鬱展開に胸をえぐられるアニメ3選 逆境に立ち向かう姿に勇気をもらう？

■過酷な運命に、今なら共感できる？

　新型コロナウイルス感染症という、これまでに経験したことのない困難に世界中の人たちがさらされています。これまでの当たり前が、当たり前でなくなる……それは創作の世界だけのことではないのかもしれません。

「新しい生活様式」が求められ、自宅で過ごす時間が増えました。これまでよりも、アニメを見る時間が増えた、という人も多いのでは。

　作中の人物たちが過酷な運命にさらされ、胸をえぐられるような展開を迎える「鬱アニメ」をご紹介します。逆境に立ち向かっていく登場人物たちの姿に、「コロナ以前」よりも共感できるのではないしょうか。

＊　＊　＊

●『ぼくらの』

　鬼頭莫宏先生によるコミックスが原作。近未来の日本の夏休み、15人の少年少女たちが自然学校にやってきます。海岸の洞窟でココペリと出会ったメンバーたちは、「ゲーム」へと誘われます。

　リアルなコンピュータゲームだろうと思い参加したのは、「ジアース」と呼ばれる巨大ロボットに搭乗しての戦闘。パイロットはひとりで、最初に選ばれたのはヒーローに憧れるサッカー少年のワク（CV：阪口大助）。「よっしゃあ！」と選ばれたことを喜び、敵を撃退するものの、戦闘終了後に崖から転落してしまいます。

　その後も戦いは続き、パイロットに選ばれた者は命を落とすことが明らかに。この戦いを知り、国防軍の大人たちも子供を守る行動に出ますが、既存兵器では敵に対抗できません。子供たちそれぞれの家庭事情も複雑で、最終話まで過酷な物語が続きます。なぜ、こんな戦いを強いられるのか……その事実もまた残酷です。

●『無限のリヴァイアス』

『無限のリヴァイアス』　画像はAmazon.co.jp・公式ショップ限定 Blu-ray Box（バンダイビジュアル）

　サンライズ制作のオリジナルアニメ。舞台は西暦2225年、主人公の相葉昴治（CV：白鳥哲）は幼馴染の蓮仙あおい（CV：桑島法子）や不仲な弟・相葉祐希（CV：保志総一朗）らとともに資格を取得するため、航宙士養成所を訪れていました。しかし予期せぬトラブルで、子供たちだけで謎の外洋型航宙可潜艦「リヴァイアス」に乗り込むことに。

　リヴァイアスの艦内で、487名の少年少女たちは大人がいない社会を築き、生き残ることを目指します。エリート集団と、実力主義者との軋轢、暴力、陰湿ないじめ、閉鎖された空間での不安や恐怖からリヴァイアスの社会は混迷していくばかり。さらに謎の敵の襲撃に遭い、生命の危機にさらされます。救援が得られないまま、物資がいつ尽きるかも分からず、厳しい配給制度がしかれることに。

　SFロボットもののアニメですが、主人公の昴治は戦闘に参加する能力はなく、活躍するのは弟の祐希や友人の尾瀬イクミ（CV：関智一）など、適性を持ったメンバー。人当たりはいいものの優柔不断な性格から、混沌とする艦内で不遇な目に遭うこともしばしば。昴治が苦しみもがくさまは、現代社会に生きる私たちの「生きづらさ」に通じるところもあるかもしれません。

●『魔法少女まどか☆マギカ』

『魔法少女まどか☆マギカ』　画像はBlu-ray1（アニプレックス）

　キャラクターデザインは『ひだまりスケッチ』で人気の蒼樹うめ先生。オープニングではパステルカラーの色合いの映像に、ニコニコ動画で人気を博したユニット「ClariS」の優しい歌声が流れます。かわいらしい魔法少女ものと思いきや……。大半の視聴者が「やられた！」と絶望した、「鬱アニメ」の代表作ともいえます。

　魔女との厳しい戦いを強いられる魔法少女たち。魔女を倒し、「グリーフシード」というアイテムを手に入れなくては自身の「ソウルジェム」が濁り、肉体をむしばんでいきます。しかし、魔女との戦いに敗れても命を落とす危険が。生きるために魔女と戦い続けなければならない魔法少女を救う方法とは……。

　放送された2011年は東日本大震災が発生した年です。1月にスタートしたTV放送も、震災の影響で最終回の放送が延期されました。止まない余震、原発の不安、輪番停電……直接大きな被害を受けていない地域の人たちも、深刻な状況下で視聴したために、物語の過酷さと自分を重ね合わせて印象強く残っているようです。

（マグミクス編集部）