『ウテナ』『ARIA』声優・川上とも子さん 亡くなって9年「過去の人」ではない
マグミクス / 2020年6月9日 8時10分
■6月9日は川上とも子さんの命日
6月9日は、2011年にがんで亡くなった声優・川上とも子さんの命日です。『少女革命ウテナ』の天上ウテナや『ARIA The ANIMATION』のアテナ・グローリィなど印象的な役を熱演されていた川上さんは、病魔に侵されながらも自宅療養と入院による治療を繰り返しつつ最後まで声優であり続けました。川上さんが演じた役のなかでは『ちっちゃな雪使いシュガー』のシュガーが一番好きだというライターの早川清一朗さんが追悼します。
* * *
川上さんが亡くなられたというニュースを見たときのショックは、今も忘れられません。『ケロロ軍曹』の日向冬樹役を体調不良で降板したことは知っていたのですが、他の作品でしばしば名前を見かけていたので、回復しつつあるのだろうと思っていたのです。
当時の報道によれば、死因は卵巣がん。2008年夏ごろから体調不良を訴えており、8月19日に手術を受けたのですが、このとき既にがんは進行している状態でした。筆者が勝手に「ああ、川上さんいろんな役で出ているな。病気は良くなったのかな?」と思い込んでいたとき、川上さんは病の身で必死に声優として生きようとしていたのです。病状があまり情報として流れてこなかったという理由もありますが、不明を恥じるばかりです。
41歳で亡くなった川上さんがもし存命であれば、2020年で50歳を迎えています。まだまだ、これからの人でした。謹んでご冥福をお祈りいたします。
さて、筆者が川上さんの名前を初めて知ったのは、代表作となる『少女革命ウテナ』の天上ウテナ役でした。鮮烈にして美麗、気高いキャラクターたちとそれに命を吹き込む実力派声優が数多く登場するなかで、川上さんの凛とした声は主役としてウテナの存在を際立たせるだけの強烈な力を持っていたのです。
ウテナで大きな注目を浴びた川上さんは、その後も『バトルアスリーテス 大運動会』のクリス・クリストファや『ちっちゃな雪使いシュガー』のシュガーなど、異なる色合いのキャラクターを演じる確かな実力と人気を兼ね備えた声優として重要なポジションを占めるに至りました。
■『ARIA』アテナに込められた皆の想い
『ARIA The ANIMATION』画像はDVD Navigation.6(松竹ホームビデオ)
そんな川上さんの代表的な役のひとつが、『ARIA The ANIMATION』に登場したアテナ・グローリィです。「水の3大妖精」のひとりとして主人公である灯里を導くだけでなく、極上のカンツォーネ(舟謳)の歌い手として高い評価を受ける独特な存在感を放つキャラクターを、川上さんは見事に演じ切りました。
思えば、アテナが作中で披露するカンツォーネ「バルカローレ」の歌唱を担当した河井英里さんも、2008年に肝臓がんで亡くなっています。アテナを作り上げたふたりの担い手がどちらも亡くなっていることに、世の無常を感じさせられます。
制作スタッフの川上さんへの思い入れも強く、既に病魔に侵されていた2009年に発売された『ARIA The NATURAL DVD-BOX』特典ドラマCDの収録は、川上さんの体調の回復を待って行われました。2015年に制作されたアニメ『ARIA The AVVENIRE』のエンディングにはアテナ・グローリィ役として、出演は叶わない川上さんの名前が特別に刻まれています。
2020年冬にはTVアニメ放送15周年記念プロジェクトとして『ARIA』完全新作の公開が決定していますが、川上さんの代役を佐藤利奈さんが務めるにあたり、松竹の飯塚寿雄プロデューサーは新作への想いを丁寧に説明し、「もちろん、川上さんも引き続きARIAファミリーです」と締めくくってくれました。
多くの人にその死を惜しまれた川上さんには、2012年に発表された第6回声優アワードで、「表彰すべき特別な活動」に対する賞として「声優アワード特別賞」が贈られました。授賞式には川上さんの母親が出席し、「とも子はもう過去の人だろうに、このような賞をいただきありがとうございます」と述べたそうです。
そのとき司会を務めていた長谷川太(のび太)アナウンサーは「アニメの世界に過去の人というものはいないんです」と答えています。
今年もまだ、川上さんは過去の人ではありません。おそらくこの先もずっと、過去の人ではないでしょう。川上さんの声を心に刻んだ人たちが、こうして記事を読んでくださっているのですから。
(ライター 早川清一朗)
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