子供たちの「遊び方」が変化 『ファミコン』の登場が理由だったのか?
マグミクス / 2020年7月15日 9時10分
■「ファミコン」が発売されたばかりの頃
1983年7月15日はファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)が発売された日です。ファミコンの登場により子供たちの遊び方には徐々に変化が起き、やがて娯楽の王者としてなくてはならない存在になりました。ファミコンによる生活の変化を実体験したライターの早川清一朗さんが当時を回想します。
* * *
ファミコンの登場は、子供たちの生活に大きな影響を与えた……わけではありませんでした。少なくとも発売当初の時期においては、それほど変化はなかったように思います。友達の家に遊びに行って、ちょっとしたおもちゃで遊ぶ代わりにファミコンをするようになっただけだったのです。
もちろん、当時の子供たちにとって、家でビデオゲームが遊べるのは一大事です。インベーダーゲームの存在は知っていても、不良のたまり場とされていたゲームセンターに行くのは怖くて仕方がありませんでしたし、そもそもお金を持っていませんでした。たまに駄菓子屋さんで遊べるくらいの憧れの存在だったゲームが家で遊べるとあって、ファミコンを持っている友達の家に、何度も通ったことを覚えている方もたくさんいると思います。
実際、筆者が当時を回想しても、確かにファミコンはとても大きな存在でしたが、他に色々な遊びをしていた記憶ははっきりと残っています。公園で野球やサッカーに興じたり、空き地で虫取りをしたり、木登り、かくれんぼ、缶蹴り、魚釣り、ザリガニ釣りをして楽しみました。駄菓子屋さんではメンコ、ベーゴマを手に入れて遊んだこともありますし、今ではめっきり見なくなった、子供ならではの娯楽をここには書ききれないほどたくさん経験しています。一体どのようにして時間を捻出していたのか、当時の自分に聞いてみたくなるほどです。
これらの生活が徐々に変化し始めたのが、おそらくは1986年のことになります。ちょうど『ドラゴンクエスト』が発売された年です。それまでのファミコンではアクションゲームやシューティングゲーム、パズルゲームといった、プレイ時間が短いタイトルが多かったのですが、プレイ時間が長いRPGが主流になるにつれ、徐々に娯楽の中心がファミコンへと移行していったように記憶しています。
■ファミコンの遊び方は変化していった
『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(画像はスマートフォン向けの移植版)
特に初期のファミコンとは遊び方がまったく違うと感じたのが『ドラゴンクエストII』です。みんなで友達の家に集まって、ワイワイと交代で遊んでいたタイトルとは全く異なり、ひとりでじっくりと進めることが前提になっていたためです。それでもまだ友達と一緒にゲームを遊ぶという文化が残っていたため友達がプレイしていた『ドラゴンクエストII』を見ていたという話を聞くことはありますが、これ以降の友達と遊ぶことを前提としたゲームは、さらに進化したハードでの 『ストリートファイターII』 や『マリオカート』『大乱闘スマッシュブラザーズ』などを待つ必要があります。
さらに、社会の変化が大きな流れをもたらします。
公園は野球やサッカーが禁止され、大声をあげるとすぐにクレームが付くようになりました。木登りをしていた木は切り倒されるか、子供たちの手が届くところにある枝は、登れないように切り倒されました。駄菓子屋さんは姿を消し、空き地には家が建ち、川の護岸はコンクリートで固められて生き物は住めなくなりました。
社会の開発が進み旧来の遊びができなくなる時代と、ファミコンゲームの進化の時代は、ちょうどマッチしていたようにも思えます。年配の方のなかにはファミコンが旧来の遊びを駆逐したという方もいますが、外での遊びが駆逐されてしまったために、ファミコンが娯楽の中心となったという流れだったとも考えられます。このあたりはおそらく地域差もあるでしょうが、少なくとも筆者の地域ではそのような状況となっていました。
現在ではゲームはオンライン化され、家のなかにいながら友達と同じゲームを遊ぶどころか、ゲームを通じて新しい友達を作れる時代になりました。新型コロナウイルスの影響で外出もままならない状況で、室内運動用に「Nintendo Switch」と『リングフィットアドベンチャー』が品切れを起こすなど、ゲームが持つ役割も多様化しています。37年前に登場したファミコンがもたらした「家庭でビデオゲームをする文化」は果たしてこれからの生活にどのような影響を与えてくれるのでしょうか。また何か、新しいものを見せてくれることを期待しています。
(ライター 早川清一朗)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
30年以上前に発売された「スーパーマリオコレクション」は、なぜ子供たちにとって“怪物”だったのか―今では考えられない当時ならではの事情
インサイド / 2024年5月4日 17時0分
-
『ドラクエ』卒業したナンバリングタイトルは? 「天空」の途中離脱者が多そうな理由
マグミクス / 2024年5月2日 11時55分
-
『ドラクエ』3にあって初代と2にない「謎の道具」 消えた理由を考察
マグミクス / 2024年4月15日 21時25分
-
「高橋名人」が憧れの象徴 80年代は「シューティングゲーム巧者」がカッコよかった
マグミクス / 2024年4月8日 7時10分
-
記憶を消して「初見からやり直したい」レトロゲーム3選 「初めての興奮が忘れられない」
マグミクス / 2024年4月7日 21時10分
ランキング
-
1「そっち使うの?!」「これは天才」 さびだらけの鉄くぎをぐつぐつ煮込むと……? DIYに役立つ“まさかの使い道”が200万再生
ねとらぼ / 2024年5月2日 12時15分
-
2Xの生成AI「Grok」で話題を要約、「Stories on X」提供開始
マイナビニュース / 2024年5月4日 9時45分
-
3ジョージア大使、松屋にポーランド風ハンバーグ登場で心配「国際情勢に影響しかねない熾烈な戦いになりそう」
iza(イザ!) / 2024年5月1日 13時55分
-
4『ポケモンGO』普段、日本じゃゲットできないポケモンに会える!48時間の“激レア色違い”が熱い「ライバルイベント」ポイントまとめ
インサイド / 2024年5月4日 0時0分
-
5「PSVR2」を自腹で買って1年2ヶ月……プレイ感や不満、足りない点を忖度抜きで語る! 現状を変える“2つのポイント”にも注目
インサイド / 2024年5月4日 12時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください