【漫画】路地裏を抜けると…セリフなしで描く、街歩きで見えた風景の描写が美しすぎる

■セリフがひと言もないのに圧倒される世界観

　ある雨の日に、どこかへ向かう女の子。街を歩き、暗い路地裏を通り抜けてたどり着いた駅。電車に揺られて向かった先には、少し不思議な図書館が……。

　ムー/Mu-さん（@Mu1357）による創作マンガ『路地裏探訪録』がTwitterで公開されました。セリフなし、イラストのみで構成されたサイレントマンガ。街並みや電車、建物などの風景が、線をいくつも重ねた独特のタッチで丁寧に描かれており、読者からは「背景がすごい」「世界観が好き」「ひと言もセリフがないのに圧倒される」などの声があがりました。
　
　作品について、作者のムー/Mu-さんにお話を聞きました。

ーームー/Mu-さんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。

　もともとイラストや展示を中心に活動していたのですが、マンガはいつか描いてみたいと何年も前から考えていました。きっかけとしては、マンガでやりたい表現に対して最低限の実力が身についたことと、展示活動自体が厳しくなっている現状ですので、マンガならインターネットを介していろんな人に楽しんでもらえるんじゃないかと思い、描き始めました。

ーー『路地裏探訪録』をマンガに描こうと思ったきっかけはありましたか？

　散歩が趣味でよく近所をぶらぶらするんですが、街並みを見てるといろいろと想像できて面白いんです。人が住んでなさそうな草に覆われた古いアパートとか、昼間なのに真っ暗な路地裏とか……他にもたくさん。

　どんな人が住んでるんだろう？　とか、どこにつながってるんだろう？　とかいつも考えながら歩いていて、そこからぼんやりと、路地裏からつながっている、現実とは少しだけ違う街を題材に描きたいなという思いに至りました。

緻密で繊細な描画が印象的（ムー/Mu-さん提供）

ーー普段イラストを多く描いていらっしゃるムーさんならではかと思いますが、緻密で繊細な絵柄と、セリフなしでも情景が伝わってくる描写がとても印象に残ります。作画で工夫なさった点、心がけた点などはありますか？

　マンガを描くにあたって、今まで描いたこともないのに全てをこなせるとは思っていなかったので、まずは自分の武器である「絵で表現すること」を前提に置き、それ以外の要素を取っ払ったんです。また、このご時世、日本だけでなく海外も大変な状況ですので、自分の絵を見てくださっている海外の方たちにも同じように見てもらいたかったという思いもあります。

　作画に関しては、セリフがない分、絵で説明しなければならなくて、思っていた以上にページ数が増えてしまい苦労しました（笑）。特に電車の外の景色と図書館の大枠のコマは本当に描き終わるんだろうか……と思いながら延々と描いてましたね。どのコマも必要不可欠でしたので、妥協はせずにページ数を増やしてでも描き切れて良かったです。

ーー作品に対する反応で、特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

　描いて投稿するからには目標が欲しいと思っていて、この作品に関しては、「ここに行きたい」と思ってもらえたなら目標達成と考えていました。投稿後、いろんな方々からそういった感想をいただけて、自分の伝えたいことがちゃんと伝わっていることが本当にうれしかったです。

ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか？

　最近作業環境を一新したので描くのが楽しくてたまらないんです。なのでマンガもイラストもどんどん描いて発信していきたいですね。今は兼業ということもあり、依頼などを引き受けづらい状態なのですが、絵を仕事として生きていきたい思いはずっと抱えているので、そこを目標に、少しずつこなしていけるように準備しつつ、これからも描いていきます。

（マグミクス編集部）