『がんばれいわ!!ロボコン』石田秀範監督が語る、悪戦苦闘「タンタンメン」の演技
マグミクス / 2020年7月31日 12時10分
■浦沢さんが脚本だと聞いて「あぁー!」と……
1974年から1977年にかけて全118話が放送され、子供たちに大人気となった特撮番組『がんばれ!!ロボコン』の最新作、『がんばれいわ!!ロボコン ウララ~!恋する汁なしタンタンメン!!の巻』(以下、映画)が2020年7月31日(金)から上映されます。同作の監督を務めるのは、平成仮面ライダーシリーズの多くを手掛け、1999年に放送されたリメイク版『燃えろ!!ロボコン』でもメガホンを取った石田秀範監督(以下、石田監督)。20年ぶりの新作にどのような想いで臨んだのか、お話を聞きました。
* * *
――映画は石田監督と脚本の浦沢義雄氏(以下、浦沢)が『燃えろ!!ロボコン』以来久々のタッグを組んだ作品になります。最初に脚本が浦沢氏だと知ったとき、どう思われましたか?
石田 「あぁー!」と思いましたね。これは大変な仕事になるなと(笑)。浦沢さんの脚本は、僕のような凡人にはまったく理解不能なんです(笑)。浦沢さんと組ませていただくときはいつもそうなんですが、きわめて独特な脚本を書かれる方なので、演出家の感性が試されるんですよ。そこにはっきりとした答えが書かれていないので、演出家が自分で答えを見つけていかなければいけない。でも、嫌だとは思いません。
というのは、逆に言うと自由に仕事ができるからなんです。そういう意味では楽しいのですが、作業量がものすごく増えるんですよね。
――今回は最初から浦沢氏が脚本をやると決まっていたんでしょうか?
石田 たぶんそうじゃないでしょうか。僕が参加したときにはもう浦沢さんがやると決まっていました。浦沢さんの世界観はアンタッチャブルなので、僕は脚本をいただいただけです(笑)。
――今回、サブタイトルが「恋する汁なしタンタンメン」となっています。食べ物を擬人化するのが得意な浦沢氏らしいとは思いますが、普通、汁なしタンタンメンは恋をしませんし、鈴村健一(以下、鈴村)さんが声をあてることもありません。演出の際にはどのようなことを意識されましたか?
劇中で「演技」(?)して大活躍する、汁なしタンタンメン(マグミクス編集部撮影)
石田 汁なしタンタンメンは動きもしませんし、しゃべりもしませんよね? しばらく考えたんですけど、どう考えていいかすらも分からない。相当頭をひねったんですが、やはり、鈴村さんに頼るところが大きくなりました。僕も鈴村さんもカメラマンも含めて、どうイメージして発想するかは完全に自由なんです。答えも方程式も何もないなかで、人が思いつかないような面白い発想をできるかどうかが勝負……という状況でした。
タンタンメンのデザインについてもそうです。普通、タンタンメンが回転しても作中のような状態にはなりません(笑)。無い知恵を絞って、スタッフの協力も得て、見た目が良いように、綺麗になるように相当考えましたよ。
■遊び場を奪われている子供たちへ、「無邪気に楽しめる」作品を
『がんばれいわ!!ロボコン』の撮影について語る、石田秀範監督(マグミクス編集部撮影)
――劇中では汁なしタンタンメンがロボコンに「パパー」と飛びついて、チンゲンサイでおっぱいを吸おうとするシーンがありました。これは脚本に書かれていたのでしょうか?
石田 それは僕の発想です。浦沢さんの脚本は、イメージが湧くか湧かないか、それに尽きるんですよ。すべてが見たことない、経験したことないものばっかりなんで。汁なしタンタンメンがおっぱいを吸うにしても、たまたまチンゲンサイが目に飛び込んできたので、それを使ったというだけなんです。
もし発想できなかったら、あのシーンはカットするしかなかった。それくらい綱渡りな撮影だったんですよ。こういうところで演出力が試されるんです。なにも思いつかなかったらお手上げ。本当に恐ろしい本を書かれる方です。
――今回は、ヒロインのロビンちゃんもかなりアグレッシブなキャラクターになっていますが、これは監督が意図した結果なのでしょうか?
