シリーズ打ち切りのウワサも?『第3次スーパーロボット大戦』 入手困難な人気
マグミクス / 2020年7月23日 17時10分
![シリーズ打ち切りのウワサも?『第3次スーパーロボット大戦』 入手困難な人気](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_32086_0-small.jpg)
■どれだけ探しても手に入らなかった『第3次』
1993年7月23日はバンプレストから『第3次スーパーロボット大戦』(以下、第3次)が発売された日です。「スーパーロボット大戦」(以下、スパロボ)シリーズ第三弾にしてスーパーファミコンで発売された初めてのタイトルとなった本作は、子供の頃にロボットアニメを見ていた世代を中心に爆発的な人気を獲得し、後のシリーズの礎となりました。友達から借りてプレイして大いにハマったものの、どれだけ探しても手に入らず、自力での購入を諦めた経験を持つライターの早川清一朗さんが本作を回想します。
* * *
ちょうど大学生になった最初の年の夏休み、筆者は友人が貸してくれた『第3次』に没頭する日々を送っていました。『機動戦士ガンダム』シリーズや『ゲッターロボ!』『マジンガーZ』『超電磁ロボ コン・バトラーV』など子供の頃に見ていたロボットアニメに登場したさまざまなロボットたちを自分の手で動かし、宇宙から襲来した異星人などの巨悪と戦えるのです。幼い日の懐かしい思い出に浸りながら、何度も周回を繰り返していました。
ただ、しょせんは借り物だったので、いつかは返さなければなりません。その前になんとか自分の『第3次』を手に入れようと主に秋葉原の探索を続けていましたが、これが本当に、いつ行ってもどこを探しても、見当たらなかったのです。
これは『第3次』の人気がものすごかったというのもありますが、スーパーファミコンのカセットはライセンシー(この場合はバンプレスト)が任天堂にカセット製造を委託する契約となっており、追加製造をする場合は任天堂と新たな契約を結ぶ必要がありました。しかしながら任天堂が押さえている設備での製造能力には限界があり、多くのタイトルが次々と販売されている状況では既に組まれている予定に割り込む形になってしまい、それは容易なことではなかったのです。また、製造費用は事前に払い込まなければならなかったこともメーカーにとっては大きな負担になっていたため、たとえ人気作とはいえ、再生産に踏み切るのは難しい決断でした。
■なぜこれほどの人気となったのか?
1990年11月に「スーパーファミコン」が発売(画像:写真AC)
長期間の品切れを起こすほどの人気を誇った『第3次』でしたが、発売前はシリーズの打ち切りがささやかれている状態でした。1991年4月にゲームボーイで発売された記念すべき第一作『スーパーロボット大戦』は人気があったものの、続いて発売されたファミコン版の『第2次スーパーロボット大戦』は発売日が同年の12月29日と、ファミコンの旬を過ぎた時期の発売だったのが足かせとなったのです。また、クリスマス商戦に間に合わなかったのも大きな痛手となりました。
既に各ファミコン雑誌でもファミコンの作品の取り扱いは少なくなっており、宣伝も十分ではなかったため、『第2次』はあまり売り上げが伸びなかったのです。
このような状況下で開発された『第3次』には、開発を担当したウインキ―ソフトの執念を感じさせるものとなりました。プラットフォームがスーパーファミコンとなり性能が飛躍的に向上したため、ロボットの合体変形シーンやカットインが導入されたことは、プレイヤー対象層の思い出を刺激し、人気を得るための大きな力となりました。
また、後の多くの「スパロボ」シリーズでも採用されることになる基本的なパラメータが実装されたのも、『第3次』からです。『第2次』までの武器は射程や威力、地形適応くらいしか設定が存在しなかったのですが、『第3次』では弾数やエネルギー消費、必要気力が設定され、一撃必殺の必殺技を放つための戦略的思考が必要となっていたのも、ファミコンの大ブームを経験した世代にとっては、より遊びごたえのあるタイトルをプレイしたいというニーズにマッチしていたのです。
さらには機体の改造が可能になったことも大きかったと思えます。さまざまなロボットが登場するとは言っても、子供の頃に熱中していたロボットは世代によって微妙に異なっていることが多く、思い入れのある機体を優先して強化できる仕様はありがたいものでした。主力となる機体は限られていたとはいえ、どうしても戦場に出し続けたい機体はあるのです。
結局、筆者は『第3次』を手に入れることはできませんでしたが、それでもこの作品こそが、後に多数のシリーズ作品を生み出した原点であることは間違いないと考えています。今改めてプレイすると、さすがに粗が目立ちますが、それは後に続いた作品たちが、長い年月をかけて『スーパーロボット大戦』を昇華させていったことの証なのではないでしょうか。
(ライター 早川清一朗)
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