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「わけわかんねえ!」小学生を苦しめた『ソロモンの鍵』 戦略性の高いパズルゲーム

マグミクス / 2020年7月30日 8時10分

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■ファミコンを代表する名作パズルアクション

 1986年7月30日はテクモ(現:コーエーテクモゲームス)からファミコン版『ソロモンの鍵』が発売された日です。石のブロックを出したり消したりして敵をかわし、道を作ってマップを攻略していく戦略性の高さが魅力のタイトルです。マップ数も全50ステージと非常にやりごたえがある名作パズルゲームでした。友達から借りたはいいものの、さっぱりクリアできずに攻略本を買ってしまった経験を持つライターの早川清一朗さんが当時を回想します。

* * *

 1986年の夏休み、筆者は『ワルキューレの冒険』相手に悪戦苦闘を重ねていました。先に進む方法がまったく分からず、攻略本を待つことにしてとりあえず放置することにしたのですが、次にどのゲームを遊ぶのかが問題となってしまったのです。ファミコンのカセットはそう簡単に買ってもらえるものではありませんし、既に持っているカセットは遊びつくしてしまっています。こうなると手段はひとつしかありません。そう、カセットの貸し借りです。

 現代のようにスマホアプリや配信ダウンロードが主流となった時代ではなかなか難しくなっていますが、当時では友達同士でのカセットの貸し借りはごく当たり前のことでした。

 そのとき、ある友達に何か面白いカセットはないかと聞いたところ、貸してくれたのが『ソロモンの鍵』だったのです。ただしその友達からは「難しすぎてクリアできない。どうすればいいのか全然分からない」と釘を刺されていました。ちょうど『ワルキューレの冒険』で苦労していたのでちょっと怖かったのですが、家に帰りプレイしてみたところ、難しさの種類がまるで違うとすぐに理解できたのです。

『ソロモンの鍵』の難しさは、パズルゲームとして丁寧に作りこまれている部分にありました。主人公のダーマが普段使える魔法は石のブロックを出したり消したりする「換石の術」のみ。この魔法を駆使して敵をかわし、マップ上の鍵を取って扉に到達すればクリアという、一見シンプルそうに見えるゲームのなかには、小学生にとっては手ごわすぎる戦略性が隠されていたのです。

■カセットは返したのに攻略本は買った

必死にクリアを試みるも…(画像:写真AC)

 数面のマップをクリアした筆者は、「なんだ、簡単じゃん」と『ソロモンの鍵』を多少なめてしまったのを覚えています。しかしその数十分後には、「なにこれ! わけわかんねえ!」と加速度的に難しさを増していくマップ構造に、舌を巻く羽目になりました。

 敵を直接倒せる「火球の術」は使用できる数が限られており、温存したいのは山々でしたがどうしてもすぐに使い切ってしまい、じきに敵に追い詰められてやられてしまうこともしばしばでした。また、隠しアイテムがマップ中のいたるところに存在しており、これをどう集めるのかも考えなければいけませんでした。

 このゲームはかなり手ごわい。そう判断した筆者は、秘密兵器の投入を決断します。そう、方眼紙です。こうして『ソロモンの鍵』のマップ全マスをひとつひとつ調べるという無謀な試みが幕を開けてしまいました。

 最初の方のマップこそ作業は順調に進んで行ったのですが、難易度が上がってくると調査も容易ではなくなります。そして何より、借り物のカセットなのでタイムリミットもあるのです。よく考えたら素直に「難しくて無理だった」と返すのが利口だと思いますが、当時の若さと情熱、そして夏休みと言う二度と手にすることはできない貴重な時間は、無謀な挑戦を可能にしていたのです。
 
 しかし結局、やはり時間が足りずに10数面を調べ終えた段階で、カセットを返す日がやってきてしまいました。もう少し時間があれば……とも思いましたが、小学生個人での攻略となるとおそらく数か月はかかってしまったでしょうし、無念ではありましたがどうにもならなかったのです。

 その後、『ソロモンの鍵』の中盤以降がどうなっているのか知りたくて、攻略本だけ買ってしまいましたが、そんなに役に立つ内容ではなかったことだけ妙に記憶に残っています。

 筆者は『ソロモンの鍵』に6つ存在するエンディング、そのいずれにも到達できませんでしたが、あの夏の挑戦は、今となっては懐かしい思い出となっています。

(ライター 早川清一朗)

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