悟空やルフィが参戦『ジャンプスーパースターズ』豪華さに惹かれて“浮気”した思い出
マグミクス / 2020年8月8日 13時10分
■「コロコロ」派を「ジャンプ」に乗り換えさせたゲーム
任天堂が2005年8月8日に突如として送り出したニンテンドーDS用ソフト『ジャンプスーパースターズ』は、純粋なゲームタイトルとしての価値を越えて、筆者のマンガ人生を大きく揺るがした忘れられない一本となりました。
「ジャンプ派・マガジン派・サンデー派」(またはりぼん派・ちゃお派・なかよし派)という風に、お気に入りのマンガ雑誌で派閥を作った経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。筆者も例外ではなく、2005年当時は周囲の友人たちが続々と「週刊少年ジャンプ」(以下、ジャンプ)へ移っていくなか、月刊誌の「コロコロコミック」(以下、コロコロ)をむさぼるように読んでいました。『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』、『NARUTO』、『BLEACH』といった人気マンガの存在に心は惹かれていたものの、どうにも浮気するようで気が進まず、それまでの惰性もあって「コロコロ」を買い続けていたのです。
しかし、『ジャンプスーパースターズ』が発売された時ばかりはさすがに周囲をうらやましく思いました。普段から熱心に読んでいる作品のキャラクターが一本のゲームに集い、世界の垣根を越えて派手に暴れまわっている。「ジャンプ」は買っていないながらも、「悟空やルフィ、ナルトを自由に選択して対戦プレイが楽しめる」と話を聞き、筆者も後追いでソフトを購入し、結果的にこのタイミングで「ジャンプ」を毎週欠かさず買うようになりました。
『ジャンプスーパースターズ』は”大乱闘”の一言に尽きます。参加プレイヤーは各作品の主役級キャラクターを操り、2Dフィールドを舞台に激しいバトルを展開。最終的に相手の体力(J魂)を全て削りきるか、ステージ場外へふっ飛ばせば勝利が確定する仕組みです。ただひたすら殴り合うだけでなく、マンガ作品のコマを配置して作成する「マンガデッキ」を使った戦術も非常に重要。そのままプレイアブルキャラクターの役割を果たす”バトルコマ”、アシスト効果をもたらす”サポートコマ”、多彩な特殊効果を得られる”ヘルプコマ”の3種類をデッキに組み込むことで、オリジナリティあふれる戦闘が楽しめました。
そして何と言っても目玉だったのが豪華な参戦作品です。2005年当時の連載作品を中心に、全27タイトルから多様なキャラクターを実装。かめはめ波を放つ悟空をゴムゴムのバズーカで迎え撃つルフィ。その戦いに割り込む如く、螺旋丸で一気に畳み掛けるナルト……といった具合に、プレイ中はキャラクターそれぞれの必殺技が頻繁に入り乱れます。この辺りの豪華さは、元祖「ジャンプ」発のキャラゲーと言うべき、バンダイの『ファミコンジャンプ 英雄列伝』(1989年2月発売)、その続編『ファミコンジャンプII 最強の七人』(1991年12月発売)から通じていたのかもしれません。
■全編にあふれ出た原作へのリスペクト
キャラゲーと言われるタイトルの多くは、原作再現度の高さに焦点が当てられるように思います。もちろんゲーム版オリジナル展開も重要ですが、キャラゲーのメイン購買層(と思われる)原作ファンは、何よりもまず「ゲーム内で原作のシチュエーション(キャラクター設定・人気シーン)がどれだけ再現されているか?」といった部分を重要視するのではないでしょうか。
その点、本作は原作へのリスペクトがふんだんに盛り込まれていたと記憶しています。それは原作の名シーンが次々に映し出されるキャラクター登場シーンにはじまり、相手プレイヤーへ大ダメージを与えられる必殺技の数々、メジャーなものからマイナーなものまでデッキに組み込める豊富な原作コマなど、作中の随所に現れていました。
さらに特定キャラクターのコマを連続でタッチすると、本作でしか見られない”タッグ技”も発生。特に筆者のお気に入りは空条承太郎とルフィによる「ゴムゴムのオラオラ」で、高速で相手を殴り倒す演出がたまらなく好きになり、タッグ技がキッカケで『ジョジョの奇妙な冒険』と『ONE PIECE』を読み始めるにいたりました。そのほか悟空とナルト、浅倉葉と黒崎一護、ボーボボと武藤遊戯などなど、意外なものも含めて個性豊かなタッグ技が実現。戦闘効果に加え、演出面でも本作の世界観に彩りを添えていたのです。
『ファミコンジャンプ』から十数年越しにリリースされた『ジャンプスーパースターズ』は、キャラクターバランスや参戦作品の偏りなど、一部で賛否両論点があるのも事実。しかし総じて振り返ると、「ジャンプ」作品とキャラクターへの愛にあふれた名作キャラゲーだった。本作をリアルタイムに遊んでいたユーザーとしてそう実感しています。
(龍田優貴)
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