声優・石塚運昇氏を偲ぶ オーキド博士、ジェット・ブラック…深く、渋みのある声
マグミクス / 2020年8月13日 9時10分
![声優・石塚運昇氏を偲ぶ オーキド博士、ジェット・ブラック…深く、渋みのある声](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_33241_0-small.jpg)
■石塚運昇氏を偲ぶ
8月13日は、2018年に亡くなった声優・石塚運昇(いしづか・うんしょう)氏の命日です。深く、渋みのある低音の声の持ち主で、『カウボーイ・ビバップ』のジェット・ブラックのように一本筋金の入った男を演じさせれば右に出る方はいない、そう思わせるだけの実力と実績を持っている方でした。また、アニメ「ポケットモンスター」シリーズでは長くオーキド博士を演じ、ときには石塚氏自身がオーキド博士に扮装して顔出し出演するなど、切っても切れない縁がありました。『マクロスプラス』のガルド・ゴア・ボーマン役で最初に石塚氏を意識し、その後アニメやゲーム、洋画の吹き替えなどさまざまな形で石塚氏の声に親しんできたライターの早川清一朗さんが、石塚氏を追悼します。
* * *
まだ2年しか経っていないのか、もう2年経ってしまったのか。石塚氏が食道がんで亡くなられてから、もうそれだけの時間が経過してしまいました。67歳、決して若いとは言えませんが、まだまだ活躍できる年齢でした。本当に残念です。
さて、筆者が石塚氏の存在を最初に意識した作品は、OVA『マクロスプラス』でした。『超時空要塞マクロス』の続編として製作された本作は、総監督の河森正治氏や徳木監督の板野一郎氏など、「マクロス」シリーズでおなじみのスタッフに加え、多くの超一流クリエイターが集結したタイトルです。この作品に石塚氏は山崎たくみ氏が演じる主人公イサム・ダイソンのライバル、ガルド・ゴア・ボーマン役で出演していました。
監督を務めた渡辺信一郎氏(以下、渡辺氏)は「アニメ作品にはひとりの芝居に影響されて周囲が合わせていくようになる、芝居のトーンを決定づける人がいる。『マクロスプラス』の芝居を決定づけたのは石塚さんの演技だった」と後に語っています。石塚氏の演技の存在感の強さが圧倒的だったことを如実に物語るエピソードです。
■傑作として名高い『カウボーイ・ビバップ』
『カウボーイ・ビバップ』ジェット・ブラック役 画像は『ピアノ曲集 COWBOY BEBOP』(ケイ・エム・ピー)
そして1998年、筆者にとって石塚運昇氏の印象を決定づけた作品が放送されました。そう、今なお日本のアニメーションを代表する傑作として名高い『カウボーイ・ビバップ』です。
この作品での石塚氏は山寺宏一氏が演じる主人公、スパイク・スピーゲルの相棒である元警官のジェット・ブラックを演じており、強面で几帳面、何をやらせてもそつなくこなすがどこか優柔不断な性格という複雑な側面を持つキャラクターに、見事な演技で命を吹き込んでくれました。
なお、本作でも監督を務めた渡辺氏によると、本作では山寺氏と石塚氏、そしてフェイ・バレンタイン役を演じた林原めぐみ氏の間で芝居のトーンをめぐって演技のせめぎあいがあったそうです。3人の超一流声優が果たしてどのようなつばぜり合いを見せたのか興味はありますが、演技に没入している声優たちがまとう気迫は想像を絶しています。おそらく、簡単な言葉で表現できるような世界ではないことは、間違いないでしょう。
また、1997年からはアニメ『ポケットモンスター』でオーキド博士役を担当し、その後長く演じ続けることとなりました。時にはオーキド博士に扮してTV番組やイベントに顔出し出演するなど石塚氏=オーキド博士という強烈なイメージを、子供たちに植え付けました。なお、石塚氏が亡くなった後は堀内賢雄氏が後任としてオーキド博士を演じています。
そして石塚氏について特筆しておきたいのが、後輩の声優たちからとても慕われていたという点です。石塚氏は20歳以上離れた後輩たちからも「運昇さん」「運昇ちゃん」と呼ばれて親しまれており、それだけで現場での石塚氏が良き先輩であったことを伺い知ることができます。
もちろん慕われていただけではなく、演技についても大きな影響を及ぼしています。筆者が耳にした話では、ある女性声優さんがおっさんくさい女性キャラクターを演じる際に「このキャラクターは運昇さんのようにやってほしい」とスタッフからリクエストされたことがあるそうです。それだけ石塚氏の演技が共通認識として確固たる存在となっていたことが分かるエピソードではないでしょうか。
ここに、視聴者にも、同僚の声優さんにも、もちろんアニメのスタッフにも愛された石塚氏への哀悼の意を捧げたいと思います。本当にありがとうございました。
(ライター 早川清一朗)
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