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最終回が印象深い、アニメ版『デビルマン』 OP・EDはアニソン屈指の名曲

マグミクス / 2020年7月8日 7時40分

最終回が印象深い、アニメ版『デビルマン』 OP・EDはアニソン屈指の名曲

■誰も知らない 知られちゃいけない

 1972年7月8日は、TVアニメ『デビルマン』の放送が開始された日です。当時の若者に絶大な影響を与えたマンガ版とほぼ同時に放送されていたためストーリーは辻真先氏が担当し、アニメはマンガ版とは異なる展開ながらもヒット作となって繰り返し再放送されました。子供の頃に再放送で『デビルマン』を知り、成長してからマンガ版を読んで大きな衝撃を受けた、ライターの早川清一朗さんが当時を回想します。

* * *

 マンガ版『デビルマン』は筆者が生まれる前に連載されていたため、当時の空気は分かりません。しかしながら少し年上の方と話をすると、『デビルマン』という単語に強烈な反応が返ってくることも多く、当時どれだけ強い影響力を持っていた作品だったのかを、たびたび思い知らされてきました。

 それよりも、筆者にとってはTVアニメ版『デビルマン』の方が、より親しんできた存在です。本放送こそ連載とほぼ同時期ですが、筆者が物心ついたころには繰り返し再放送されており、何度も見返した記憶があります。小さい頃は敵のデーモン族がちょっと怖かったので、母や姉の陰に隠れるようにして見ていた、思い出深い作品です。
 
 TVアニメ版の『デビルマン』はマンガ版と比較するとヒーロー指向の作品となっており、主人公の不動明(以下、明)は「デービール!」の掛け声と共にデビルマンに変身します。必殺のデビルビームで毎話登場するデーモン族の刺客たちを返り討ちにするデビルマンの姿は、当時子供だった筆者の目には、とても頼もしい存在に映っていました。

そしてデビルマンと言えば、オープニングとエンディングを外して語ることはできません。オープニングテーマ『デビルマンの歌』はデビルマンがデーモン族の裏切り者でありながらも、人のためにさまざまな力を駆使して戦っていることを表現しています。 エンディングテーマ『今日もどこかでデビルマン』は、ビルの骨組みに座り込み腕組みをしている姿が、デビルマンの孤独を見事に示しています。両曲とも、絵と歌詞、曲が調和して作品世界を体現した、70年代アニメソングのなかでも屈指の傑作なのではないでしょうか。

■妖獣ララの最後に涙

著:永井豪『デビルマン』画業50周年愛蔵版 第1巻 (C)Go Nagai/Dynamic Production

作中に登場するキャラクターたちの中でも、筆者にとって特に印象深いのが、妖獣ララです。 最初こそ、この女の子はどんな姿に変身してデビルマンと戦うのだろうと身構えていたのですが、徐々に単なる愉快なキャラだということが分かり、明とも仲良くなっていたので、ララが出てくるシーンをむしろ楽しみにするようになっていました。

 そんなララでしたが、最終的にはデーモン族を裏切ったため殺されます。ストーリーも終盤に差し掛かった36話で妖獣マグドラーに溶岩を吹き付けられてしまうのです。燃え盛る体を墓石で隠し明に向かって「楽しい思い出をいっぱいくれたんだもん」「愛してる」と伝え、投げキッスをしながら死んでいったその姿はあまりにも切なく、哀しいものでした。

 ララの死からわずか3話後に、『デビルマン』は最終回となってしまいます。このとき、デビルマンはついにヒロインの美樹に正体を知られてしまうのですが、美樹は「明くんは明くんだもん!」と叫ぶのです。この言葉こそが、人の愛を知り、優しさに目覚めて戦ってきたデビルマンが最も欲しかったものだったのかもしれません。

 力を得たデビルマンは、神のごとき超能力を操る妖獣ゴッドとの激戦をかろうじて制します。 そして最後はバイクに美樹を乗せ、果てなき戦いを暗示させるラストを迎えるのです。

 ただ、この最終回は本放送時に、急きょ追加されたものでした。予定されていた最終回は第38話「妖獣ドリムーン 月は地獄だ」だったそうです。キー局だったNETは38話の翌週にプロ野球オールスター戦を放送する予定が入っていたのですが、オールスターを放送する予定がない地方局では1週分放送予定が空いてしまうことになります。そこで辻氏が急いで脚本を書き下ろし、アニメーション製作もなんとか間に合わせたのだそうです。緊急事態でありながら、あれだけ印象深いラストを作り上げた製作陣の情熱と力量には頭が下がる思いです。

 本作以降も、デビルマンのアニメ化はさまざまな形で続けられています。なかでも2018年にNetflixで配信された『DEVILMAN crybaby』はかなりの傑作と聞いているのですが、知人から「気力体力が充実しているときに見た方がいい」と忠告されたので、なかなか見る機会がありません。一体どれほどの作品なのか、いつか自分の目で確認したいと思っています。

(早川清一朗)

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