新『ダイの大冒険』スタッフの熱意に安心して待てる! 一点だけ残念なことといえば?
マグミクス / 2020年5月28日 16時10分
■「ダイ世代」の情熱
かつて「週刊少年ジャンプ」で連載され、子供たちに大人気となった『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』(以下、ダイの大冒険)。1991年から1992年にかけてTVアニメ化も果たしましたが、さまざまな事情により中途半端な終わりを迎えてしまいます。あれから30年近くが経った2020年、子供の頃に『ダイの大冒険』に夢中になった、かつての少年少女たちの愛と情熱に支えられ、二度目のアニメ化が船出を迎えます。幼少時から『ダイの大冒険』を愛してやまないライターの早川清一朗さんが、再アニメ化への想いを語ります。
* * *
「今度はちゃんと完結」
2020年5月27日(水)にYouTubeでライブ配信された『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の特番で、「ドラゴンクエスト」シリーズの生みの親である堀井雄二氏がこう宣言したとき、飛び上がるようにして喜んだのは筆者だけではないでしょう。
超魔生物ハドラーとの決戦、アバン先生の復活、大魔王バーンとの最終対決など、アニメで見たい場面はたくさんあります。今から待ち遠しくてたまりません。
『ダイの大冒険』の1度目のTVアニメは、竜騎士バランを撃退したところで終了してしまっています。もともと1年の予定で開始されていたアニメ化でしたが、数クールの延長が計画されており、脚本も延長を前提に考えられていました。しかしながら放送局側の事情で予定通り終了することになり、中途半端な終わり方を迎えてしまったのです。
30年近く前に終了した、一度アニメ化された作品が今の時代に再びアニメ製作された例は、あまり多くはありません。それを可能にしたのが、子供の頃に『ダイの大冒険』に夢中になっていた方々の、愛と情熱でした。
新作アニメの制作を行うのは、東映アニメーション。かつては東映動画と呼ばれており、第1作の制作も担当していました。再アニメ化は、かつて無念の番組終了を受け入れざるを得なかった、東映のリベンジでもあるのでしょう。
特番のなかで公開された映像では、ほぼ原作そのままのダイたちが、鳥肌が立つほど格好良く、滑らかに動き回っていました。これは間違いなくすごい作品になる。そう確信できるほどの出来栄えでした。
■アバンストラッシュを真似していた世代が監督に
第1作のBlu-ray BOXは2020年7月3日発売予定 (C)三条陸、稲田浩司/集英社・SQUARE ENIX・東映アニメーション
シリーズディレクター(監督)を務める唐澤和也氏は子供の頃にアバンストラッシュを真似していた世代だそうで、「熱量のあるスタッフがどんどん集まって来ていて、会社からやりすぎと言われるくらい一丸となって作っている。(今の)子供にも、その子供にも見てほしい」と、『ダイの大冒険』への想いを語っていました。
声優についてはさすがに30年近くが経過しているため、主役級のキャラクターは新たなキャストが演じることになりました。そもそも1作目でダイを演じた藤田淑子さんは2018年に亡くなっているので、残念ですが仕方のないことでしょう。
新たにダイを演じるのは種崎敦美さん。デビュー以来、数多くの作品で主役級のキャラクターを演じてきている実力派声優で、子供のころにきょうだいと一緒に第1作のアニメを見ていたそうで、番組中でも気合の入ったアバンストラッシュを披露してくれました。
ダイの盟友、ポップ役は豊永利行さん。オーディションを受けてからなかなか連絡が来なかったため落ちたと思い込み、マネージャーさんに「どんな役でも出たい!」と伝えていたほど『ダイの大冒険』が好きなよう。番組中も本番のアフレコが待ちきれない様子で、「メラ」と「ベタン」を連発していました。
マァム役は小松未可子さん。番組中では気合を込めた「閃華裂光拳!」だけでなく、「このスケベ!」も茶目っ気たっぷりに披露してくれました。どのシーンで誰に使うのか、一発で思い出せる名セリフです。
レオナ役は早見沙織さん。レオナ役が決まったとき、所属事務所のダイ世代のスタッフが大喜びしてくれたそうで、「身が引き締まる思い」と意気込みを語ってくれました。
アバンを演じるのは櫻井孝宏さん。『ダイの大冒険』は「ジャンプ」の連載を読んでいたそうで、強さをひけらかさないアバンは、大人の象徴のようなキャラクターだと感じていたそうです。
ヒュンケル役は梶裕貴さん。子供の頃はやはりアバンストラッシュを真似していたそうで、ブラッディースクライドももちろんやっていたと語ってくれました。子供の頃に真似していたせりふを実際に演じることができるのは、ただただうらやましいのひと言です。
放送の開始は2020年の10月。原作の最初から最後までやるとなると、かなりの話数になるでしょう。長い原作をアニメ化する際にはしばしば大幅なカットが行われますが、監督の唐澤氏の決意を聞いた限りでは、心配はいらないと感じます。安心して、放送を待とうと思います。いっそ冥竜王ヴェルザーとの戦いまでやってくれたならと思っている方も多いのではないでしょうか。
ただひとつだけ、マァムの生足がスパッツに変更されていたのは少々残念でしたが、まあ時代というものでしょうか。これはこれでなかなか良いものです。
(ライター 早川清一朗)
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