マトリックス』(1999年)です。仮想空間を舞台にした斬新な設定が話題となりましたが、押井守監督の劇場アニメ『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(1995年)の影響を受けていることは有名です。そのウォシャウスキー姉妹が「マトリックス」シリーズの次の監督作に選んだのが、タツノコプロ制作のTVアニメ『マッハGoGoGo』の実写版『スピード・レーサー』(2008年)でした。

 マッハ号のデザインがかっこよかった『マッハGoGoGo』は米国でもTV放映され、幼い頃のウォシャウスキー姉妹は大ファンでした。日本では1967年にTV放映された『マッハGoGoGo』に対するリスペクトが、実写版『スピード・レーサー』にはあふれています。マッハ号のデザインやカラーリングだけでなく、ジャンプジャッキなどの特殊機能も再現されており、往年のファンを楽しませてくれます。

 興行的には厳しい結果となった実写版『スピード・レーサー』ですが、ウォシャウスキー姉妹の自分たちが愛する世界へのこだわりは充分に感じさせました。初めて見た日本のアニメに、幼き日のウォシャウスキー姉妹は、目を輝かせながら夢中になっていたことが作品から伝わってきます。

■現代は「ネオジャポニスム」の時代?

『パシフィック・リム』 (C) 2013 WARNER BROS. ALL RIGHTS RESERVED. IMAX (R) IS A REGISTERED TRADEMARK OF IMAX CORPORATION.

 最後に紹介するのは、日本ならではの特撮ドラマやロボットアニメの数々を一本の実写映画にまとめ上げた、ギレルモ・デルトロ監督のSF大作『パシフィック・リム』(2013年)です。メキシコ生まれのデルトロ監督は、日本で作られた怪獣映画や東映動画のアニメーション作品を浴びるように観て、育ったそうです。「日本、大好き」と公言するデルトロ監督のオタク愛が炸裂し、菊地凛子さんや芦田愛菜さんも重要な役で出演しています。

 架空の神話「クトゥルフ神話」をベースにした『パシフィック・リム』ですが、劇中に登場する巨大生物たちは「KAIJU(カイジュウ)」と呼ばれ、人類は「イェーガー」と名付けたロボットで応戦します。ロボットに操縦士が乗り込んで戦う様子は、『機動警察パトレイバー』や『新世紀エヴァンゲリオン』などを彷彿させます。主人公機である「ジプシー・デンジャー」が放つロケットパンチに、『マジンガーZ』世代は歓喜しました。

 他にも直接的な原作ではありませんが、ジェームズ・キャメロン監督の大ヒット作『アバター』(2009年)には、宮崎駿監督の代表作『もののけ姫』(1997年)からの影響を感じさせます。また、ディズニーのSFアニメ『ベイマックス』(2014年)は、日本の「スーパー戦隊ヒーロー」をモチーフにしています。江戸時代の浮世絵は、欧州の画家たちに強い影響を与え、「ジャポニスム」ブームと呼ばれました。日本で生まれたTVゲーム、アニメ、マンガといったポップカルチャーが、世界各国のクリエイターたちに影響を与えている現代は、「ネオジャポニスム」の時代と呼べるのではないでしょうか。

(長野辰次)

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