無双ゲームのルーツ『真・三國無双』 3D格ゲーから変化を遂げた意外な経緯
マグミクス / 2020年8月3日 17時10分
■20周年を迎える、元祖”無双ゲーム”
常人を遥かに上回る武将が登場し、圧倒的なパワーを武器に戦場を疾走。数百、数千と群がる兵士を軽々と一蹴したのち、敵軍の大将と火花を散らしたつばぜり合いを演じる……。このような「無双系」と呼ばれるアクションゲームは、約20年前に発売された1本のプレイステーション2(以下、PS2)用ソフトにルーツがあります。その名も『真・三國無双』。実在した中国の武将を操って戦う、れっきとした元祖”無双ゲーム”です。
本作は2000年8月3日にコーエー(現・コーエーテクモゲームス)が送り出したタクティカルアクションゲーム。プレイヤーは魏・呉・蜀の三国から任意で武将を選択し、自軍と敵軍が入り乱れて争う戦いの地へ足を踏み入れることになります。
本編中には「趙雲」(CV:小野坂昌也)、「曹操」(CV:岸野幸正)、「周瑜」(CV:吉水孝宏)などの歴史に名を残す三国時代の名将が続々と登場。一方で戦場にも史実の要素が取り入れられており、「官渡の戦い」や「赤壁の戦い」といった大戦をゲーム上に再現。道中には各軍の兵士たちの姿をはじめ、彼らの拠点を思わせる野営地、レンガ作りの城塞など、アレンジ込みの広大な3D空間が用意されていました。
そして最大の特徴は、当時において類を見ない”一騎当千”アクション。より具体化すると、圧倒的な力で有象無象の兵士をなぎ倒す爽快感が押し出されていたのです。
プレイヤーの降り立つ戦場では敵軍の兵士が大量に出現し、辺り一面を取り囲むように攻撃を仕掛けてきます。四方八方から繰り出される刺突や斬撃によってあわや倒されてしまうかと思いきや、プレイヤーが攻撃ボタンを押すと操作キャラクターが武器を振り回し、その直撃を食らった周りの兵士たちはバタバタとダウン。各武将の秘めたる力を解き放ち、まるで英雄になったかのようなカタルシスを手軽に味わうことができました。
■対戦格闘から変化を遂げたゲームシステム
『真・三國無双』を振り返るならば、過去作との違いも語るに欠かせません。『真・三國無双』の前身となったプレイステーション用ソフト『三國無双』(1997年2月28日発売)は3D対戦格闘ゲームとして制作されました。こちらはジャンル名が表すとおり、ゲームシステムの大部分は全くの別物。内容は他社の格闘ゲームと同様、プレイヤー同士の1vs1に主軸が置かれていたのです。
とはいえこの頃から世界観の中心には「三国志」があり、上述の武将たちも健在。またキャラクターの一部モーションも後年へ受け継がれたところを見ると、『真・三國無双』はまっさらな状態から一騎当千アクションにたどり着いたわけではなく、『三國無双』を土台としたモデルチェンジの末に確固たる地位を築き上げたと考えられます。
加えて、アクション部分の根幹をなす操作方法がそれほど難しくなかったのもポイント。というのも、『真・三國無双』における主要な戦闘手段のほとんどが、各ボタンを押すだけでスムーズに実行できたからです。
まずは通常攻撃(□ボタン)のお手軽コンボで継続的にダメージを与え、より高火力が期待できるチャージ攻撃(△ボタン)へと派生。手を緩めることなく、戦闘中にたまった無双ゲージを消費して一撃必殺の無双乱舞(○ボタン)を解き放つ。こうした戦闘アクションのほとんどが、複雑なコマンド操作を介せずに実現できました。その反面、単調な空気が場を支配するシーンも多々ありましたが、シンプルで簡単だからこそ、一騎当千の爽快感が多くのユーザーをとりこにしたのではないでしょうか。
ナンバリングタイトルを含め、『ガンダム無双』や『ファイアーエムブレム無双』などのコラボタイトルを精力的に展開し、そしてついには数々のフォロワータイトルを生み出すまでにいたった『真・三國無双』。誕生から20年を経てなお、本作のゲームシステムは後続作品に大きな影響を与え続けています。
(龍田優貴)
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