「PS5」予想以上の安さだった理由を考察 ハードで黒字はほぼ不可能か

マグミクス / 2020年9月19日 15時10分

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■予想よりも遥かに安かった「PS5」

 2020年9月17日(木)午前5時、ソニー・インタラクティブエンタテインメントは動画「PlayStation Showcase」を配信し、次世代ゲーム機「PlayStation 5」(以下、PS5)を2020年11月12日(木)に日本、米国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国の7か国で先行発売することを発表しました。事前予想ではかなりの高額と予想されていましたが、UHD Blu-ray Discドライブ搭載型が4万9980円、ドライブ無しの「PS5 デジタルエディション」は3万9980円と、過去の機種の初期価格と、大差ない価格を実現しています。発表と同時に「買い」を決めたライターの早川清一朗さんが、この安さの理由を考察します。

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「PS5」のドライブ搭載型は約4万9980円。ドライブ無しで約3万9980円。突然発表されたこの数字には、正直驚かされました。とはいえ過去の各プレイステーションの初期価格は、「PS1」が希望小売価格3万9800円。「PS2」も3万9800円。「PS3」はHDD60Gモデルが5万9980円で20Gモデルが4万9980円。「PS4」が3万9980円と、比較してもそれほど変化はありません。

 では、なぜ安いと感じたのか。その理由は「PS5」が持つ高スペックにあります。CPUはAMDの「x86-64-AMD Ryzen“Zen 2”」、GPUは「AMD Radeon RDNA 2-based graphics engine」、システムメモリは「GDDR6 16GB」と、仮にゲーミングPCで同スペックのものを手に入れるとしたら、20万円程度は見なければいけません。まさに破格の値段と言えるでしょう。

 おそらく、初期段階において「PS5」は製造価格が販売価格を上回る、赤字の状態で販売されている可能性が極めて高いと考えられます。

 その根拠としては、「x86-64-AMD Ryzen“Zen 2”」とほぼ同等品のCPU「Ryzen7 3700X 3.6Hz」の2020年9月時点の小売り価格が約4万円という点が挙げられます。CPUだけですでにドライブなしモデルとほぼ同じ値段なのです。もちろん仕入れ価格はもっと安いのは確実な上、量産効果によるコスト低下も考慮するべき必要はあるでしょうが、それでもパーツすべての価格と組み上げ費用、流通費を考えれば、黒字を出すのはほぼ不可能と言えるでしょう。

■ハードで利益を出す必要はない

 この値段設定の大きな理由としては、マイクロソフトが11月に発売を予定している「X BOX」シリーズの新モデル「Xbox Series S」のフラッグシップタイプ「Xbox Series X」が4万9980円、カジュアルモデルの「Xbox Series S」が3万2980円と発表されていたことがあるでしょう。

 さらには近年、PCゲームが非常に盛んになっているという点も重要です。

 世界最大級のPCゲームプラットフォーム「Steam」で2019年にリリースされたゲームは8396本と、「PS4」が同時期にリリースしたパッケージタイトル170本、配信専用タイトル254本を圧倒的に上回っています。据え置き機である「PS5」がある程度の期間は最新鋭機としての地位を保ち、加速度的にスペックを向上させていくPCに対抗するには、現時点ではオーバースペックとも言える性能の機体を、ゲーミングPCよりも遥かに安く販売する必要があったのではないでしょうか。

 まず間違いなく、ソニーはハードが出す赤字をソフトで取り戻す予定でしょう。ドライブなしモデルが販売されることから分かるように、最近のゲームはダウンロード販売が主流となっています。ダウンロード販売はサーバーの維持費用はかかりますが在庫を抱える必要がないため、値崩れを恐れる必要がない利点があります。また追加ダウンロードコンテンツによる継続的な利益も見込め、過去しばしば問題となっていた追加生産時の製造遅延問題もなく、ヒット作を出せば安定した収益が得られます。ゲームの規模拡大により開発費用も高騰していますが、「PS5」が高いシェアさえ確保できれば回収は可能と見込んでいるのでしょう。加入すればプレミアムな特典を受けられる「PlayStation Plus」の収益もあり、無理にハードウェアで利益を出す必要がないことが、PS5の安さにつながっている、筆者はこのように考えています。

(ライター 早川清一朗)

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