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任天堂の“コインの音”の原点『マリオブラザーズ』脳裏に刻まれたシンプルで美しい音

マグミクス / 2020年9月9日 19時30分

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■「マリオ」の名前が付いた初めてのゲーム

 1983年9月9日は、任天堂からファミコン用カセット『マリオブラザーズ』が発売された日です。任天堂を代表するキャラクターである「マリオ」の名前が付けられた初めてのタイトルで、ファミコン黎明期を代表する作品のひとつです。土管から出現した敵を床下から突き上げて気絶させてから蹴り落とすというシンプルなゲームですが、2人プレイが大変面白く、多くの子供たちがあの手この手で相手を倒そうと必死になりました。『マリオブラザーズ』が対戦ゲームの原点だと語るライターの早川清一朗さんが、当時を回想します。

* * *

 ゲームを好きな日本人で、マリオを知らない人はいないでしょう。『ドンキーコング』で初めて主人公として登場し、1985年9月13日に発売された『スーパーマリオブラザーズ』では日本国内で681万本、海外では約4024万本を売り上げ、日本のみならず世界中でブームを巻き起こし、家庭用ゲームの地位を押し上げる原動力となりました。

 そのマリオの名前を初めてゲームのタイトルに付けたのが、1983年9月に登場した『マリオブラザーズ』です。ファミコンブームが起きたときには既に発売されていたため最初に買ってもらったカセットが『マリオブラザーズ』というファミコン少年も多く、黎明期の勢いを支えた名作アクションゲームとして、印象深いタイトルとなっています。

『マリオブラザーズ』のルールは、画面上の土管から出現するカメやカニ、ハエといった敵を床の下から突き上げて気絶させ、蹴り落としていくというものです。クリアするだけならなんとかなるのですが、たくさんの敵をまとめて蹴り落とせば高得点になります。敵をまとめて気絶させる手順や方法を考え始めると急に難度が上がるタイプの作品で、単純ではありますが、突き詰めるとかなりやりごたえのあるゲームでもありました。急に現れる青いファイアボールやゆっくりと間合いを詰めてくる赤いファイアボール、床を凍らすつららなど、マリオを悩ます障害も豊富で、子供の頃はかなり難しいゲームだと感じていました。

■対人プレイの面白さを教えてくれた

 また、このゲームでは敵を倒すとボーナスとしてコインが流れてくるのですが、これを取ったときの効果音はその後も任天堂のCMなどでずっと使われ続けています。あの音は『マリオブラザーズ』が原点なのです。

『マリオブラザーズ』のデザインとプログラムを務めたのが、現在は任天堂株式会社代表取締役フェローを務める宮本茂氏。後のインタビューで宮本氏は、フルーツなどを出すとお客さんが敵と勘違いして逃げてしまうかもしれないから、誰が見ても欲しがるお金を出したと語っています。37年も前の発想が今も任天堂を代表する音となっているのは、それだけあの音が、「コインを取ったときの音」として、完成されていたのでしょう。どれだけ技術が進みサウンドが美しくなっても、一度脳裏に刻み込まれたシンプルで美しい音は、消えはしないのです。

 そして『マリオブラザーズ』の話で忘れてはならないのが、対人プレイです。通常、2人プレイの時はこの作品が初登場となるマリオの弟ルイージが登場し、協力して敵を退治していくのですが、」さまざまな妨害方法があり、むしろ味方をどう出し抜いて倒すのかが一番楽しい遊び方だったような気がします。

 相方が気絶した敵を蹴る瞬間に下から突き上げて、敵の意識を回復させる。画面中央下にあるPOWブロックの下に陣取り、相方が気絶した敵を蹴ろうとした瞬間にやはり敵を目覚めさせる。2回突き上げないと気絶しないカニを、相方めがけて突き飛ばす。

 当時の筆者がやっていたのはこの程度ですが、ほかにも相手を押して敵や火の玉に当てるなど、さまざまな妨害方法があったようです。まだファミコン雑誌が出る前の時代だったので、自分たちが偶然見つけたやりかたや友達との口コミ以外は知りようがありませんでした。

『マリオブラザーズ』や『バルーンファイト』、『アイスクライマー』など、ファミコン黎明期には友達同士で戦えるゲームがたくさんありました。1990年代には『ストリートファイターII』をはじめとする対戦格闘ゲームが一大ブームを巻き起こしますが、その源流にあるのが『マリオブラザーズ』なのかもしれないと、筆者は想像しています。

(ライター 早川清一朗)

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