『宇宙戦士バルディオス』衝撃の最終回「完」に絶句 悲劇の理由は打ち切り…
マグミクス / 2020年6月30日 18時10分
■「完」の衝撃
1980年6月30日は、TVアニメ『宇宙戦士バルディオス』(以下、バルディオス)の放送が開始された日です。TV放送での強烈な最終回が話題になる作品ですが、S1星人である主人公マリン・レイガンが地球に受け入れられる流れや、ヒロインのアフロディアとの愛憎劇など、見どころは数多く存在しています。伝説と言われた最終回見たさにLD-BOXを購入し、今も大切に保存しているライターの早川清一朗さんが語ります。
* * *
筆者が子供の頃『バルディオス』を見た記憶はありません。この時期は後に傑作と呼ばれるアニメが多数生まれており、家庭用の録画機材も普及していなかったため、何か別の番組と時間帯が重なると気づかれることもなく消えていくアニメが多数存在していたのです。
筆者が『バルディオス』の存在を認識したのは本放送から数年後。「地球人が宇宙人に負けて終わる」という信じられないラストを、「まさかそんなことあるわけないだろ」と聞き流していた覚えがあります。しかしそれから何度も同じ話を聞かされ、「本当に地球人が負けて終わるアニメがあるのか」と信じるようになり、ぜひ見てみたいと思うようになりました。
そんなある日、給料が入ってほくほくしながら秋葉原をうろついていた筆者の前に、中古のLD-BOXが現れたのは天の配剤だったのでしょう。さんざん迷いに迷い、そのとき持っていたほぼ全財産をはたくことになりましたが、ずっしりと重いLD-BOXを抱え、家路へついたのです。
ただ、帰路で友人に「バルディオスのLD-BOX買ったよ!」と連絡したところ「確かそろそろDVD-BOX出るはずですよ」と教えられたのは、人生でも結構高いレベルにある痛恨の極みだったことを告白しておきます。
少々心に傷を負いながらも帰宅後すぐに最終回を見たのですが、人と街が次々と津波に呑まれていくシーンの直後に、ドン! と表示された「完」の文字は、ただただ衝撃でした。一体何がどうなってこんなことが起こったのか。改めて1話から見返してみましたが、原因はさっぱりつかめなかったのです。本当に唐突な終わり方でした。
■実はもっと早く終わる予定だった
『スーパーロボット大戦Z』(バンプレスト)
この衝撃を自分だけにとどめておくのはもったいない。そう考え、知人友人を集めて鑑賞会を開いたのですが、やはりみな、自分と同様に絶句していました。もし子供の頃にこんなものを見ていたら、強いショックを受けたのは間違いないでしょう。
ただし、元からこのようなエンディングが予定されていたわけではなく、絶望の最終回をもたらしたのは、スポンサーの経営悪化による打ち切りという事情でした。それも、もっと早く終わるはずが、広告代理店の尽力により全39話中31話を放送できたという状況でした。TV放送された31話は本来32話として用意されていたもので、終わりらしい終わり方を迎えるために、やむをえず地球側敗北の形で「完」とするしかなかったのです。
実際にはこのあとさらに話は続き、LD-BOXには完成しても放送できなかった本来の31話、33話、34話が収録されています。制作現場の執念が造り上げた作品なのでしょう。近年のCS放送での再放送では、これらの話もすべて放送されるようになっています。
衝撃の最終回の後は、『バルディオス』を見ていたファンのなかから「最後まで放送してほしい」という運動が巻き起こります。この頃『機動戦士ガンダム』や『銀河鉄道999』『伝説巨神イデオン』などTVアニメが劇場化される事例が増えており、『バルディオス』も劇場化が決定します。しかし他のメジャータイトルと比較するとどうしても知名度の点で劣り、十分な興行収入をあげることはできず、『バルディオス』の歴史は終焉を迎えてしまうのです。
その後、なぜかメインキャラではないS-1星の皇帝、トリノミアス三世がインターネット上でミーム化するなど、伝説の最終回の存在と合わせて細々と紡がれていた『バルディオス』の存在に再度脚光が当たったのは、2008年に発売された『スーパーロボット大戦Z』です。この作品では、『バルディオス』が無事に地球を救えるルートとなっており(救えないとゲームオーバー)、多くの参戦作品と同様、救済措置が取られています。マリンの声優を務めた、塩沢兼人氏は既に鬼籍に入られていますが、代役の山崎たくみ氏の熱演もあり、違和感はありません。
この記事を書くにあたり久々にLD-BOXを引っ張り出してみましたが、そこかしこにマリンと、S-1星人側最高司令長官のアフロディアが仲睦まじくしている姿が描かれています。アニメのEDでも最後両者が手をつないで同じ方向に歩み出しており、当時制作にあたった方々は、本当はこういう最期を作りたかったのだろうかと、つい想いを馳せてしまいます。
(早川清一朗)
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