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『ドラクエ』ロト三部作が生んだ熱狂 ブーム当時を知らない世代の「憧れ」とは

マグミクス / 2020年5月27日 7時50分

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■「『ドラクエ』といえばエニックス!」でない世代にとっての『ドラクエ』

 ”国民的”と呼称されるようになって久しい国産RPG『ドラゴンクエスト』(以下、ドラクエ)。本作がファミコン用タイトルとして世に送り出されたのは、1986年5月27日のこと。その誕生がゲーム業界のみならず、後世に多大な影響を与えたという点は、もはや自明とも言えるでしょう。事実、その発売日は「ドラゴンクエストの日」として、日本記念日協会より認定を受けています。また、「写ルンです」や「午後の紅茶」といったゲーム以外のヒット商品群と肩を並べ、実に34年ものヒストリーを紡ぐ一大シリーズとして、今もなお成長中です。

 本稿の筆者も人並みに「ドラクエ」シリーズを遊んできたファンのひとりですが、ファミコン期の「ドラクエ」世代ではないため、「『ドラクエ』と言えばエニックス!」という印象もそこまでありませんでした。初めて手に取ったのは、「ニンテンドーDS」へ移植された『ドラゴンクエストIV』。その後、『ドラゴンクエストVIII』や『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー』などを触ってその魅力に気づきましたが、当時はロトシリーズ(ファミコン時代の三部作)を未体験のままだったのです。

 しかし、「国産RPGの元祖と言える作品を遊ばないのはもったいない!」と実感し、25周年のタイミングでリリースされた『ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III』を購入。そのなかで原作を忠実に再現したFC版をチョイスし、初代にして完成度の高い『ドラクエ』の”味わい深さ”を認識することになりました。

■『ドラクエ』が後世に伝えたRPGの歩き方

Wii用ソフト『ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III』(スクウェア・エニックス)

 初代『ドラクエ』を体験し、良い意味で筆者が期待を裏切られた点。それは、勇者を取り巻く”寂しげな雰囲気”です。

 王様から激励され、鍵のかかった部屋からひとまず脱出。ラダトーム城内をザッと見回し、世界の命運を背負った身体をマップ外へ走らせると、耳を横切るのはフィールドBGM「広野を行く」。仲間のいない一人旅はどこか哀愁を感じざるを得ませんが、底抜けに明るい旅立ちとはまた違う、期待と不安の入り混じった出発シーンに仕上がっていたのではないでしょうか。

 上述の場面に加えて、登場キャラクターたちの佇まいも注目ポイントです。

 最初に出会う王様やりゅうおう、囚われの身となったローラ姫をはじめ、ラダトーム城を警備する兵士や露天風呂の効能を説明する女性、そして宿屋の主人にいたるまで、人数は少ないながらも、本作には区分けされた人物がさまざまに暮らしています。会話時の受け答えは簡単なものが大多数を占めていたとしても、彼ら(彼女ら)は各々の役割を与えられ、ドットで描かれたアレフガルドに確かに存在する。勇者に自分の名前を付けているならなおのこと、自らの足で各地を訪ねて話しかけた分、「このキャラはきっとこんなヤツなのかも?」と画面の向こう側に”人間”を感受しました。

 こうしたシナリオ及び世界観の一方、原作者の「堀井雄二」氏が海外産RPGより取り入れ、ファミコンのユーザー層向けに編集したゲームシステムも特筆。例外を除いた多くのRPGにおいて、雑魚モンスターを狩り続けるレベリング、ユーザーのプレイスタイルが如実に現れる装備品の見直し、方針を定めるための情報収集などは、ほぼ一般化していると言ってもよいでしょう。これら『ドラクエ』に端を発する”RPGの歩き方”が、30年以上を経て脈々と受け継がれている光景に、筆者としてはただ感服するばかりです。

 冒頭で述べた通り、筆者は「ドラクエ」シリーズの誕生を目の当たりにした世代ではありません。そのため、りゅうおうを倒して達成感に包まれはしましたが、1986年当時の空気感は物理的に楽しむことができないのです。

 初代『ドラクエ』を現役で遊んだユーザー(30代後半~)は国産RPGの胎動に何を思い、画面に映る勇者をどんな眼で見つめていたのか。復活の呪文を写し間違え、データを復元できずに涙をのんだのか。ニュースで取り上げられたように、『ドラクエIII』の発売時は全国で学校を休む生徒が続出したのか。もしタイムマシンがあるなら、乗り込んで確認しに戻りたい。やや大仰に聞こえたとしても、筆者は常々そう思っています。

(龍田優貴)

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