PS2の隠れた名作『GOD HAND』カオスな世界観を「一生忘れない」
マグミクス / 2020年9月14日 17時10分
■「一生忘れない」と確信したゲーム
「神か悪魔か分からない~超絶パワーを身につけた~♪」
こちらはプレイステーション2(以下、PS2)用ソフト『GOD HAND』のエンディングテーマで流れた一節です。ラスボス戦の直後、特撮ヒーロー作品を彷彿とさせる軽快なイントロを聴いた瞬間に、「このゲームは一生忘れないだろう」と強く確信しました。
本作は2006年9月14日にカプコンより発売された3Dアクションゲームです。内容は「絶大な力を持つ”ゴッドハンド”を宿した人間が世界を救う」というもの。プレイヤーは放浪生活の最中でゴッドハンドと運命的な出会いを果たした青年「ジーン」を操作し、傍若無人の限りを尽くすサタン軍団へ戦いを挑むことになります。
3Dアクションゲームと書きましたが、より厳密なジャンル名は”ゴッドアクション”。その名の通りゴッドハンドと化した右腕を振るい、肉弾戦を主体に悪魔を叩きのめしていくのです。その根幹を支えているのが、パンチやキックをはじめとする基本アクション。右ストレート、左フック、顎を狙ったアッパーや上方からのカカト落としなど、一つ一つのモーションが身体の部位、および技ごとに細かく分けられているため、ジーンと一体になって戦う感覚を隅々まで味わうことができました。
加えて特筆すべきは回避アクション。戦闘中にアナログスティックを傾けることで、ジーンは相手の攻撃を華麗に回避することが可能です。バク転(スティック後方)でさっそうと身をかわし、スウェー&ダッキング(スティック前方)で身をかがめ、相手のラッシュを危うげなく避ける。そしてスキが生じた敵の顔面めがけ、真の力を解放したゴッドハンドの一撃をお見舞いする。こうした攻撃と回避が一体になってこそ、本作の戦闘アクションは完成すると言っても良いでしょう。
■シリアスとコミカルが肩を並べる世界観
ところで『ゴッドハンド』を語る際、アクションのほかに忘れてはならないのが、とにかく奇妙な世界観です。冒頭でご紹介したエンディングテーマは言わずもがなコメディタッチですが、よくよく考えると本作はショッキングな演出も多め。例えば主人公のジーンはオープニングイベントにて、”ゴッドハンド狩り”と称して自身の腕を切断されてしまいます。またジーンのように抗う術を持たない一般人の場合、食欲と快楽を満たすために暴れまわる悪魔から一方的に痛めつけられており、ゲーム中に彼らを助けるミッションが何度も挿入されます。
だからと言ってシリアス一辺倒ではなく、ユーモアあふれる大量のギャグシーンで中和(またはそれ以上)させるのが『GODHAND』のニクいところ。そのセンスはジーンと敵が繰り出す技を見ても明らかで、あからさまに『ストリートファイター』を意識した”笑龍拳”に、ウルトラセブンの必殺技でおなじみ「アイススラッガー」を取り入れた”モヒカンスラッガー”……などなど、全編に仕組まれたパロディネタのおかげで、シリアスなストーリーラインがコミカルなテイストで包み込まれています。
なかでも筆者のお気に入りは、中ボスとしてジーンの前に数回立ちはだかった「ミニミニファイブ」。構成メンバーの全員がスーパー戦隊のごとく色分けされており、「ちょいワルのジョーカー」、「1Dayコンタクトのダイヤ」、「痛風持のハート」という具合にツッコミどころ満載の二つ名を携えています。
それでいて戦闘後は全員でゆっくりと前転しながら退場する始末。彼らのシュールなイベントシーンに心打たれてしまい、発売から14年経った今もなお哀愁漂う前転が脳裏にこびりついて離れません。
上記のミニミニファイブや幾度となくジーンに戦いを挑むサタン軍団の四天王を含め、どれも一癖も二癖もある悪魔ばかり。味方らしい人物が「オリヴィア」(本作のヒロイン)しかいないジーンにとっては、コミカルに接してくる敵キャラクターの存在は一服の清涼剤だったと言えます。
カオスな世界観のもと、爽快な肉弾戦を思う存分満喫できる『GODHAND』。開発を手掛けたクローバースタジオは2007年に解散しているため、今のところシリーズ始動は見込めない状況です。しかし大人の事情から難しいとはいえ、何とかHDリマスターとして移植版だけでも発売してはくれないだろうか。そう思わせるほど、本作はまだまだポテンシャルを秘めたタイトルだと筆者は信じています。
(龍田優貴)
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