石田 脚本では多少そういう面はありましたが、最初から最後に向かっての流れを考えているうちに、自然とそういうキャラクターになってしまいましたね(笑)。これはどのキャラクターもそうなんですが、シーンを一から組み立てていくと、どんどんイメージが膨らんで、濃いキャラクターになっていくんです。ロビンがああいうキャラクターになったのは、僕の中では必然の出来事でした。可愛らしいだけでは、成立しないかなと(笑)。
――撮影時期は、かなりコロナの影響を受けたと思いますが、実際にはどうだったのでしょうか?
石田 このご時世でしたからね、今まで通りとはいきませんでした。やっぱり制約は多いし、なによりスタッフの心がピリピリしていて重くなっていたんです。なので、今回はスタッフのやる気をどう盛り上げるか、前向きになってもらうかという点に腐心しました。スタッフあっての監督なので。
――では最後に、ファンの方へのメッセージをお願い致します
石田 今は新型コロナウイルスの影響で子供たちが遊び場を奪われて、つらい思いをしています。自分にも甥っ子や姪っ子がいるんですが、この子たちが楽しむ場を提供したいという想いで撮影に臨みました。難しいこと、重いことは一切流してしまって、頭を空っぽにして、とにかく無邪気に楽しめる。遊園地に行ってアトラクションに乗ったときの「わー!」という気持ちを、この映画に込めました。『ロボコン』を見ている間は、楽しい思いをしてくれればそれでオッケーです!
※映画『がんばれいわ!!ロボコン ウララ~!恋する汁なしタンタンメン!!の巻』7月31日(金)全国公開。
(C)石森プロ・東映
(ライター 早川清一朗)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【祝・ギャラクシー賞&直木賞!】ドラマ『宙わたる教室』の制作過程を原作者×脚本家×監督が明かす!
文春オンライン / 2025年1月20日 18時0分
-
【祝・ギャラクシー賞&直木賞!】「科学部の一員になったような気持ちで」…ドラマ『宙わたる教室』の原作者×脚本家×監督が語った制作秘話!
文春オンライン / 2025年1月20日 18時0分
-
坂東龍汰、過去の死別経験と向き合った日々「運命的なものを感じた」飛躍の2024年に実感した“夢を叶える秘訣”【「君の忘れ方」インタビュー】
モデルプレス / 2025年1月17日 19時0分
-
大勢で観ると逆に楽しい近年の「ツッコミどころしかない」映画 「1秒たりとも正気ではない」
マグミクス / 2025年1月5日 20時25分
-
『孤独のグルメ』ドラマが始まり、原作者・久住昌之が困ったことがあった「松重五郎の声がする」
日刊SPA! / 2024年12月25日 8時47分
ランキング
-
1木村拓哉、中居の引退後初のインスタ更新 まさかの内容にファン「さすがキムタク」
スポニチアネックス / 2025年1月23日 17時29分
-
2「集団イジメじゃん」中居正広引退でSMAPファン、望みを託し“中居ヅラ”に駆け込み入会
週刊女性PRIME / 2025年1月23日 18時0分
-
3【フジ社員説明会】社長会見がオープンではなかった理由「失敗したと思いました」社員からはため息
モデルプレス / 2025年1月23日 18時59分
-
4「えっ…何かあった?」放送3時間前に突然「ダウンタウンDX」内容変更 ネット困惑「中居引退の日に…」
スポニチアネックス / 2025年1月23日 19時33分
-
5「会見しないのか」中居正広の引退表明文に「ズルい」と批判殺到、世間が見過ごせなかった“ひと言”
週刊女性PRIME / 2025年1月23日 13時45分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください