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令和版『ロボコン』と1983年放送『ペットントン』の共通点 チラつく脚本家の姿

マグミクス / 2020年6月23日 12時10分

令和版『ロボコン』と1983年放送『ペットントン』の共通点 チラつく脚本家の姿

■サブタイトルを見ただけで浦沢氏だと分かる

 2020年7月に公開される映画『がんばれいわ!!ロボコン』のサブタイトルが、「ウララ~!恋する汁なしタンタンメン!!の巻」であることが発表されました。脚本を務める浦沢義雄氏は、無生物を活躍させることにかけては右に出る者はいない大ベテランです。1983年に放送された特撮番組『ペットントン』ではチャーハンとシューマイを結婚させるという「横浜チャーハン物語」を執筆し、当時の子供たちを困惑させました。本放送を実際に見ていたライターの早川清一朗さんが、かつての記憶をたどります。

* * *

『がんばれいわ!!ロボコン』のサブタイトルに「恋する汁なしタンタンメン」という文字を見つけた瞬間、「あ、脚本は浦沢義雄氏(以下、浦沢氏)だな」と直感しました。汁なしタンタンメンに恋をさせる脚本家など、他に思い当たらなかったからです。多くの特撮作品で独創的な健筆を振るってきた、2020年で69歳になる浦沢氏が新たなロボコンで何を見せてくれるのか、今から楽しみで仕方がありません。

 浦沢氏は、『美少女仮面ポワトリン』『不思議少女ナイルなトトメス』『うたう!大龍宮城』といった、1990年代前半を代表するニチアサ特撮番組では全話の脚本を担当されていますし、アニメでは『忍たま乱太郎』を手掛けています。2010年には映画『人間失格』にも参加するなど、幅広い活躍を長年続けている、日本を代表する脚本家なのです。

 そんな浦沢氏は、食べ物をストーリーのキーにおいた作品を執筆することが多々あります。メインライターを務めた『激走戦隊カーレンジャー』では宇宙暴走族ボーゾックのメンバーが和菓子屋「芋長」の芋羊羹を食べると巨大化し、それ以外の羊羹では逆に小さくなるという不条理極まりないギャグで話題となりました。

 まだ若かった筆者はこのとき初めて浦沢氏の存在を知り、強い興味を持つようになったのです。それから浦沢氏の過去の業績をチェックするようになり、過去にあるストーリーを執筆していたことに気づきました。

 それは筆者が子供の頃に見た、とても不思議なお話でした。

■チャーハンとシューマイが恋をする

『ペットントン』  (C)石森プロ・東映

 まだ筆者が小学生だった頃、日曜の朝はフジテレビで放送されていた特撮番組を見るのが定番でした。そのなかでも異様に印象に残っている作品が、1983年から1984年にかけて放送された『ペットントン』です。

 子供の頃はなんとなく見ていただけの『ペットントン』でしたが、大人の目線で改めて調べてみると、やはり浦沢氏テイストあふれる作品であることが分かりました。例えば、主人公のネギ太の友人である林ガン太はネギ太を愛しており「ネギ太の子供は俺が産む」と、2020年になってもまだ達成できていない未来の価値観を口にしています。他にも家具が普通にしゃべるなど、不条理ギャグやシュールさ満載の作品に仕上がっています。

 そんな『ペットントン』のなかでも特筆すべき回が第30話「横浜チャーハン物語」です。幸いAmazonプライム・ビデオでレンタル販売されていたので久々に見返したのですが、序盤からかなり強烈です。突然現れた怪しい中華風の男に連れていかれそうになったあげくに、ペットントンの伸びる腕がホースで巻かれてしまいますが、これはホンの序の口です。

 中華風の男はペットントンと娘を結婚させようとするのですが、ここで出てきた娘さんがなんと「シューマイ」なのです。展開を知っているはずなのに、思考が一瞬止まりかけるほどのぶっ飛んだ展開に、筆者以外の当時の子供たちはこれを見て一体どう思ったのかぜひ知りたいと思います。

 しかもこのシューマイ、なんと炒飯と駆け落ちしてしまいます。念のために書いておきますが、シューマイは普通のシューマイで、チャーハンは普通の炒飯です。シューマイがペットントンとの結婚を拒否して、恋仲の炒飯と駆け落ちするのです。

 最終的にはシューマイと炒飯の結婚は認められ、結婚指輪の代わりにグリーンピースを交換して大団円となるのですが、不条理やシュールといった言葉を通り越した「浦沢ワールド」と呼ばれる世界を垣間見た気になりました。

 浦沢氏はそれからも料理が意志を持つお話をたびたび執筆されており、さまざまな作品で子供たちを驚かせています。

 果たして『がんばれいわ!!ロボコン』では汁なしタンタンメンがどんな恋を見せてくれるのか、今から楽しみで仕方がありません。

 最後に。

 子供と同じくらいの背丈しかないペットントンのスーツアクターを務めたのは高木政人氏。絶えず中腰での演技を強いられたそうですが、それでも見事な演技を見せて1年近い放送期間を見事に務め上げました。惜しくも1986年1月10日に24歳の若さで交通事故により亡くなられてしまったのは本当に残念です。ここで改めてご冥福をお祈りいたします。

(早川清一朗)

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