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愛すべきクソゲー『燃えろ!!プロ野球』 バグ続出も売れすぎてしまった伝説のソフト

マグミクス / 2020年6月26日 8時10分

愛すべきクソゲー『燃えろ!!プロ野球』 バグ続出も売れすぎてしまった伝説のソフト

■リアル志向の野球ゲーム

 1987年6月26日は、ジャレコからファミコン版『燃えろ!!プロ野球』が発売された日です。それまでファミコンで人気のあった野球ゲーム『ベースボール』や『ファミリースタジアム』とは異なり、TV中継風のプレイ画面と合成音声、12球団の選手がほぼ実名で登場するという当時としては豪華な仕様で注目を浴びました。しかしバントでホームランが打てるという仕様上の問題や、バグの多さなどから物議をかもしたタイトルでもあります。プレイ当時の思い出を、ライターの早川清一朗さんが語ります。

* * *

 筆者がまだ小さかった頃、公園や空き地でよく野球をしていました。今ほど娯楽が多くはなかった時代、プラスチックのバット1本とカラーボールがひとつあれば、10人以上の友達が一緒に遊べたのです。シーズン中の夕方にはTVで毎日のようにプロ野球が中継されており、アニメの放送を飛ばされてガックリしたこともしょっちゅうでした。

 今はどの公園も野球を始めとした球技は禁止になり、地上波で野球が放送されることもめっきり少なくなりました。子供たちがバットとボールを持っている姿など、まったく見かけなくなりました。筆者は今でも野球が大好きですが、今の子供たちは野球を好きになる機会はあるのだろうかと、少し心配になっています。

 さてそれはさておき、ファミコンでは多くの野球ゲームが発売されましたが、そのなかでもひときわ物議をかもしたのが『燃えろ!!プロ野球』(以下、燃えプロ)です。『ベースボール』『ファミリースタジアム』といった傑作野球ゲームの後を継いで登場したこのゲームは、今までに発売されたゲームとは明らかに違っていました。

 まず登場する野球チームがNPB全12球団そろっていること。選手がほぼ実名であること。そしてまるでTV中継のような画面でゲームをプレイできるということ。これらの要素は当時の少年たちにとって、感情移入するための恰好の材料となっていたのです。

 ただ、選手の実名は許可を取っていなかったそうで、後に抗議を受けたそうですが、それでも発売中止にならなかったのは、当時の日本の空気がおおらかだったためでしょうか。

■猛威を振るった「ホーナー」

子供たちが野球に触れる機会も減ってしまった(画像:写真AC)

 そうして発売を迎えた『燃えプロ』ですが、子供だった筆者はお金がないので買えず、友達の家でやらせてもらうことになりました。

 その感想はひと言で表せば「なにこれ」でした。

 ピッチャーが投げ込むボールに狙ってバットを合わせるのがとにかく難しかったのです。「こんなの、どうすればいいの?」と考えていると、友達が「こうすればいいんだよ」と、あるバッターにバントの構えをさせたのです。どうせ打てないだろうと思いボールを投げ込むと、友達はスッとバットをスライドさせ、ボールに当てにいったのです。

 次の瞬間、ボールは矢のように飛びスタンドに放り込まれていました。

『燃えプロ』は一部の強打者はバントするだけでホームランになる強烈なバグが存在しており、これは「バントホームラン」と呼ばれ後々までネタにされ続けています。

 特にヤクルトに所属していたホーナーは強烈で、全打席バントホームランはごく当たり前の出来事でした。はっきり言ってクソゲー。これが当時の子供たちが出した結論だったと思います。他にもファールの後はどんなボールでもストライクの判定となるバグの存在や、やたらと広い外野など、細かい調整が行われていないことは明らかでした。

 そして何よりも恐ろしいのが、当時のファミコン人気の過熱ぶりもあって、実に158万本もの売り上げを叩き出してしまっていたのです。

 当然のように恐ろしいまでの値崩れが起こります。みるみるうちに値段は下がり続けました。筆者の記憶では、中古で180円というのが最安値だったように思います。おそらく、もっと安値で買ったという方もいるのではないでしょうか。

 ジャレコにも大量のクレームが届いたため、データの修正を行うことになりましたが、今のように配信でポンとアップデートできるわけではありません。カセットを回収し、バラし、中のROMを入れ替える地獄のような作業が行われ、ケガ人も続出したそうです。

 その後、筆者がファミコンの『燃えプロ』を顧みることはありませんでしたが、中学生の頃、近所のビデオ店の前に、アーケード用に発売された『燃えろ!!プロ野球 ホームラン競争』が置かれていたので、たまにプレイしていました。最近知ったのですがこのアーケード用は全部で150台ほどしか作られなかったレア品だったそうです。今でもたまにこの『ホームラン競争』だけはなぜかやりたくなることがあり、少し不思議な気がしています。

(早川清一朗)

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