全社畜が泣いた…!『うらみちお兄さん』の刺さる言葉5選
マグミクス / 2020年5月29日 16時10分
■共感しかない、うらみちお兄さん
2020年5月29日(金)、Webマンガ誌「comic POOL」で連載中・久世岳先生の『うらみちお兄さん』単行本第5巻が発売されました。本作はTVアニメ化も決定している人気コミックです。
主人公の「うらみちお兄さん」こと表田裏道(おもた・うらみち)31歳は、教育番組『ママンとトゥギャザー』に出演中の体操のお兄さん。一見するとイケメン、高身長のさわやかなスポーツマンですが、心のなかはドロッドロ。
子供たちの前では笑顔を振りまきますが、素の顔は「無」。たまに子供たちの前でも笑えなくなります。自分のなかのわずかな「体操のお兄さん」としての気概を奮い立たせて、日々収録やイベントなどの仕事に向かっています。
華やかな芸能界での仕事に就きながらも、うらみちお兄さんはまさに「社畜」。プロデューサーに「明日まで」と仕事を振られれば、徹夜してでもやり遂げます。久しぶりの連休に心を躍らせるも、突然決まった慰安旅行に自由を奪われることも……。
周囲はクセしかない人物ばかり。『ママンとトゥギャザー』の「歌のお兄さん」、いけてるお兄さんこと蛇賀池照(だが・いけてる)はアナログ時計が読めず、ハサミが使えない残念なイケメン。「歌のお姉さん」、多田野詩乃(ただの・うたの)は6年同棲している、売れないお笑い芸人の彼が結婚してくれない残念な美人。
マスコットキャラクターの「ウサオ君」と「クマオ君」はうらみちお兄さんの大学時代の後輩。「ウサオ君」、兎原跳吉(うさはら・とびきち)はパチンコで常に金が足りず、口癖は「面白くなりたい」。「クマオ君」、熊谷みつ夫(くまたに・みつお)は常に無表情ですが、このなかでは比較的まともな人物かもしれません。
さらに『ママンとトゥギャザー』のアクが強いスタッフの面々とともに仕事をするうらみちお兄さんの心情には、共感せざるを得ないものが……。私たちがココロに溜め込んだ言えないことを、代弁してくれるかのようです。
■うらみちお兄さんの刺さる言葉
●「諦めても終わらせてはもらえない試合だってあるんだよ…『人生』とかね…」
(単行本第1巻 第1話「うらみちお兄さん」より)
台本通りに動いている後輩を、自分の都合で詰めるうらみちお兄さん。体育大学でエリート、後輩たちの憧れだったうらみちお兄さんに、兎原は「安西先生も言ってましたよね。諦めたらそこで試合終了だって」と励まし(?)ます。しかし、うらみちお兄さんの言葉に兎原と熊谷は何も返せず。諦めたくても、イヤイヤながらも、前に進むしかないのです。
●「自分の進む道は自分で選んでいいんだからね。周りの人間は最後まで付き添ってはくれないんだよ。努力も苦悩も誰も一緒に抱えられないし、最後はみんな等しく一人なんだからね」
(単行本第2巻 第10話「払えない家賃」より)
工作のコーナーでカミキリムシ役を演じることになった、いけてるお兄さん。ですが、歌のお姉さんのお手本の通りにハサミを使えず、エリートの血が騒いで自己嫌悪に陥ってしまいます。いけてるお兄さんを心配する子供たちに、うらみちお兄さんはプレッシャーに押しつぶされずに社会をわたる術を説くのです。真面目で、地力の高い人ほど、些細な失敗でひどく落ち込みがち。自分へのハードルを上下するのは他人でなく自分です。
●「実は大人、大して難しい話してないんだよね」
(単行本第2巻 第22話「忖度と良心」より)
舞台袖で兎原が「ガールズバーに忖度なんかねえし!」と熊谷に話しているのを聞いてしまった女の子。うらみちお兄さんに「そんたくってなに?」と尋ねます。言葉の意味を説明してあげつつ、お兄さんは上記のひと言。自己保身のため、簡単なことをわざわざ難しく言い換え、話を長くして集中力や注意力を削るのが「大人のしている難しい話」だと説きます。会議中、上司の話が長いと感じたら、それはあなたの気力をあえて削ぐ手段なのかもしれません。
●「…お兄さんだけじゃないたくさんの大人達が、どうして今日も生きているか知ってるかな? ”責任”という呪いのような言葉に縛られて、悪くないことにもごめんなさいしてきたからなんだよね」
(単行本第3巻 第28話「ごめんなさい」より)
「この子が先にぶった」「この子に足を踏まれた」けんかしてしまったふたりの子供。うらみちお兄さんは「半分ずつ悪かったのかもしれないね」とお互いに「ごめんなさい」するよううながします。ですが謝りたがらない子供たちに、「謝罪はプライドの放棄ではない」「人付き合いのため」と諭します。自分が悪くなくても、謝らなくてはならないシーンはたびたび訪れます。仕事と割り切っているつもりでも、自分のなかの何かが削られていくのは否めません……それが、うらみちお兄さんを形作っているのかもしれません。
●「表面や面白さだけ男を選んじゃダメよ。見た目とか愛嬌だとかそんなもの、その魅力に反して将来的には一切何の役にも立たないの」
(単行本第1巻 第4話「それが大人だから」より)
最後に、歌のお姉さんの名言。視聴者の子供からの「大人になったら、いけてるお兄さんかうらみちお兄さんみたいな人と結婚したい。お姉さんはどちらと結婚したい?」というお便りを読んで、お姉さんが豹変。お兄さんたちが傷ついてしまったために撮影は中断されました。ほかにいくらでもいい相手がいそうなのに、ダメ男に執着してしまう……自分の胸に手を当ててしまう女性も多いのでは。
(マグミクス編集部)
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