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『サザエさん』フネ役、声優・麻生美代子さんの命日 日本のお母さんとして愛される

マグミクス / 2020年8月25日 7時10分

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■日本の母親をイメージさせる声

 8月25日は、声優・女優として長く活躍し、2018年に亡くなった麻生美代子さんの命日です。死因は老衰。92歳の大往生でした。1960年代の日本アニメ創成期から声優活動をされていたベテラン中のベテランで、国民的アニメである『サザエさん』やTV東京系の番組『和風総本家』のナレーションなど、耳にするだけで心が落ち着くような優しい声で、多くの人に親しまれました。幼稚園に入る前から麻生さんの声を聞き続けてきた、ライターの早川清一朗さんが追悼します。

* * *

 最後に聞いた麻生さんの声は『和風総本家』のナレーションでした。多分2017年か2018年だったと思います。番組のシンボルであるマメシバに「豆助?」と優しく語りかける声が、今も耳の奥に染みついています。おそらく、ずっと消えることはないのでしょう。

 さて、麻生さんと言えば『サザエさん』の磯野フネ役を1969年から2015年にかけて、実に46年間も演じられておりました。「麻生美代子」という名前は知らずとも、声を聞けば思い出す。そういった方もとても多いのではないでしょうか。数千万人、もしかしたら1億人を超える人が、麻生さんの声を心の奥にしまい込んでいるのかもしれません。

『サザエさん』の現場では最年長だったため現場の取りまとめ役となっており、長年、フグ田サザエ役として共演しておられた加藤みどりさんは「何かあれば麻生さんに相談できて、頼りになる先輩」と、麻生さんの存在を心強く思っていたそうです。また加藤さんは、麻生さんが亡くなられたとき、「趣味人でもありいろんなことに前向きな方で、80歳になられても声が出るし、滑舌も良く、先輩として皆の目標になっていました」と哀悼の言葉を語っています。

 思えば、作中で長く連れ添った磯野波平役の故・永井一郎氏も、2014年に82歳で旅立たれています。2015年の麻生さんの降板は、永井氏の逝去の際に時間がないなかでの後任探しに苦慮したことが発端となっています。長寿番組での声優の交代は必要だとは理解してはいますが、それでもやはり寂しいものです。

■80歳までスキューバダイビングを続けていた

アニメ『らんま1/2』コロン役 画像は原作コミックス新装版20巻(小学館)

 麻生さんの活躍は、上に挙げたものばかりではありません。筆者にとって、極めて印象深かったのが、高橋留美子先生原作のTVアニメ『らんま1/2』でシャンプーの曾祖母であるコロンを演じていたことです。同作では乱馬たちの師匠である八宝斎を永井一郎氏が担当していたこともあり、「波平とフネが別作品で共演してる!」と、当時驚いたことを覚えています。

 洋画においても『赤毛のアン』に登場したアンの養母、マリラ・カスバートを演じたコリーン・デューハーストの吹き替えを長く務めるなど、膨大な数の役を演じておられました。

 そして女優としても長く活躍されており、故・鈴置洋孝氏がプロデュースする舞台では常連として出演しており、2007年の講演では80代でありながらソープランドの風俗嬢として出演し、熟年の演技を見せてくれました。

 そんな麻生さんは多趣味で知られており、油絵、シャンソンなどをたしなむ一方、47歳で始めたスキューバダイビングを80歳まで続けるなど、旺盛な好奇心と活力は目を見張るものがあります。麻生さんは、年を取るならばこういう年の取り方をしたい。そう思わせてくれる、人生のお手本のような存在なのではないでしょうか。

 優しくて、しっかりもので周囲に頼られ、それでいてアグレッシブ。麻生さんは、誰もが憧れるような人物として、生涯をまっとうしました。その最期は、関係者に付き添われるなか「まるで笑っているかのようだった」と語られるほどの安らかなものだったそうです。

 長く、日本の母を務め上げて下さりありがとうございました。

 ゆっくり、お休みください。

(ライター 早川清一朗)

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