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【金ロー】『レディ・プレイヤー1』 心ときめく仮想世界で「俺はガンダムで行く!」

マグミクス / 2020年7月3日 21時50分

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■ガンダム、メカゴジラ、金田バイクも登場

「俺はガンダムで行く!」

 ダイトウ(CV:森崎ウィン)のそんな台詞が、パワーワードとして注目を集めそうです。スティーブン・スピルバーグ監督のSF映画『レディ・プレイヤー1』(2018年)が、2020年7月3日(金)の「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)で地上波初放映されます。放送枠を拡大してのオンエアとなります。

 スピルバーグ監督というと、『シンドラーのリスト』(1993年)がアカデミー賞作品賞・監督賞などを受賞した巨匠監督。近年は、実話系の社会派作品を手がけることが多くなっています。一方、アーネスト・クラインの小説『ゲームウォーズ』を原作にした本作は、徹底したエンタメ作品です。『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984年)や『ジュラシック・パーク』(1993年)のような、ワクワクする冒険ファンタジーとなっています。

「オアシス」と呼ばれる近未来のバーチャルリアリティー(仮想空間)の世界を舞台にしており、『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)や『ゴジラ対メカゴジラ』(1974年)のメカゴジラ、『AKIRA』(1988年)の金田バイクなど、日本発のアニメや特撮作品の人気アイコンが続々と登場します。序盤のカーレースシーンは、アーケードゲーム『ドンキーコング』を思わせる設定です。一瞬も目を離すことができません。

 時代は2045年。経済格差が激しくなり、多くの人が無料で参加できる仮想空間「オアシス」に夢中になっています。スラム街で暮らすオタク少年・ウェイド(タイ・シェリダン)も、そのひとり。オアシスの創設者ジェームズ・ハリデーがオアシス内に隠した宝物を、オンライン仲間のエイチやダイトウたちと協力して見つけ出そうとします。

 この宝物を見つけた人には、オアシスの所有権とハリデーが遺した莫大な財産が譲渡されるため、みんな一攫千金を目指して血眼で探しています。そんななか、ウェイドのアバターである銀髪の少年パーシヴァルは、金田バイクに乗るワイルドな少女アルテミスと出会うのでした。

 パーシヴァルが運転するのは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)でおなじみのデロリアン。他にも『チャイルド・プレイ』(1988年)や『アイアン・ジャイアント』(1999年)などの人気キャラも。著作権上の問題から人気キャラの取り扱いはとても難しいのですが、世界中のクリエイターたちがリスペクトするスピルバーグ監督作品ということで実現したわけです。まさに夢の競演です。

 とりわけ、メカゴジラ、アイアン・ジャイアント、ガンダムが入り乱れるクライマックスは、ハリウッド版「スーパーロボット大戦」かよ、と叫びたくなるほどです。

■性差別も人種差別もない「自由な世界」に託されたものは?

VR空間を舞台に物語が展開する『レディ・プレイヤー1』。洋画専門CS放送ザ・シネマでも、2020年4月から同作本編と関連作品が放送されている (C) Warner Bros. Entertainment Inc.

 同年に公開された、同じくスピルバーグ監督作『ペンタゴンペーパーズ 最高機密文書』などの社会派作品と比べ、『レディ・プレイヤー1』を「面白いけど、中身がない」と批評する声もあります。でも、本当に『レディ・プレイヤー1』は中身のない作品なのでしょうか?

 仮想現実「オアシス」はVRグラスさえあれば、誰でも無料で参加することができます。ここでは、自分がなりたいと思うアバターに姿を変えることができます。つまり、容姿や年齢や社会的立場だけでなく、人種も国籍も性別も関係のない、まったく自由で平等な社会なのです

「オアシス」では遠い国で暮らす人とも友達になれ、独自に勉強や研究をすることも可能です。プレイヤーの意欲次第で、自分の夢を叶えることができる“理想郷”でもあるのです。

 そんな“理想郷”になりえる「オアシス」を、大企業「IOI」のノーラン社長(ベン・メンデルソーン)は、資本主義の理論で独占しようとします。「オアシス」の自由を守るため、ウェイドたちは命懸けで闘うことになるのです。

  我々が普段使っている「SNS」も本来はとても自由な世界ですが、他者への誹謗中傷などが目立つことから、実名登録や罰則化を求める動きが日本でも進んでいます。本当に自由な社会であるためには、参加者それぞれの自覚が必要となります。エンタメ度100%の『レディ・プレイヤー1』ですが、理想社会のあるべき姿を提示しているとも言えそうです。

 アニメや特撮のファンが歓喜するシーンが満載の本作ですが、中盤に登場するホラー映画『シャイニング』(1980年)をモチーフにしたシークエンスも注目です。

 スティーブン・キング原作の同名小説を、スタンリー・キューブリック監督が映画化した『シャイニング』は、その怖さがハンパありません。キューブリック監督と交流のあったスピルバーグ監督は、この名作ホラーをVRとして再現しています。

 映画『シャイニング』の舞台となった幽霊ホテルに、自分も迷い込んでしまったようなハラハラ感が楽しめます。もしかすると将来的には、名作ホラーやファンタジー映画の世界を全身で体感できるVRソフトが実現化されるようになるかもしれません。これからのネット社会やエンタメ業界を予測する面白さも、本作には含まれています。

 そそして、オアシスを開発したジェームズ・ハリデー(マーク・ライアン)も気になる存在です。オタクがそのまま大人になったような姿は、アポロキャップを被っていた頃のスピルバーグ監督自身を思わせます。ユダヤ系の家庭に生まれ、両親の離婚もあって孤独な少年時代を過ごしたスピルバーグ監督ですが、映画づくりに情熱を注ぎ、映画界で大成功を収めました。『インディ・ジョーンズ』や『ジュラシック・パーク』は、子供の頃に夢見ていた世界を映像化した作品です。

『レディ・プレイヤー1』を観ていると、大巨匠となったスピルバーグ監督の胸の奥には、今でも「オタク心」が息づいていることが感じられます。

(長野辰次)

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