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自転車漫画『シャカリキ!』のほとばしる熱が、今も多くの人を魅了するワケ

マグミクス / 2020年5月22日 17時46分

自転車漫画『シャカリキ!』のほとばしる熱が、今も多くの人を魅了するワケ

■単なるマンガのキャラクターを超えた主人公

 2020年5月20日から6月2日までの間、小学館eコミックストアやKindleなどで『シャカリキ!』1~2巻ほか、『め組の大吾(1~3巻)』『昴(1~3巻)』、『MOON ~昴ソリチュードスタンディング~(1~2巻)』が読める、曽田正人キャンペーンが開催されています。

 なかでも、1992年から95年まで「週刊少年チャンピオン」に連載された『シャカリキ!』は、当時自転車競技に注目したマンガがほとんど存在しないなか、作品からほとばしる圧倒的な熱が多くのファンを引き寄せました。

 友人から勧められて『シャカリキ!』を読み、結局自分でも全巻揃えるほどにハマった記憶を持つ、ライターの早川清一朗さんが、当時を回想します。

* * *

 筆者に『シャカリキ!』の存在を教えてくれたのは、高校時代の友人でした。「お前読んでないの? これは面白い! 絶対にハマる!」と、やけに熱心に勧めてくるので、借りて読んでみたところ、あっさりと作品の放つ熱量の虜(とりこ)となったのです。

 もう、第1話からして力強さが半端ではありません。巨大な坂がある”坂の町”に引っ越してきた少年、野々村輝(以下、テル)が、町で2番目に大きい坂「二番坂」を自転車で登りきるだけの話なのですが、テルが周囲の誰からも「無理だ」と言われながら、全身・全霊・全力を尽くして登り切ろうとするシーンは、思わず手に汗握り、エールを送りたくなったのです。筆者の目に映っていたのは単なるマンガのキャラクターではなく、圧倒的な生命力で困難を打開しようとする、ひとりの人間でした。

 そしてようやく二番坂を登り切ったと思えば、その2倍の長さがある、町一番の坂「一番坂」が立ちはだかります。

 2話で中学生になったテルが一番坂を攻略しようと奮闘する姿は町の名物となり、常に全力を尽くす彼の姿に心をうたれ、力を貸そう、助けようという人たちが集まり始めるのです。

 坂ではだれにも負けないと自負していたテルでしたが、町はずれの坂で後にライバルとなる由多比呂彦(以下、ユタ)と出会い、完膚なきまでに叩きのめされてしまいます。ユタが来年、自転車競技の名門である亀ヶ岡高校(以下、亀高)に通うこと、そして亀高のレベルの高さを知ったテルは、おそらく彼にとって最も困難な坂=「高校受験」をも努力と根性で制覇し、亀高での生活をスタートさせるのです。

■ひたすら上を目指す情熱が、周りを、人々を変えていく

『シャカリキ!』のキャラクターたちが表紙を飾った、「サイクルスポーツ」2020年7月号(八重洲出版)

 亀高に入学したテルですが、今までひとりで自転車をこいできたため、チームとして動く必要がある自転車競技に戸惑います。それでも、ユタの父親でもある自転車部の由多監督に登坂の才能を認められたテルは、ユタや一匹狼の先輩、鳩村たちとともに、石渡山市民サイクルロードレースの最高峰、チャンピオンシップに参戦します。

 ここでテルはさまざまな苦難、困難、理不尽を経験しますが、それらのすべてを不屈の熱情で乗り越えていくのです。

 この記事を書くために久々に『シャカリキ!』を読み直してみましたが、1コマ1コマに込められた圧倒的な熱は尋常ではありません。見ているだけで、キャラクターたちが発する熱にぐいぐいと心が引き込まれていく感触を覚えるほどです。

 近年、自転車競技を扱ったマンガでは、同じ「週刊少年チャンピオン」連載の『弱虫ペダル』が知られていますが、『シャカリキ!』はその先駆者として、堂々とした存在感を発揮している作品と言って過言ではないでしょう。2008年には実写映画が公開されていますが、アニメ化されていないのは少々残念なところです。現在でも十分通用する作品なので、ぜひ検討してもらいたいものです。

 そんな『シャカリキ!』のキャラクターたちが、今年の5月20日に発売された自転車競技の専門誌「サイクルスポーツ」2020年7月号の表紙に登場したことは、正直かなりの驚きでした。いまもまだ、『シャカリキ!』を忘れておらず、あの熱を胸に宿した人たちがいたのです。テル、ユタ、鳩村に、2020年になってまた出会えるとは思いもしませんでした。

 思えば、『シャカリキ!』という作品は最初から最後まで、ひたすらてっぺんを目指して突き進むテルが発するエネルギーに魅せられて、多くの人がそれぞれの目的を見つけ出していく物語でもありました。今年になり表紙になったのも、2巻までが期間限定無料で読めるのも、こうしてかつての読者である筆者が記事を書いているのも、テルというキャラクターが持つ力が、現実にまで影響を与えるほどの熱を秘めていたからでしょう。

 今回の無料公開キャンペーンは2020年6月2日(火)までとなっています。「昔読んでいた!」という方も、「まだ読んだことがない」という方も、ぜひ見てほしい作品です。きっとあなたも、『シャカリキ!』が発する力の虜となるでしょう。

(早川清一朗)

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