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4Kで見たい!『ウルトラセブン』 宇宙人も虜にしたアンヌ隊員の魅力とは

マグミクス / 2020年9月13日 10時10分

4Kで見たい!『ウルトラセブン』 宇宙人も虜にしたアンヌ隊員の魅力とは

■より洗練されたキャラクター&メカデザイン

「は~るかな星が、ふるさとだ~♪」

 特撮ドラマの金字塔『ウルトラセブン』が、4Kリマスター版になってTVに帰ってきます。2020年9月29日(火)から、NHK BS4Kで毎週火曜23:15~の放送です。9月13日(日)午前11:17から、NHK BSプレミアムで特番『4Kで進化するウルトラセブン』もオンエアされる予定です。

 円谷プロが制作した『ウルトラセブン』は、TBS系で1967年10月1日から1968年9月8日まで、全49話が放映されました。怪獣ブームを巻き起こした『ウルトラマン』(TBS系)に続いて美術を担当した成田亨氏のキャラクター&メカデザインはさらに洗練され、本格的なSFストーリーに多くの人が夢中になりました。

 さまざまな魅力を持った『ウルトラセブン』ですが、ファンの心にひときわ強く焼き付いているのは、「ウルトラ警備隊」の紅一点・友里アンヌ隊員の存在ではないでしょうか。

■ピチピチだったウルトラ警備隊の制服

 アンヌ隊員を演じたのは、ひし美ゆり子さん(当時は菱見百合子)。高校三年生のときに東宝ニューフェイスとして芸能界に入り、『ウルトラセブン』に出演したのは20歳のころでした。

 ファンの間では有名ですが、アンヌ隊員役には同じ東宝所属の豊浦美子さんが決まっていました。ところが豊浦さんは、映画『クレイジーの怪盗ジバコ』(1967年)のヒロイン役に起用されたことから、『ウルトラセブン』は降板することに。東宝の一期後輩になるひし美さんが、ピンチヒッターとして急遽出演することになったのです。

 ウルトラ警備隊のユニフォームは、豊浦さんのサイズに合わせて作られていたため、ひし美さんが着ると上半身がピチピチだったそうです。でも、そのフィット感がひし美さんのボディラインをくっきりと際立たせ、男性視聴者の視線を釘付けにしました。

 演技経験もまだ少なく、ひし美さんは地のままでアンヌ役を演じたそうです。ウルトラセブンが侵略宇宙人や凶暴な怪獣たちと戦うというシリアスな物語のなかで、ひし美さんの初々しい明るさと健康的なセクシーさが、とても眩しくTVには映っていたのです。

■ひし美さんのお気に入り「ノンマルトの使者」

DVD ウルトラセブン Vol.11(バンダイビジュアル)第42話「ノンマルトの使者」を収録

 ひし美さんはお気に入りのエピソードとして、第42話「ノンマルトの使者」を挙げています。金城哲夫氏が脚本を書き、歴代「ウルトラマン」シリーズのなかでも屈指の名作と評されている回です。

 ひし美さんが「ノンマルトの使者」をお気に入りに挙げている理由が、ユニークです。伊豆でロケ撮影されたこの回、ひし美さんは水着姿を披露しています。普段の撮影ではウルトラ警備隊のユニフォームかメディカルセンター勤務時の白衣を着ることがほとんどだったので、私服、とくに水着での撮影はとても新鮮だったそうです。天真爛漫さで、キャストやスタッフに愛されたひし美さんならではのチョイスです。

 実相寺昭雄監督が撮った第8話「狙われた街」も、ひし美さんは印象に残るエピソードとして挙げています。モロボシ・ダン(森次晃嗣)がメトロン星人とちゃぶ台越しに対峙するシーンで有名な「狙われた街」は、「ノンマルトの使者」と同様にダンとアンヌが2人で登場する場面が多い回です。実相寺監督は、ひし美さんの顔をクローズアップで執拗に撮ったそうです。そのため「顔にニキビがあるのが分かってしまう」という恥ずかしさから、忘れられないそうです。

 ペガッサ星人が登場する第6話「ダーク・ゾーン」も、ファンなら見逃せないエピソードでしょう。基地のなかにあるアンヌ隊員の個室が映し出されるため、アンヌ隊員のプライベートをチラ見したような気分になります。

 ドラマ本編にはなかったのですが、有名なのがペガッサ星人がアンヌ隊員の部屋にいるスチール写真です。鏡台に向かって、年頃の女性らしくおめかしをしているアンヌ隊員の背後に、ペガッサ星人がヌッと立っているという構図でした。子供心に「この宇宙人はよからぬことを考えているな」と思ったものです。宇宙人すら虜にしてしまう魅力を、アンヌ隊員は持っていたようです。

■最終回を伝説化した、アンヌ隊員の名台詞

ひし美ゆり子さんの著書『セブンセブンセブン わたしの恋人ウルトラセブン』(小学館)

 そして忘れられないのが、最終回となった第49話「史上最大の侵略(後編)」です。戦いに次ぐ戦いで、ウルトラセブンことモロボシ・ダンは身も心もボロボロでした。ゴース星人との最後の戦いに挑むダンは、自分の正体はM78星雲からやってきたウルトラセブンであることをアンヌ隊員にだけ明かすのでした。シューマンのピアノ協奏曲が流れる名シーンです。

 このときのアンヌ隊員のダンへの返答が、また素晴らしいものでした。

「人間だろうと宇宙人だろうと、ダンはダンに変わりないじゃないの」

 アンヌ隊員のこの台詞によって、『ウルトラセブン』は民族や人種などの壁をはるかに超越した、宇宙規模の恋愛ドラマとして結実したのです。

■自身にとっても大切だった「アンヌ隊員」

 ひし美さんは、1997年に女優人生を振り返った自伝『セブンセブンセブン わたしの恋人ウルトラセブン』(小学館)を執筆しています。共演陣と仲良くなるために、フルハシ隊員を演じた毒蝮三太夫さんとウイスキーの水割り一気飲み対決をしたなどの武勇伝を紹介していますが、とても素敵な一文も記しています。

「私よりも実力があり有名だった俳優さんはたくさんいますが、代表作に恵まれずにいつしか消えてしまった人も数知れません。そう考えてみると、いまだに『アンヌ隊員』を覚えてくれているファンがたくさんいる私は幸せです。」

 多くのファンがアンヌ隊員のことを想い続け、アンヌ役を演じたひし美さんもそのことを大切にしているようです。『ウルトラセブン』が伝説化している要因のひとつではないでしょうか。

(長野辰次)

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