家で空の爽快感が実現できるとは! PS1『エースコンバット』初プレイの感動
マグミクス / 2020年6月30日 19時10分
■家庭用ゲーム機初の3Dフライトシューティングゲーム
1995年6月30日は、ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)からプレイステーション用ソフト『ACE COMBAT(エースコンバット)』が発売された日です。3Dフライトシューティングゲームが家庭用として登場した記念すべきタイトルであり、累計223万本を売り上げて初期のプレイステーション陣営において強い存在感を示しました。プレイステーションで『エースコンバット』を見たとき強烈な感動を覚えた経験を持つライターの早川清一朗さんが、当時を回想します。
* * *
1980年代から90年代前半にかけて、アーケードでは『アフターバーナーII』や『G-LOC: AIR BATTLE』などのさまざまなフライトシューティングゲームが登場し、多くのプレイヤーたちを魅了していました。しかしながらこの時代に発売されていた家庭用ゲーム機ではアーケードほどの迫力を表現するのは難しく、スーパーファミコンの『パイロットウイングス』など極めて力の入った意欲作も発売されましたが、それでもアーケードには一歩も二歩も劣る状況だったのです。
この状況をがらりと変えたのが、2020年で発売25周年を迎える『エースコンバット』です。
ちょうど、あれはセガサターンとプレイステーションの次世代機のメインストリームを争い激しいつばぜり合いを繰り広げていた時期だったと思います。『リッジレーサー』や『鉄拳』といった強力なソフトも存在していましたが、まだセガサターンが若干優勢だったためか、当初39800円だったプレイステーション本体が、29800円に値下げされると発表されたのです。
ちょっと無理してプレイステーションを手に入れていた筆者にとって、この値下げは少々ショックな出来事でした。そんな理由でちょっとやる気をなくしていた筆者に、ある日友人が「このゲーム滅茶苦茶すごいからやってみ?」と、押し付けるように貸してくれたのが『エースコンバット』でした。まあ、あいつがお勧めするなら間違いはないだろうとプレイステーションを立ち上げ、プレイを始めてみたところ、家庭用で実現できるとは思えないほどの爽快な空の世界が現れたのです。
■家庭用ゲーム機の新たな時代が幕を開けた
『ファントム無頼』第1巻(小学館)
『エースコンバット』でまず度肝を抜かれたのがオープニングムービーです。派手なカラーリングのさまざまな機体が編隊を組んで飛び、さらには縦横無尽な戦闘機動で敵機を追い込み撃墜します。今改めて見るとポリゴンの粗さが目につきますが、25年前の自分は、信じられないものを見たという驚愕で満たされていました。
実際にプレイを始めてみれば、英語での会話が飛び交うなか、敵機をターゲットしミサイルで撃墜し、背後を取られれば必死に動き回るという、今まで経験してきたシューティングゲームとはまったくレベルが違う世界、圧倒的なリアリティを見せつけられたのです。ひと通りプレイをした筆者は友人に『エースコンバット』を返すとすぐに自分用を購入し、ひたすらプレイを続けました。
後のシリーズ作品では作品オリジナルの機体が登場するようになりましたが、本作ではまだ存在せず、既存の機体のみが参戦しています。なかでも筆者が愛用したのが「F-4」と「F-14A」、そして「F-22」です。
初期機体の「F-4」は性能こそ低いものの、新谷かおる先生のマンガ『ファントム無頼』の主役機ということもあり、かなり愛用していました。リアルの日本でも45年以上の長い機体ですが、間もなく退役となるようです。海外でも運用を続けている国はだいぶ少なくなっており、世界の空で戦い続けた希代の名機は、間もなくその姿を消そうとしています。
そして「F-14A」ですが、これも新谷先生の『エリア88』でミッキー・サイモンが愛用していたことから筆者も好んで使用していました。
「F-22」は当時まだ本格採用はされておらず、本作にも登場している「YF-23」とのトライアルに勝ち抜き、生産が承認された時期にあたります。「F-15」を上回る性能の新しい戦闘機はいつやってくるのだろうとちょっと興味があったのですが、2020年になっても未だに自衛隊には配備されていないのが寂しいところです。
25周年を迎えた「エースコンバット」シリーズですが、その礎となったのが本作です。25年前に訪れた家庭用ゲーム機革新の時代に、新たな世界を見せつけてくれたその功績は偉大なものがあります。これからもさらに面白い、さらに高品質の「エースコンバット」シリーズが続いてくれることを、願ってやみません。
(早川清一朗)
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