『宇宙の騎士テッカマン』 語らずにはいられない、謎の男・アンドロー梅田の存在
マグミクス / 2020年7月2日 7時40分
![『宇宙の騎士テッカマン』 語らずにはいられない、謎の男・アンドロー梅田の存在](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_30808_0-small.jpg)
■先に見たのは『テッカマンブレード』
1975年7月2日、TVアニメ『宇宙の騎士テッカマン』(以下、テッカマン)の放送が開始されました。宇宙を舞台に繰り広げられるテッカマンとワルダスターの迫力ある戦闘シーンと謎の男・アンドロー梅田のミステリアスな雰囲気は当時の子供たちに強い印象を与えました。幼少時には『テッカマン』を見る機会がなく、先に『テッカマンブレード』を見て興味を持ったというライターの早川清一朗さんが語ります。
* * *
筆者が『テッカマン』を見たのは、ほんの数年前の話です。幼少時はなぜか再放送を見る機会すらなく、名前は知っているのに見たことがないタイトルのひとつとなっていました。
それでも『テッカマン』に興味を持っていたのは、1992年に放送された『テッカマンブレード』(以下、ブレード)の影響が強かったためです。ひたすらに襲い来る悲劇を戦い抜いたD・ボウイが迎えたラストシーンの印象はあまりにも強烈でした。
こうなると気になるのが、果たして『ブレード』の原点となった『テッカマン』とはどのような作品なのかということでした。ざっと調べて概要は把握できたのですが、諸事情あって実際の映像を見ることはなかなかかなわず、2015年にBlu-ray BOXが発売されたことにより、ついに機会を得たのです。
実際に見てみた『テッカマン』は絵柄こそ古いもののアクションの派手さ、優美さは1970年代の作品とは思えないほどに洗練されており、当時のタツノコプロの実力の高さをうかがい知ることができます。
またストーリーも環境破壊によって死に絶えた地球から人類を移住させるための超光速航法を開発するという、『ゴジラ対へドラ』と同様、社会問題化していた公害が行き過ぎればどのような事態が起こるのかを想定した、シリアスなものでした。
実は『テッカマン』は当初1年間の放送予定が組まれていましたが半年で打ち切りになっており、本編のラストはテッカマンがワルダスターの宇宙要塞に突撃するところで終了しています。本来は、核によって汚染されてはいるが浄化すれば復興可能な惑星を発見したところでラストを迎える予定になっていたそうです。
■敵か味方か、アンドロー梅田
『宇宙の騎士テッカマンブレード』 Blu-ray BOX(キングレコード)
さて、主人公のテッカマンこと南城二や「ラーサー」のセリフが印象的なペガスなど、個性的なキャラクターが多数登場する本作ですが、もっとも目を引いたのは謎の男、アンドロー梅田です。
金髪の巨大なアフロヘア―というだけでインパクト抜群のキャラクターではありますが、異様にカッコいいポーズからテレポートをしたり、怪力を発揮したりなどただの人間ではないことが序盤からこれでもかと描写されています。
声優を務めたのはルパン三世役で知られる山田康雄氏。山田氏はそれほど多くのアニメに参加していた方ではありませんが、『テッカマン』に関しては勧善懲悪の物語ではないことを確認してから参加を承諾したそうです。また、どのキャラクターを演じるのか聞かされていない段階でシナリオをざっと眺めて、自分が演じるキャラクターはアンドローであることを即座に言い当てたともいわれています。
そんなアンドロー梅田はサンノー星の出身で、ワルダスターに滅ぼされた移住船団の生き残りです。サンノー星に帰るためにワルダスターの宇宙船を入手しようと主人公たちスペースナイツに近づき、たびたびミステリアスな行動をとりますが、いざというときは地球人の味方となり危機を救ってくれ、やがてスペースナイツの一員となります。ニヒルな性格をしており直情的な性格の南城二とはしばしばぶつかり合いますが、次第に友情を深めていくのです。
作中ではアンドローを軸に展開されるストーリーも多く、影の主人公といっても過言ではない存在感を示しています。
キャラクターとしての人気も高く、2000年に発売されたゲーム『タツノコファイト』にも参戦していますが、このとき既に山田氏は亡くなられていたため、アンドロー役は親交が深かった野沢那智氏が代わりに演じています。これ以上の代役は、おそらく存在しないでしょう。
ちなみに筆者は『テッカマン』を見てからアンドローのテレポートのポーズを何度か真似してみたのですが、これが案外難しく、指が吊りそうになりました。昔、子供の頃に『テッカマン』を見ていた方も、やっぱり真似をしていたのでしょうか? 当時を知る方に、一度聞いて見たい気がします。
(早川清一朗)
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