子供には高価だったRCカー「ホットショット」を入手!カーレースで起きた喜劇に赤面
マグミクス / 2020年8月22日 9時10分
![子供には高価だったRCカー「ホットショット」を入手!カーレースで起きた喜劇に赤面](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_33865_0-small.jpg)
■「コロコロコミック」の影響力
1980年代半ば、タミヤのラジコンカー(以下、RCカー)が「コロコロコミック」の特集やTV東京系列で放送された「タミヤRCカーグランプリ」の影響で、ブームを巻き起こしました。デパートの屋上などでたびたび小規模なレースも開催され、多くの子供たちが詰めかけては熱いバトルを繰り広げました。愛機「ホットショット」であの時代を戦い抜いた、ライターの早川清一朗さんが当時を回想します。
* * *
筆者が小学生だった1980年代の半ばごろは、小学館の「コロコロコミック」が子供たちに与える影響力は極めて強烈でした。今でもかなりの人気を誇っていることは知っていますが、インターネットがない当時は現代ほど情報にあふれてはいませんでした。
「コロコロ」とそして「週刊少年ジャンプ」に掲載されている情報が、子供たちにムーブメントを起こす原動力となっていたのです。
当然ファミコン情報も「コロコロ」だよりになることが多く、毎月の発売日を楽しみにしていたのですが、ある特集を見たときから、一時ファミコンではなく他の物に心を奪われてしまっていた時期がありました。
それが「ホットショット」だったのです。
ホットショットはプラモデルや模型で知られるメーカーの、タミヤが発売したバギータイプの4輪駆動RCカーとして登場した、当時最新鋭のマシンでした。ホットショット以前は2輪駆動が主流だったRCカーの世界に初めて4輪駆動を持ち込み、一大ブームを巻き起こしていたのです。
「コロコロ」でたびたび特集されるホットショットを見て心を奪われた筆者は、買ってほしいと何度も母親にせがみましたが、そう簡単に話は運びませんでした。子供のおもちゃとしては値段が高すぎたのです。
キット価格が21800円。消費税がない時代とは言え、簡単に買ってもらえる代物ではありません。他にも買わなければいけない機材は多く、こればかりはさすがに無理かなとあきらめかけていました。しかし普段一緒にファミコンをプレイしていた友人たちのなかに、ホットショット以外のRCカー、ホーネットやグラスホッパーを持っている子がいたので、父親に「誰誰が持っている」と話したところ、なぜか買ってもらえることになったのです。
■小学生、レースに出場!
生まれて初めて連れて行ってもらった秋葉原で、無事にホットショットを買ってもらえた筆者は、電車のなかで大きな箱を抱きかかえて離さなかった記憶があります。
無事に帰宅してワクワクしながら箱を開けた筆者は、まずものすごい数の部品に圧倒されることとなりました。それまでにガンプラを作ったことはありますが、あまりにも部品点数もクオリティも、レベルが違いすぎたのです。
それでも後に引けるわけがありません。説明書を読み、一つ一つ丹念に部品を組み立て、数週間かけてついにホットショットを完成させたのです。ただ、技術の未熟から上手く部品をつなぐことができず、バックができない状態でした。これが後々笑える事態を引き起こします。今の自分からすれば、その程度の不具合さっさと直しておけとツッコミを入れるポイントでしかありませんが、小学生にはまだ少し難しかったのです。
それからしばらくの間、公園でひとり、あるいはRCカーを持っている友人たちと、一緒に走らせて遊んでいました。タイミングよく、ブームを当て込んだと思われるRCカーショップが地元に開店したのでそこに入り浸り、色々と情報を仕入れたり部品を買ったりしていたのですが、そんなある日、隣の町のデパートで、RCカーレースが開かれるという話を聞きつけ、友達と一緒に出場することになったのです。これが喜劇の始まりでした。
レース当日、デパートの屋上には、大勢のRCカーユーザーとその保護者が詰めかけており、「RCカーを持っている人がこんなにたくさんいるのか!」と驚いた覚えがあります。
コースが少々ラフだったのでオンロードタイプが次々と脱落するなか、オフロード仕様のホットショットを擁する筆者は無事に予選を潜り抜け、決勝へと駒を進めました。友人たちの声援を受けながら決勝に臨んだ筆者でしたが、興奮のあまり、スタート直後にコントロールミスをしてしまい、障害物に頭から突っ込んでしまったのです。
バックできないホットショットで。
リタイアです。
いや、あれは本当に恥ずかしかった……。今でもたまに思い出してはのたうち回る記憶のひとつです。
その後、RCカーはしばらく遊びましたがいつしか飽きてしまい、今ではどこにあるのかもわかりません。多分引っ越しの時にでも処分してしまったような気がします。
それと忘れてはいけないのが、当時TV東京系列で放送されていた「RCカーグランプリ」の存在です。毎週レースの模様を放送する番組だったのですが、RCカーを離れても、リポーターを務めていた声優・日髙のり子さん目当てにしばらく見続けていました。当時のRCカーがブームになった大きな要因のひとつとして、日髙のり子さんの存在は、間違いなく欠かせないものでした。
(早川清一朗)
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