『キングスナイト』FCではまだ新参だったスクウェア、TVCMを打ち出した意欲作
マグミクス / 2020年9月18日 8時10分
■TVCMが異様にカッコよく見えた
1986年9月18日は、スクウェア(現:スクウェア・エニックス)からファミコン用カセット『キングスナイト』が発売された日です。地上の障害物や敵を倒しながら進む縦スクロールシューティングゲームで、4人のキャラクターが交替でステージをクリアして合流し、ラスボスに挑む構成となっているためか、「フォーメーションRPG」とも呼ばれていました。TVCMを見て欲しくなったのですが、買ってもらえず近所のおもちゃ屋さんの試遊台コーナーでプレイしていた記憶を持つ、ライターの早川清一朗さんが当時を回想します。
* * *
最初に『キングスナイト』の存在を知ったのはファミコンの情報誌に書かれていた紹介記事だったはずです。確かその記事にはTVCMも放送されると書かれていたのですが、当時はアニメ原作以外のファミコンのゲームがTVCMになることはあまりなく、一体どんなCMなんだろうと楽しみにしていました。
そんなある日、偶然見ていたテレビから「キ~ン~グスナイト!」という声が流れ出し、ゲームの画面が映し出されたときは、「あ、本当にコマーシャルやってる!」と、かなり驚いた記憶があります。この当時のスクウェアは、ファミコンではまだ『テグザー』しか発売していない新興企業でした。子供が見ていたのですからゴールデンタイムの放送だったはずですが、この時間帯のCM枠は高額です。それだけ『キングスナイト』に賭けていたことが、大人になるとよくわかります。
当然興味を惹かれたので親にねだってみたのですが、このときは駄目でした。頼みの友達も、この年の7月から8月にかけては『ソロモンの鍵』『がんばれゴエモン!からくり道中』や『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説』『北斗の拳』『高橋名人の冒険島』など多数のタイトルが発売されており『キングスナイト』にまで手が届いている人間がいなかったのです。
どうすれば『キングスナイト』をプレイできるだろう。そんなことを考えていたある日、思いがけない光景を目にします。
近所のおもちゃ屋さんの試遊台で『キングスナイト』が遊べるようになっていたのです。
■4人のキャラクターが最終ステージで合流
ファミコンブームの時代には、おもちゃ屋さんが客引きのためにファミコンとTV、カセットを用意し、子供たちが自由に遊べる試遊台を設置していることがよくありました。筆者もたまに遊びに行くことがあったのですが、無料で『キングスナイト』を遊べるチャンスが訪れたのです。その日から、通い詰めることになりました。
『キングスナイト』は少年騎士のレイジャック、老魔術師のカリバ、一角獣のバルーサ、泥棒のトビーの4人がそれぞれ単独でステージをクリアし、最終ステージで合流してパーティを組んで決戦に挑む仕様となっていました。各ステージは縦方向に自動スクロールする形になっており、障害物のなかに大量のアイテムが隠されていました。貴重な勇者の魔法のパーツをはじめ集めなければいけないものはたくさんあるのでなるべく多くの障害物を破壊しなければならないのですが、自動スクロールにより障害物に押しつぶされてしまうこともあり、なかなか難しいゲームでした。アイテムがどこにあるのかを把握する必要がある、典型的な覚えゲーだったのです。
試遊台と覚えゲー。今考えるとなんと無謀な挑戦だったのか。ある程度のやり込みにより数名はステージをクリアすることができましたが、最終ステージは全員がいないとクリアできない仕様となっていました。その頃はそれすら知らなかったため、攻略は最初から不可能に近い状態だったのです。
しかし幸いなことに、『キングスナイト』は10月には攻略本が発売されたので購入し、試遊台の前で本を開いてプレイをしていました。今から考えるとカセットも持っていないのに攻略本を買い、後ろに人が並んでいるのにマップを広げてプレイするというのもちょっと必死すぎるエピソードです。我ながらドン引きせざるをえません。
最終的にはクリアは何とかできましたが、その直後、『キングスナイト』は撤去され別のゲームへと置き換えられてしまいました。今改めて思うと、店の人は自分がクリアするまで待っていてくれたのかもしれません。現代であればもっとシビアに対応されてしまったとは思いますが、あのころはまだ昭和だったのです。
昭和末期が良いところばかりとは言い切れませんが、少なくとも今よりは色々と余裕があり、融通が利く時代だったことは確かです。よく親に色々とねだっていた店だったので、多少は目こぼしをしてくれたのかもしれないなと、今になって思い返しています。
(早川清一朗)
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