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ウソテクにだまされた!『北海道連続殺人 オホーツクに消ゆ』おおらかな時代の名作

マグミクス / 2020年6月27日 9時50分

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■またもウソテクにだまされた『オホーツクに消ゆ』

 1987年6月27日は、アスキーからファミコン用ソフト『北海道連続殺人 オホーツクに消ゆ』(以下、オホーツクに消ゆ)が発売された日です。1984年を皮切りにさまざまな機種で発売されたパソコン版をリメイクしたタイトルで、「ドラゴンクエスト」シリーズの生みの親である堀井雄二氏がシナリオを担当しています。聞き慣れない北海道の地名にワクワクしながらサスペンス満点のストーリーと秀逸なBGMを楽しみつつも、あるウソテクにだまされた、ライターの早川清一朗さんが当時の記憶を語ります。

* * *

『オホーツクに消ゆ』と聞いて真っ先に思い出すのは、ヒロインである野村真紀子の友人、中山めぐみのバスタオルを取るシーンです。当時の筆者は中学生になったばかり。ゲームとはいえやらないはずがありません。

 バスタオルを取ってから2分待つと、本当にバスタオルが消え、後ろ姿とはいえヌード姿が拝めるのです。よくぞファミコンで実装してくれたと感謝感激です。しかも1ドットとはいえ乳首まで表現されています。開発中は、この1ドットをピンク色にするかしないかで大激論が交わされたそうで、開発者たちの熱意が伝わってきます。 

 ただ、問題はここからでした。ファミコン全盛時には隠しコマンドによる特殊効果やバグによる現象が「裏技」と呼ばれ、もてはやされていたのですが、徳間書店から出版されていた「ファミリーコンピュータMagazine」には偽の裏技である「ウソテク」がネタとして掲載されていたのです。

 1986年に発売された『水晶の龍』というタイトルではヒロインが野球拳で服を脱ぐというウソテクが掲載され、筆者を含め多くの純情な少年たちが涙を飲んでいます。

『オホーツク』でも、後ろ姿のめぐみがさらに数分待つと前を向くというウソテクが掲載され、もちろん筆者も挑戦しましたが、再び涙を飲んでいます。だまされてもだまされても、そこにエッチな画像がある限り挑戦してしまうのが、中学生男子という悲しい生き物だったのです。

■オホーツクってなんだろう?

オホーツク海の流氷観光船(画像:写真AC)

 さて、ウソテクのことはさておき、最初に『オホーツクに消ゆ』というタイトルを見たときに浮かんだのは、「オホーツクってなんだろう?」という疑問でした。

 北海道オホーツク総合振興局によると、オホーツクとは北海道の北東部に位置する、オホーツク海に面する約280kmの海岸線の広大な地域を指すそうです。

 さらにさかのぼれば、ロシア極東地域にある入植都市オホーツクにまでルーツをたどることができます。オホーツクとはロシア語で”狩猟”という意味があり、おそらくは過去にこの地域で盛んだったアザラシ漁にちなんでいるのではないかと推測されます。

 また今のように情報が簡単に豊富に手に入るわけではない時代、『オホーツク』に登場するウトロの街やニポポ人形と言った北海道独特の言葉の響きは、とても好奇心をそそるものでした。

 そもそも、なぜ北海道が舞台になったのかという理由については、後に堀井雄二氏が「当時は会社の金でロケハン(取材)をすることはなかったんでやってみたかった」「某雑誌の編集者がカニ好きで、僕もカニが好きだった」と、カニ食べたさに北海道を舞台にしたゲームを作ることになったと明かしています。他にも取材旅行には行ったものの開発がとん挫したゲームが2タイトルあるそうで、時代のおおらかさを感じさせられます。

 とはいえ動機こそ「カニを食べたい」だったとはいえ、ゲームの作りはアドベンチャーゲームとしてしっかりしたものになっています。シナリオは良く練り込まれており、BGMも秀逸。ゲーム中に登場する道内の観光名所の描写もファミコンの水準としては丁寧に作りこまれており、取材旅行の成果がしっかりと生かされています。

 そして何よりも印象的だったのが、事件が解決し、無事にエンディングを迎えたときに表示された1枚絵とメッセージです。

「けっこんしました!」

 数あるファミコンタイトルの中でもこれほどシンプルでさわやか、そして印象的なエンディングは他にないと筆者は考えています。

(早川清一朗)

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