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FC『ドルアーガの塔』あまりの難易度に唖然…“情報の有無”が全てだったゲーム

マグミクス / 2020年8月6日 17時10分

FC『ドルアーガの塔』あまりの難易度に唖然…“情報の有無”が全てだったゲーム

■初めて遭遇した攻略本必須のゲーム

 1985年8月6日は、ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)からファミコン用ソフト『ドルアーガの塔』が発売された日です。アーケード版からの移植作となった本作は、階層ごとに異なる条件で出現する宝箱から有効なアイテムを集めながら、全60階を登り切る途方もない難易度で、当時の子供たちを唖然とさせました。最初のプレイは3階クリアの時点で投げ出し、後に攻略本を見ながらクリアした経験を持つ、ライターの早川清一朗さんが当時を回想します。

* * *

 1985年のファミコンカセットと言えば、まだ『ドラゴンクエスト』に代表されるRPGが発売される前の時期にあたり、シューティングゲームやアクションゲームが中心のラインナップとなっていました。なかでもナムコが発売した『ゼビウス』は特に人気があるタイトルで、筆者や友人たちは、自機ソルバルウが出撃するシーンのBGMをよく合唱していたことを覚えています。

 ナムコは他にも『ギャラクシアン』や『パックマン』『マッピー』『ディグダグ』など1980年代半ばを代表する名作をファミコンで次々と発売しており、子供たちのなかでは「ナムコのゲームは面白い」という評価が定着していました。

 そんななか、ナムコが新しいゲームを発売するという情報が「コロコロコミック」に掲載されました。新作のタイトルは『ドルアーガの塔』。どんなゲームなのかはよく分かりませんでしたが、ナムコなんだから面白いだろう。当時の筆者はそのように考えていたような覚えがあります。

 しかしそれは、無邪気な小学生の思い込みに過ぎませんでした。いや、正確に言えばものすごく面白いゲームだったのですが、ろくに情報を手に入れる手段さえ持たない小学生には、まだ早すぎたのです。

 筆者は『ドルアーガの塔』を買ってもらえなかったため、いつも遊びに行っていた友だちの家での初プレイとなりました。グリーンスライムを3匹倒してカッパーマトックを出す。ブラックスライムを2匹倒してジェットブーツを出す。ブルーナイトを倒してポーション・オブ・ヒーリングを出す。このあたりまではモンスターを適当に倒すだけなので簡単だと感じていたのを覚えています。

■情報がないとどうにもならない!

『ドルアーガの塔』の前日譚『カイの冒険』(写真提供:たまじぃ☆ミssdc68k)

 しかし4階、5階と進むにつれ、徐々にただモンスターを倒すだけではどうにもならなくなっていきました。そのうちゲームオーバーになってしまい、よくわからないゲームと認識して他のゲームを始めたような気がします。

『ドルアーガの塔』の難度は、はっきり言って事前に攻略法を知らなければどうにもならないレベルの代物でした。宝箱の出し方もそうですが、取ってはならないアイテムもなかには含まれていたからです。ラスボスであるドルアーガを出現させるアイテムや倒すためのアイテムも厳密に設定されており、アイテムが不足していればZAPでステージを戻されたり、ドルアーガに触れた瞬間にやられたりしてしまうなど、どうにもならない仕様が多すぎたのです。

 とはいえ、『ドルアーガの塔』は前年に発売されたアーケード版が存在しておりました。筆者も伝え聞いたことしかありませんが、当時アーケードゲームの攻略情報はゲームセンター内の人脈を頼るほかなく、100円玉や50円玉をつぎ込んだ、ゲーマーたちの必死の攻略が行われていたそうです。なかにはあまりにも宝箱が出ないので「いい加減に出ろよ!」と筐体をバンバン叩いていたらいきなり出てきたこともあるそうです。おそらく「スタートボタンを押す」と出てくる31階の宝箱なのでしょう。

「攻略本がないと無理」だと最初から分かっていたであろうファミコン版『ドルアーガの塔』では、すぐに攻略本が発売され、誰でもクリアできるようになりました。小学生の頃はそれでも難しいと感じていましたが、後にプレイした際は裏ステージまで含めてさくさくと終わってしまい、少し拍子抜けしたのを覚えています。

 情報があれば簡単で、情報がなければどうにもならない。まだ黎明期の家庭用ゲームの世界において、攻略情報の重要性を教えてくれたのが『ドルアーガの塔』なのだと、35年後の今、しみじみと思い返しています。

(早川清一朗)

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